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4.5 機体以外の要素技術【教則学習】

2023年1月9日  2026年10月8日 
4. 無人航空機のシステム    4.5 機体以外の要素技術

4.5 機体以外の要素技術

無⼈航空機操縦士の学科試験の受験の為の学習資料としてのご利用は下記の最新版「第5版」をご覧ください。
4.5 機体以外の要素技術【教則学習(第5版)】

教則の本文を黒色に、独自に追記した補足説明や注釈を別色で記載しています。

4.5.1 電波

(1) 電波の特性

1) 直進、反射、屈折、回折、干渉、減衰
電波の性質の種類と特徴は以下のとおりである。電波には障害物等の後ろに回り込む回折という性質、異なる媒質にぶつかると透過、反射あるいは屈折する性質、周波数の近い電波が重なると電波干渉が発生しお互いを減衰させる性質などがある。2.4GHz の電波は回折しにくく直進性が高いため障害物の影響を受けやすくなる。

性質の種類 性質の特徴
直 進電波は、進行方向に障害物が無い場合は直進する。
反 射、屈 折 電波は、2つの異なる媒質間を進行するとき、反射や屈折が起こる。
常に反射の法則(入射角と反射角の大きさは等しい)が成り立つ。
回 折 電波は、周波数が低い(波長が長い)ほど、より障害物を回り込むことができるようになる。  
干 渉   電波は、2つ以上の波が重なると、強め合ったり、弱め合ったりする。
減 衰   電波は、進行距離の2乗に反比例する形で電力密度が減少する(進行距離が 2 倍になると電波の電力密度は 1/4 になる)。
周波数により特性は異なるものの、電波は水中では吸収されて大きく減衰される。

2) マルチパス
送信アンテナから放射された電波が山や建物などによる反射、屈折等により複数の経路を通って伝搬される現象をマルチパスという。反射屈折した電波は、到達するまでにわずかな遅れを生じ、一時的に操縦不能になる要因の一つとなっている。マルチパスによって電波が弱くなり一時的に操縦不能になった場合は送信機をできるだけ高い位置に持ちアンテナの向きを変えて操縦の復帰を試みる。

突然、機体のコントロールが効かなくなるトラブルが、あった時は、落ち着いて
「送信機をできるだけ高い位置に持ちアンテナの向きを変えて操縦の復帰を試みる」
と、説明されているように、
プロポを天高く掲げ 帰って来~いと、お祈りしましょう
これは、冗談のような話ですが、この儀式で実際に数回、このトラブルでの機体ロストを回避した経験があります。電波の波長が短いため、cm単位の位置の違いでも電波の受信強度に変化がある可能性が高いため、理論的にも理にかなった行為です。
prayer プロポを天高く掲げ お祈りしましょう

3) フレネルゾーン
フレネルゾーンとは無線通信などで、電力損失をすることなく電波が到達するために必要とする領域 のことをいう。無線通信での「見通しが良い」という表現は、フレネルゾーンがしっかり確保されている状態であることを意味する。 フレネルゾーンは、送信と受信のアンテナ間の最短距離を中心とした楕円体の空間で、この空間は無限に広がるが、電波伝搬で重要なのは第 1 フレネルゾーンと呼ばれる部分である。このフレネルゾーン内 に壁や建物などの障害物があると、受信電界強度が確保されず通信エラーが起こり、障害物がない状態に比べて通信距離が短くなる。 このフレネルゾーンの半径は周波数が高く(波長が短く)又はお互いの距離が短くなればなるほど小さくなる(2.4 GHz帯、5.7 GHz帯の場合、2 地点が 100m 離れたケースでは 2m 以下)。地面も障害物となるため、フレネルゾーンの半径を考慮してアンテナの高さを十分に確保する必要がある。

(2) 無⼈航空機の運航において使⽤されている電波の周波数帯・用途

無人航空機の運航において使用されている主な電波の周波数帯は、2.4GHz帯、5.7GHz帯、920MHz帯、73MHz帯、169MHz帯である。169MHz帯は主に 2.4GHz帯及び 5.7GHz帯の無人移動体画像伝送システムの無線局のバックアップ回線として使用される。電波の周波数帯や出力、使用するアンテナの特性、変調方式、伝送速度などによって通信可能な距離は変動する。

ドローンの無線に関する解説は下記で詳しく説明しています。
無人航空機に使用されている無線【教則学習・周辺知識】
 サイト内リンク

(3) 無⼈航空機以外も含めた⽇本の電波の利⽤状況〔一等〕

電波の特性として、波長が長いほど直進性が弱く情報伝達容量が小さくなるが減衰はしにくい。逆に波長が短いほど直進性が強く情報伝達容量が大きくなるが減衰はしやすい。
無人航空機の制御用通信に多く使用される極超短波は10cm~1mの波長(周波数 300MHz~3GHz)で、超短波(波長 1~10m、周波数 30~300MHz)に比べて直進性が更に強くなるが、多少の山や建物の陰には回り込んで伝わることができる。伝送できる情報量が大きく、小型のアンテナと送受信設備で通信できることから、携帯電話や業務用無線、アマチュア無線、無人航空機など多種多様な移動通信システムを中心に、地上デジタルTV、空港監視レーダー、電子タグ、電子レンジ等幅広く利用される。
マイクロ波は1~10cmの波長(周波数 3~30GHz)で、直進性が強い性質を持つため特定の方向に向けて発射するのに適している。伝送できる情報量が非常に大きいことから、衛星通信、衛星放送や無人航空機の画像伝送、無線LANに利用される。レーダーもマイクロ波の直進性を活用したシステムで、気象レーダーや船舶用レーダー等に利用される。

