Noman Flight Research Group 無人航空機(ドローン)の研究会です

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無人航空機は太陽の影響を受けて飛行できなくなるのか

2024年5月21日  2024年9月29日 

無人航空機の運用に太陽フレアが及ぼす影響

通常の太陽活動であれば無人航空機の運用には影響はありませんが、太陽にも活動の周期があり、活発な活動期には無人機の飛行に支障が生じる可能性があります。
近年、無人航空機の活用が進む中で、太陽の高活動期における影響が懸念されています。太陽フレアによって引き起こされる電離層の撹乱は、無人航空機の通信システム(制御信号、テレメトリ、画像伝送)や位置情報システムの機能に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。
とはいえ、大きな影響が出る可能性があることを知っておくことが重要で、お天道様からの影響ですから、ただちに何か対策が出来るようなものではないことも確かです。

実際、2015年3月に発生した大規模な太陽フレアでは、GPSの誤差が最大10メートルにも達したと報告されています(NASAの報告によります)。また、電離層の撹乱によりGPSの受信が一時的に遮断された事例も確認されています。

2021年10月28日、第25周期で2件目となるXクラスフレアが発生。太陽面の中心付近(地球と正対する方向)で生じたため地球影響が懸念され、情報通信研究機構(NICT)による情報発信および各メディアで報道されました。
2022年2月3日に打上げられた49基のスターリンク衛星のうち、40基が大気圏に突入。直前に生じたフレアに伴って地球大気が膨張したことで、衛星の軌道が乱れた為とされました。
2022年3月から4月にかけて、多数のXクラスフレアが発生しました。

2024年5月8日から16日にかけて、太陽活動が非常に活発化しました。この期間中に、大規模な太陽フレア13回を含む複数回の太陽フレアが観測されました。これに伴い、太陽からコロナガスが複数回地球方向へ放出されていました。最初のコロナガスは5月11日午前1時半頃に地球に到達し、地球周辺で大規模な磁気嵐と電離圏嵐が発生しました。同様の規模の太陽フレアとそれに関連する現象が、活発な黒点群の影響で5月16日頃まで発生する可能性があると警告が発せられました。

2024年5月8日から15日にかけての大規模(Xクラス)太陽フレア一覧
規模のXの数値が大きいほど、より大規模なフレアを表します。
No. 発生日 発生時刻(JST) 規 模
1 2024年5月8日 10時41分 X1.0
2 2024年5月8日 14時09分X1.0
3 2024年5月9日 06時40分X1.0
4 2024年5月9日 18時13分X2.2
5 2024年5月10日 02時44分X1.1
6 2024年5月10日 15時54分X3.9
7 2024年5月11日 10時23分X5.8
8 2024年5月11日 20時44分X1.5
9 2024年5月13日 01時26分X1.0
10 2024年5月13日 11時09分X1.7
11 2024年5月14日 21時55分X1.2
12 2024年5月15日 01時51分X8.7
13
2024年5月15日 17時37分X3.4

大規模フレアに関する臨時情報 | 宇宙天気予報 (nict.go.jp)
https://swc.nict.go.jp/extreme.html

2024年5月15日(日本時間)に発生したX8.7のフレアの衛星写真
NASAの太陽動力学観測衛星が、2024年5月14日に撮影した太陽フレアの画像です。右側の明るい光が太陽フレアです。この画像は304オングストロームの光を捉えています。 クレジット: NASA/SDO

NASAの太陽動力学観測衛星が、2024年5月14日に撮影した太陽フレアの画像です。右側の明るい光が太陽フレアです。この画像は304オングストロームの光を捉えています。
クレジット: NASA/SDO
NASA’s Solar Dynamics Observatory captured this image of a solar flare – as seen in the bright flash on the right – on May 14, 2024. The image shows 304 angstrom light. Credit: NASA/SDO
https://svs.gsfc.nasa.gov/14592/#media_group_374236

「宇宙天気予報」のWEBサイトとその関連について詳しくまとめました
宇宙の天気予報 と 太陽現象


今回の連続発生したXフレアについての解説を国立天文台のWEBサイトでご覧いただけます
2024年5月に連続発生したXフレア | 科学衛星「ひので」 (nao.ac.jp)
https://hinode.nao.ac.jp/news/topics/x_flare_202405/

2024年5月8日以降の一連の太陽フレアに関しては、メディアでも以下のような報道をされました。

2024年5月8日から11日にかけて、観測史上初めて3日間で最大規模の「Xクラス」の太陽フレアが7回発生した。これらの太陽フレアの影響で、通常は極圏でしか見られないオーロラが、中国、ドイツ、スペイン、アメリカなど、世界各地で観測された。
米国海洋大気庁は、電力系統やGPSなどで異常が報告されたと発表した。スペースXの衛星インターネットにも支障が出た。
アメリカでは太陽嵐により一部の農家が使用するトラクターやその他の農業機械のGPSシステムが故障し、中西部をはじめ、米国とカナダの地域で作付けが一時的に停止に陥ったと報じています。
日本でもGPSが導入されている農業機械への影響を日本農業新聞が以下のように報じています。
千葉県内で自動操舵田植え機を使う農家によると、14日の作業中に「これまで経験したことがないずれ」が出たという。ずれは大きい場所で20センチほどで、隣の条に重なるほどではなかった。
自動操舵を活用する農機メーカーは、いずれも作業不能となるような大きな影響はないが、「今まで見たことがない挙動」とし、モニター上は直進していても、実際はうねって進むという報告があったとした。一方、こうした事象が「多発しているかは不明。太陽フレアの影響かどうかも断定できない」としています。
自動操舵のトラクターなどで自身の位置を誤認して真っすぐ走行できないという状況はGPSを利用して自機の位置を認識するドローンでもこのようなトラブルが発生する可能性が十分ありうると思います。
GPSの誤差拡大、無線通信の障害、人工衛星との通信障害などの影響が危惧されている。
太陽フレアの規模と頻度が観測史上初の水準に達し、オーロラ観測や通信障害など様々な影響が出ていることがわかります。
太陽活動は約11年周期で活発化と沈静化を繰り返しており、次の活動極大期は2025年ごろと予測されている。
情報通信研究機構(NICT)は今後数日間、さらなる太陽フレアの発生に注意を促している。

最大クラスの太陽フレア連発 10日夜からGPSや無線の障害に注意 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
太陽フレア 観測史上初の「3日で7回」 GPSにも影響 オーロラも各地で (tv-asahi.co.jp)
Solar Storm Disrupts Some Farmers’ GPS Systems - The New York Times (nytimes.com)
太陽フレアの影響? 国内で自動操舵にずれも / 日本農業新聞 (agrinews.co.jp)

このように、太陽活動は無人機の飛行に重大な影響を及ぼす可能性があります。電離層の状態が飛行中に大きく変動する可能性があるので、特に長距離フライトや高高度を飛行する無人機は、リスクが高くなります。
一方で、専門家らは「太陽活動のモニタリングと飛行計画の最適化により、リスクは最小限に抑えられる」と指摘しています。つまり、太陽の状態を常に監視し、フレア発生時には無人機の飛行を控えるなどの対策が必要になってくるということです。

この太陽活動のモニタリングについては、「宇宙天気予報 (Space Weather Forecast)」で詳細をまとめました。

太陽活動(宇宙気象)とGPSシステム

例えばグローバル・ポジショニング・システム(GPS)の利用は、この10年で劇的に増加しました。GPSレシーバーはほぼ全ての携帯電話に搭載されており、自動車、トラック、移動体で精密な位置測定が必要な機器にも備わっています。高精度な双周波数GPSシステムは、農業、建設、探査、測量、除雪など、機能する社会に不可欠な多くの用途で使われています。
宇宙気象がGPS機能に影響を与える経路はいくつかあります。GPSの無線信号は、衛星から地上の受信機へ、地球の電離層を通過します。電離層の荷電プラズマはレンズが光の進路を曲げるのと同様に、GPS無線信号の進路を曲げます。宇宙気象の影響がない時、GPSシステムは「平均」または「静穏時」の電離層をモデル化し、その位置情報への精度影響を計算して補正しています。しかし、宇宙気象現象で電離層が撹乱されると、そのモデルは不正確になり、受信機は上空の衛星から正確な位置を計算できなくなります。
静穏時の単周波数GPSは1m以下の精度で位置情報を提供できますが、深刻な宇宙気象擾乱時にはその誤差が10m以上に広がる可能性があります。高精度GPSでは、異なる2つの信号を使って電離層をよりよく特性化し、位置計算への影響を少なくできるため、数センチメートルの精度が得られます。しかし、電離層が大きく撹乱されると、受信機が衛星信号をロックできず、位置情報が不正確になります。
磁気嵐は電離層に大きな擾乱を引き起こします。磁気嵐により流入する電流とエネルギーが電離層を増強し、電離層電子の高度積分総量(Total Electron Content、TEC)を増加させます。GPSシステムはこの動的な増強をうまくモデル化できないため、位置計算にエラーが生じます。これは通常高緯度で起こりますが、大規模な嵐では中緯度でもTECの大幅な増加が起こり得ます。