⽇本の電波の利⽤状況
電波は、利用者が勝手に利用し始めると、混信など、良好な利用ができない状況に可能性が高いです。世界中でも国が、利用を管理・制限し、それぞれの目的で使用する周波数(チャンネルとも考えられます)決めて、管理しています。日本では、総務省が監督官庁になり管理しています。日本では、電波法で「「電波」とは、三百万メガヘルツ以下の周波数の電磁波をいう。」と定義されています。
詳細は省略しますが、日本で定められた周波数の割り当ての代表的なもは、下の表の様に割り当てられ、利用されています。参考に、電波に分類されている物より周波数の高い電磁波も入れています。
種 類 名 称 周波数(Hz) 波 長 利用例
電 波
(非電離放射線)
超長波(VFL) 3×103~ 
100km 電磁調理器
長波(LF) 3×104~
10km 船舶・航空機用通信
中波(MF) 3×105~ 1km AM 放送
短波(HF) 3×106~ 100m アマチュア無線
超短波(VHF) 3×107~ 10m FM 放送
マイクロ波、極超短波(UHF) 3×108~ 1m 警察・消防通信 テレビ放送
センチ波(SHF) 3×109~ 10cm 電子レンジ 携帯電話
ミリ波(EHF) 3×1010~ 1cm レーダ
サブミリ波 3×1011~ 1mm 光通信システム
(太陽光) 赤外線・遠赤外線 3×1012~ 1/10mm 赤外線ヒーター
可視光線 3×1013~ 1/100mm 光学機器
紫外線 3×1015~ 1/10,000mm 殺菌灯
放射線
(電離放射線)
エックス線(x線) 3×1016~ 1/100,000mm 材料検査 レントゲン写真
ガンマ線(γ線) 3×1018~ 1/10,000.000mm 医療

電磁波(Electromagnetic Waves)について
光や電波のように、電場と磁場の振動が互を誘導し合って空間を伝わる波のことを電磁波と言います。
荷電粒子が力を受けて、加速度運動する場合や、原子中の電子のエネルギー状態が変化する際に発生します。電磁波は空間内では、電場と磁場そのものが振動する現象で、媒質がなくても空間を伝わり、エネルギーを運ぶことができます。ちなみに、よく例えで比較されますが音波(音)は、媒質である空気がないと伝わりません。電磁波は横波で、電場と磁場の振動方向は互いに直交しており、波はその両者に直交する方向に進みます。
振動する波が1秒間にいくつ存在するかを「周波数」で表し、波が1回振動したときの距離を「波長」で表します。この周波数(波長)により電磁波の性質が異なる為、周波数により分類されています。周波数と波長には相互関係があり、周波数で表現されるものは波長に置き換えて表現される場合もあります。
周波数が高いー周波数が低い という表現は は 波長が短いー波長が長い という表現に対応しています。
波長と周波数には、「波長=光速(約30万km/s)/周波数」 の関係があります。
この計算式に無人航空機のコントロール利用されることが多い2.4GHzを当てはめてみると

波長=(3×
108)÷(2.4×109)=3÷24=0.125m=1.25cm という事になります。

波長は、アンテナの長さを決める際に重要なパラメターで、波長によってアンテナの長さが決まるため、アンテナの長さ(大きさ)を見れば、概ねどの位の周波数のアンテナなのか推測することもできます。

(4) 電波の送信、受信に関わる基本的な技術

送信機のアンテナから発射される電波の強さは、方向により異なる(無指向性のアンテナの場合は、アンテナの周囲に対して同様に発射される)。アンテナの角度は調整できるので、操縦時の送信機の持ち方や無人航空機の位置を考慮して最適なアンテナ角度を設定する必要がある。

(5) 電波の特性に伴って発⽣する運航上のトラブルの調査・分析〔一等〕

外来電波や他の設備・機器からのノイズにより無線設備の通信環境が不安定になることがある。電波環境の調査として、スペクトラムアナライザを用いて、使用している周波数と同じ電波が現地エリアで使用されている状況や、他の設備・機器からノイズが発生していないかを確認する方法がある。様々な無線局が散在する市街地での飛行のためには、電波環境の調査は非常に重要である。

電波環境の調査について、前項の「(2) 送信機の信号について〔一等〕」で詳しく説明していますのでそちらを見てください。

(6) 電波と通信に関わる基本的な計算〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行を行うにあたっては、電波と通信に関わる基本的な計算(周波数帯や送受信間距離を踏まえ必要となるアンテナの高さ等)について理解しておく必要がある。
1) フレネルゾーン半径と必要なアンテナの高さ
フレネルゾーンの半径:R(m)、送受信アンテナ間距離:D(m)、使用周波数f(Hz)、波長:λ(m) とすると、これらの間には以下の関係がある。