測量や電子基準点の管理などでGPSに関わりが深い国土地理院でも今回の太陽活動の影響についてアナウンスされています。

5月8日から発生している太陽フレアのGNSS測位への影響(速報)

カーナビやスマホなど一般の皆様が利用する測位方式では、5月11日から12日にかけて、誤差が大きくなる時間帯がありました。
測量や地殻変動の監視、高精度測位サービスなど専門家が利用する測位方式では、電離層の乱れの影響を受けにくい手法を使用しており、今のところ、大きな影響は確認されていません。
  1. 電離層の乱れの影響を受けやすい、カーナビやスマホなど一般的なGNSS測位方式
    つくば市にある電子基準点のデータを一般的なGNSS測位方式で解析して確認したところ、5月11日0時頃から21時頃(日本時間11日9時頃から12日6時頃)にかけて、誤差が大きくなる時間帯がありました(図)。誤差の大きさは時間帯や地域によって変わるため、上記の数値はあくまで一例ですが、当該時間帯においてカーナビやスマホなどを用いてGNSS測位を行った場合には、大きな誤差が生じた可能性があります。
  2. 電離層の乱れの影響を受けにくい、専門家向けのGNSS測位方式
    測量や地殻変動の監視、高精度測位サービスで用いられる専門家が利用する測位方式においては、GNSS衛星から送信される2つの周波数の電波を同時に用いることで、電離層の乱れの影響を補正しています。このため、平成29年9月6日に発生した太陽フレア同様、特段の精度低下は確認されていません。
一般的なGNSS測位方式による位置の変化 日本時間11日9時頃から12日6時頃に測位誤差の増大
図 一般的なGNSS測位方式による位置の変化。
電子基準点「つくば1」の30秒ごとの測位結果の誤差を示す。つくばでは5月11日0時頃から21時頃(日本時間11日9時頃から12日6時頃)に測位誤差の増大が見られた。


上記の発表の中の、一般の方々が利用する「位置測定方式」と、専門家が利用する「高精度測位サービスなどの測位方式」の位置測定方式では違いがあります。専門家が利用する測位方式で「2周波GNSS受信」や「デュアルバンド受信」と呼ばれるもので、従来の単一周波数のL1帯(1575.42MHz)の信号受信に加えて、L5帯(1176.45MHz)の信号も受信することで、L1帯の受信にトラブルがあった場合でもL5帯の信号により精度を維持できることがポイントです。電離層による信号の遅延補正だけでなく、ジャミング/スプーフィングなどの妨害電波対策としても有効な手段となります。

スマートフォンのGPSで言うなら「L1+L5」という2周波GPS対応、デュアルバンドGPS対応のスマートフォンでは影響がなかったということです。


国土地理院より上記の発表の続報が発表されています。この続報では以下のように続報されています。
  • カーナビやスマホなど一般的な測位方式では、13日以降、大きな影響は確認されていません。
  • 精査の結果、5月11日深夜から12日早朝にかけて測量を実施した場合、特定の時間帯において電離層の乱れの影響を受けた可能性があります。
このように、当初は特段の精度低下は確認されていません。とされていましたが、「測量で用いられるGNSS測位方式」で精度低下がみられたと発表されています。
当初、発表されていたものと続報で時間がUTCからJSTに代わっているため別の時間のように見えますが、同じ時間帯の話をしていることに注意が必要です。

UTC(世界標準時)とJST(日本標準時)について詳しくは以下で説明しています
世界の時間とタイムゾーン・JST、UTCとズールータイム【教則学習・周辺知識】

測量で用いられるGNSS測位方式
電子基準点データを精査したところ、11日深夜から12日早朝にかけて測量を実施した場合、特定の時間帯において電離層の乱れの影響を受けた可能性があります。

陽フレアのGNSS測位への影響 電子基準点「新富」を固定点として「佐土原」を30秒ごとに解析した場合の結果。
図 短時間の測量で用いられる測位方式による位置の変化。電子基準点「新富」を固定点として「佐土原」を30秒ごとに解析した場合の結果。青のハッチは電離層の乱れの影響を受けた可能性がある時間帯。


5月8日から発生している太陽フレアのGNSS測位への影響(第2報) | 国土地理院 (gsi.go.jp)

GPSについて詳しくは
全地球測位システム Global Positioning System (GPS)【教則学習・詳細】でご覧ください

太陽活動の周期

太陽の活動現象は、太陽の磁場と深く関係しており、その活動の活性はおよそ11年の周期で変動を繰り返します。太陽磁場の11年変動に伴って、黒点の出現数が増減するとともに、太陽フレア(太陽表面で起きる強力な爆発現象)の発生数も変化します。その影響は太陽系全体に広がり、地球ではオーロラの発生数なども変化します。

太陽黒点の数は、約11年ごとに増えたり減ったりをくりかえします。宇宙嵐の主な原因は黒点です。黒点の数が増えてピークになったときを太陽活動極大期と呼び、太陽フレアや大きな磁気嵐がおきやすくなります。逆に、黒点の数が減る太陽活動下降期には、コロナホールが大きく広がり、太陽風のスピードが上がります。
望遠鏡が発明され、まだ太陽黒点の観測が始まったばかりの17世紀には太陽黒点が何十年も出てこない期間があったことを、グリニッジ天文台のマウンダーが発見しました。このように太陽活動が何十年も弱くなる時期は、グランドミニマムと呼ばれています。これまでの研究でグランドミニマムは数百年間隔で発生することがわかっていて、17世紀のグランドミニマムは「マウンダーミニマム」と呼ばれています。
このような100年スケールの太陽活動の変化は、地球の気温の変化と相関があることも知られています。そして太陽活動の長期的な変化は、気温の変化を通して、人類の歴史にも大きな影響を与えてきた可能性があります。実際、マウンダーミニマムの時には、とても寒い時期が長く続いたため、ロンドンのテムズ川が完全に凍結したり、ニューヨーク市ではニューヨーク湾が凍って自由の女神やスタッテン島まで歩いていけました。またアイスランドは周囲が海氷に閉ざされたため、貿易や漁業に大きな被害がでたり、飢饉に見舞われて人口がほぼ半分になったとの記録が残っているそうです。
太陽活動の11年周期と気候変動の関係性については、地球大気がもつ複雑な性質との切り分けが難しいため、世界中で最先端の研究が行われています。地球気候変動を正しく予測するためにも、太陽活動による影響を理解することはとても大切なことだと考えられています。

マウンダー極小期(Maunder minimum)

1645年から1715年にかけておよそ70年間、太陽磁気活動が著しく弱まり、太陽表面に黒点がほとんど観測されない期間が続きました。この期間は、太陽天文学の研究者で黒点現象の消失について過去の記録を研究したエドワード・モーンダーの名前にちなんで「マウンダー極小期」と呼ばれています。
マウンダー極小期中の30年間に観測された黒点数は、通常であれば4万から5万個程度の黒点が観測される期間で、たった約50にすぎませんでした。このように太陽の活動が著しく低下すると、地球のオゾン層に到達して吸収される紫外線が減ったことで、寒冷化(ミニ氷河期)をもたらしたと推測されています。

太陽活動について

太陽黒点数は約11年の周期で変動することが知られていますが、この発見は19世紀中期のシュワーベによるものでした。ガリレオが最初に望遠鏡で黒点を観測したのは17世紀初頭なので、その発見から200年以上経過していました。この遅れの理由は、17世紀半ばから一時期、黒点がほとんど見えない時期(マウンダー極小期)が続いた為です。しかし、このことは黒点数の周期性にはさらに長い周期のうねりがあることを示しています。