上記式を用いた、送受信アンテナ間距離:100m 、使用周波数:2.4GHz のときのフレネルゾーンの 半径の具体的な導出方法を以下に示す。 上記の前提条件より、
● 送受信アンテナ間距離:D=100m
● 使用周波数:f=2.4×109Hz
● 波長:λ=(3×108)÷(2.4×109 )=0.125 m(光の速度を 3×108m/s とした場合) と求めることができる。 以上より、フレネルゾーンの半径 R は、


よって理想的なアンテナの高さは 1.77m以上となる。 なお、実際にはフレネルゾーン半径の 60%以上のアンテナ高さが確保できていれば、フレネルゾーン に障害物がない場合と同等の通信品質を確保できるといわれている。この条件にて必要なアンテナの高さを計算すると、1.77×0.6≒1.1m以上となる。


計算問題の解き方解説は
「学科試験(一等)サンプル問題 計算問題の計算方法 サイト内リンク」で公開しました。
答えの出し方を見てみてください。



フレネルゾーンについてイメージしやすい様、図を作りました。
フレネルゾーンとは
フレネルゾーンが送受信点の二点間でしっかり確保できていれば安定した通信が期待できますが、図に示したように送受信点どうしが仮に見通し線上にあったとしても、フレネルゾーンが障害物に掛かっているような場合は、通信の品位が低下する可能性があります。ただし、フレネルゾーンの半径の60%以上が確保できていれば、理想的なフレネルゾーンが確保できている場合と比較しても、電波伝搬の品位は大きく低下はしません。すなわち、フレネルゾーンの半径の60%以上の確保が、必須という事になります。これは、先の計算で、示されている通り、2.4GHzでは1.1mでこれが、60%の半径ですから、受信点に対して送信点から2.2mの円柱上の射線をイメージし、その間に障害物が入らなければ安定して通信が行えるという事です。

4.5.2 磁気方位

(1) 地磁気センサの役割について

地磁気センサにより、地球の磁気を検出することで機体の向き(方位)や姿勢を知ることができる。地磁気センサは正常な方位を計測しない場合があるが、それは磁力線が示す北(磁北)と地図の北に偏角が生じるためである。

(2) 飛行環境において磁気に注意すべき構造物や環境について

地磁気の検出には、鉄や電流が影響を与える。一般的に影響を与えるものは、高圧線や変電所、電波塔、鉄材を多く使用された建物、新幹線や電車の鉄道、自動車、鉄板など鉄材が多く埋め込まれた場所などがあげられる。機体の姿勢や進行方向に影響を与える場合がある。

(3) 無人航空機の磁気キャリブレーションについて

無人航空機の磁気キャリブレーションとは、飛行前にその場所の地磁気を検出して方位を取得し、GNSS機能やメインコントローラーに認識させることである。磁気キャリブレーションが正しく行われていないと、機体が操縦者の意図しない方向へ飛行する可能性がある。飛行させる場所により、地磁気の方向は異なるので、磁気キャリブレーションを行うことが重要である。

4.5.3 GNSS

(1) GNSS について

GPS(Global Positioning System)は、アメリカ国防総省が、航空機等の航法支援用として開発したシステムである。GPS に加え、ロシアの GLONASS、欧州の Galileo、日本の準天頂衛星 QZSS等を総称して GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)と言う。
GNSS は最低 4 個以上の人工衛星からの信号を同時に受信することでその位置を計算することができる。機体に取り付けられた受信機により最低4基以上の人工衛星からの距離を同時に知ることにより、機体の位置を特定している。なお、安定飛行のためには、より多くの人工衛星から信号を受信することが望ましい。

GNSS について、前項の「(1) フライトコントロールシステムの基礎」で詳しく説明していますのでそちらを見てください。

GPSについて、詳しく説明しています。
全地球測位システム Global Positioning System (GPS)【教則学習・詳細】 サイト内リンク

(2) GNSS と RTK の精度

GPS 測位での受信機 1 台の単独測位の精度は数十 m の精度である。測位方式として固定局と移動局の2つの受信機を使用する RTK(Real Time Kinematic)や DGPS(Differential Global Positioning System)などの技術が確立され、これらの測位方式は cm~数 m レベルの精度の高い測位が可能である。

(3) GNSS を使用した飛行における注意事項について

自動操縦では手動操作よりも高精度な GNSS 測位が必要である。自動操縦のためにあらかじめ地図上で設定した Way Point は GNSS の測位精度の影響を受けるため、精度が悪化した場合は実際の飛行経路の誤差が大きくなる。
GNSS の測位精度に影響を及ぼすものとしては、GNSS 衛星の時計の精度、捕捉している GNSS衛星の数、障害物などによるマルチパス、受信環境のノイズなどが挙げられる。受信機は、周囲の地形や障害物の状況を考慮して設置する必要がある。一般的に位置精度は、水平方向に比べ高度方向の誤差が大きくなる。
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2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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