黒点は、太陽内部から伸び出した磁力線の束が集中する強い磁場の部分に現れます。黒点数の周期性は、太陽内部で磁場を維持増幅させるダイナモ機構と呼ばれる、電離気体の運動に伴って磁場を維持増幅する発電機のような機構が周期性を生み出していることを意味します。
黒点の周辺では、フレアなどの活動現象が起こるため、黒点数の周期は太陽の活動周期とも呼ばれています。また、黒点数の周期は太陽輝度の変化と連動していることが分かっており、その長期的な変動が地球の気候変動にも関係していることが示唆されています。

黒点数を数値化する際に伝統的に用いられているのが、黒点相対数です。これは1849年にチューリッヒ天文台長のヴォルフが考案した指標で、黒点群の数に10倍の重みを付け、個々の黒点数を加え、さらに観測者間の補正係数を掛けたものです。ヴォルフは当初は黒点の総面積を指標として考えていましたが、正確な測定が難しかったため、簡便な代用として黒点相対数を導入しました。
この定義には物理的根拠はありませんが、黒点群に大きな重みを付けた点や、活動現象の頻度との関連性を示唆する点で、先見の明があったと言えます。実際、黒点相対数は黒点面積や太陽電波強度とも良く比例することから、太陽活動の良い目安として広く用いられてきました。プロミネンスやX線強度、コロナ輝線にも11年周期が現れます。ただし、黒点のみからは赤道から中緯度までの変化しかわかりませんが、コロナ現象を追うことで極域までの変化も調べられます。

ヴォルフの提唱により、黒点相対数の国際共同観測が1855年から始まり、現在に至っています。現在の黒点相対数の集計は、チューリッヒ天文台ではなく、ベルギー王立天文台のデータ解析センターで行われています。
一方、黒点相対数は黒点群の数に重みが付けられていますが、単に黒点群の数のみで表す「群黒点数」も提案されています。黒点観測の精度には観測者によりばらつきがあり、暗部と半暗部の区別もまちまちです。群黒点数はこれらを補正した上で、複数の観測者による黒点群数の平均値を算出するものです。群黒点数は、観測手法が確立されていない17世紀のデータにも適用でき、最近の研究でも多く引用されています。

黒点相対数の変化を滑らかにし、極大値や極小値を求める際には、月平均黒点相対数の13カ月移動平均値を用いることが多くあります。黒点相対数の周期(極小から次の極小まで)には番号が付けられており、チューリッヒ天文台のヴァルドマイヤーの提案により、1755年から始まる周期が第1周期、直近は、第25太陽周期( Solar cycle 25)が、2019年12月からスタートしています。

20世紀に入り、高山での宇宙線観測が盛んになると、宇宙線強度が太陽活動と逆位相の周期性を持つことがわかってきました。太陽活動が活発な時は、太陽地球間の磁場が強くなり、宇宙線は磁場によって進路を大きく曲げられるため、地球に到達しにくくなります。宇宙線は地球大気中で核反応を起こし、不安定な同位体をつくりますが、その中の炭素の同位体である炭素14は二酸化炭素や有機物に取り込まれます。炭素14は半減期約5730年で崩壊するため、年代のわかっている有機物、特に年輪の中の存在量から、当時の宇宙線量や黒点相対数の大きさを推定できます。

エディーは1976年に、17世紀後半の炭素14が異常に多かったこと、またオーロラや太陽コロナの歴史記録、黒点観測の見直しから、この時期(1645年~1715年)の黒点数が極端に少なかったことを確認し、マウンダー極小期と名付けました(シュペーラーやマウンダーが1890年代にすでに指摘していました)。炭素14の異常量から、同様の極小期が1500年頃(1420年~1540年、シュペーラー極小期)にもあり、一方で12世紀には逆に黒点数の多い時代(グランド極大期または中世極大期と呼ばれ、中国や日本でも肉眼黒点の記録があります)があったことがわかりました。これらの長期的な活動極小期や極大期は、それぞれ地球の寒冷期(小氷河期)や温暖期に対応しており、太陽活動が気候に影響を与えていたことを示唆しています。

マウンダー極小期の特徴として、現れた黒点が南半球のみであったこと(通常は南北対称性がある)、黒点数極大間の周期が約22年であったこと、黒点から求めた自転速度が現在よりわずかに速かったことなどが挙げられます。これらの特徴が長期極小期に一般的かどうかはわかりませんが、ダイナモ機構の効率が悪かった可能性を示しています。

黒点の出現には、数だけでなく出現緯度にも特徴があります。周期の初めは中緯度(約30度)に現れ、終わりに向けて徐々に赤道付近に移動していきます。これはキャリントン・シュペーラーの法則と呼ばれ、蝶形図で可視化されます。1908年にヘールが黒点は磁場の現象であることを発見すると、ダイナモ研究の手がかりとなる磁場極性の法則が見つかりました。黒点は赤道に沿って極性の異なるペアで現れ、1周期の間はその関係が維持されますが、次の周期では極性が入れ替わります。つまり、この極性の法則は22年周期となります(ヘール・ニコルソンの法則)。また、ペア黒点を結ぶ軸の傾きは緯度により変化します。磁場の周期性は黒点だけでなく、弱い磁場にも現れ、極域磁場の極性は活動極大期に反転します(バブコックの法則)。  

精密観測により、太陽の明るさがわずかに(約0.2%)変動していることがわかりました。大きな黒点が現れると輝度は減少しますが、活動極大期全体としては明るくなります。小さな磁場構造が黒点に比べて明るいため(活動極大期には数が多い)、その寄与が大きいためです。マウンダー極小期のように長期的に活動が低ければ、太陽は長期間暗く、寒冷化の一因となった可能性があります。黒点相対数の極大値は、周期が短いほど大きくなる傾向があり、周期の長さと北半球気温上昇との逆相関から、太陽輝度変化が気候に影響を与えていると考えられます。


太陽活動周期のリスト

太陽活動周期とは、太陽表面に現れる黒点数に基づく、約11年周期で起こる太陽の活動変化のことです。第1周期は慣例的に1755年に始まったとされています。基礎データは、SILSOから入手可能な改訂された国際黒点数(ISN v2.0)です。黒点の観測は1610年から存在しますが、周期の番号付けはマウンダー極小期の間はうまく定義されていません。18世紀後半で1周期が欠落した可能性が指摘されていますが、完全に確認されてはいません。

過去1000年間の太陽活動周期は、放射性炭素14Cを代替指標として間接的に復元することができます。
平滑化には、従来のSIDCの平滑化アルゴリズムが使用されています。このアルゴリズムでは、対象の月を0か月目とし、-6か月から+6か月までの重み付き平均を計算します。ただし、-5か月から+5か月までは重み1、-6か月と+6か月は重み0.5です。他の平滑化公式も存在し、周期の振幅やタイミングはやや異なる値になります。例えばMeeusの平滑化公式による太陽活動周期の特性はこのSTCEニュースで入手できます。
第25周期の開始は、SIDC により2020年9月15日に2019年12月と宣言されました。

太陽の活動周期の期間
周 期 開始年月 終了年月 周期期間
 (年.月)
第1太陽周期  Solar cycle 1
1755年3月 1766年6月 11.3
第2太陽周期  Solar cycle 2
1766年6月 1775年6月 9.0
第3太陽周期  Solar cycle 3
1775年6月 1784年9月 9.3
第4太陽周期  Solar cycle 4
1784年9月 1798年5月 13.7
第5太陽周期  Solar cycle 5
1798年5月 1810年12月 12.6
第6太陽周期  Solar cycle 6
1810年12月 1823年5月 12.4
第7太陽周期  Solar cycle 7
1823年5月 1833年11月 10.5
第8太陽周期  Solar cycle 8
1833年11月 1843年7月 9.8
第9太陽周期  Solar cycle 9
1843年7月 1855年12月 12.4
第10太陽周期 Solar cycle 10
1855年12月 1867年3月 11.3
第11太陽周期 Solar cycle 11
1867年3月 1878年12月 11.8
第12太陽周期 Solar cycle 12
1878年12月 1890年3月 11.3
第13太陽周期 Solar cycle 13
1890年3月 1902年2月 11.9
第14太陽周期 Solar cycle 14
1902年2月 1913年8月 11.5
第15太陽周期 Solar cycle 15
1913年8月 1923年8月 10.0
第16太陽周期 Solar cycle 16
1923年8月 1933年9月 10.1
第17太陽周期 Solar cycle 17
1933年9月 1944年2月 10.4
第18太陽周期 Solar cycle 18
1944年2月 1954年4月 10.2
第19太陽周期 Solar cycle 19
1954年4月 1964年10月 10.5
第20太陽周期 Solar cycle 20
1964年10月 1976年6月 11.7
第21太陽周期 Solar cycle 21
1976年6月 1986年9月 10.3
第22太陽周期 Solar cycle 22
1986年9月 1996年5月 9.7
第23太陽周期 Solar cycle 23
1996年5月 2008年12月 12.6
第24太陽周期 Solar cycle 24
2008年12月 2019年12月 11.0
第25太陽周期 Solar cycle 25
2019年12月


太陽活動周期25の予測は、2019年に開催されたNOAA、NASA、および国際宇宙環境サービス(ISES)を代表するソーラーサイクル予測パネル(The Solar Cycle 25 Prediction Panel)によるものです。これが太陽活動周期25の公式予測に相当します。リリースされた予測は、周期25が2025年7月にピーク115を迎えるが、ピーク時期が2024年11月から2026年3月の間になる可能性があると予測パネルが見込んでいます。

太陽黒点相対数(SSN=Sunspot Number)サンスポットナンバー

チューリッヒのウォルフ(R. Wolf)が考案した太陽全面に現れる黒点により太陽活動を表す指標。ウォルフ数(Wolf number)、国際黒点数(international sunspot number)とも呼ばれます。黒点相対数Rは、観測方法、観測装置性能、および観測者の個人差を補正するための係数をk、黒点群数をg, 全黒点数をsとすると、R = k(10g + s)と定義され、1日の観測より求められます。ウォルフ数は太陽磁気活動が低下して黒点がほとんど観測されなかったマウンダー極小期を除けば、約11年の周期で増減します。この太陽活動周期は、ドイツのシュワーベ(H. Schwabe)が1843年に黒点数の増減より発見しています。黒点相対数は長らくチューリッヒのスイス連邦天文台により編纂されていましたが、1981年よりベルギー王立天文台に移行しています。

極端な宇宙天気現象がもたらす最悪のシナリオ

2022年6月21日、総務省から「宇宙天気予報」についての発表がありました。一般の方にはなじみの薄い内容ではありますが、最悪の事態を想定した内容だったため、ニュースでもセンセーショナルに取り上げられていました。
宇宙天気予報というと聞きなれない言葉かもしれません。太陽からの高エネルギー粒子の影響で、地球周辺の宇宙環境が大きく変動する現象のことを指します。この現象が通信・放送、測位などのインフラに障害をもたらす可能性があるのです。
総務省の発表は、そうした最悪の事態に備えた対策を呼びかけるものでした。極端な例を挙げてしまったため、一部でセンセーショナルに受け止められてしまったようです。しかし、日頃から気を付けておく必要がある重要な問題なのは事実です。



宇宙天気予報とは

「天気予報」と名前は付いているものの、発表元は総務省の所管です。一般の天気予報は国土交通省外局の気象庁が担当しますが、宇宙天気予報の業務は総務省の電波行政に由来する国立研究開発法人情報通信研究機構 (NICT) の電磁波研究所宇宙環境研究室が行っています。この組織の起源は郵政省時代まで遡り、電波関連は総務省管轄となっているためです。情報通信研究機構に宇宙天気情報センターが設置されたのは1988年で、この年から情報提供が開始されました。2004年の独立行政法人化以降は公式ウェブサイトで情報公開されています。宇宙天気予報サイト https://swc.nict.go.jp/

しかし現状では、危険な宇宙天気現象を観測・予測できても、それを適切に伝達する体制が整備されていないのが課題です。今後はその対策のため、法整備なども検討する必要があるでしょう。
そこで今回、最悪のシナリオを公表したのは、この問題の重要性を広く知らしめるためだと考えられます。センセーショナルな取り上げ方をされましたが、問題認知を促す狙いがあったと言えると思います。

宇宙天気予報について詳しくは以下にまとめています。
宇宙天気予報 (Space Weather Forecast)

総務省より発表された「極端な宇宙天気現象がもたらす最悪シナリオ」

総務省は「極端な宇宙天気現象がもたらす最悪シナリオ」を公表しました。
100年に1回またはそれ以下の頻度で発生する極端な宇宙天気現象、いわゆるエクストリーム・イベントについて、日本が受ける被害の全体像を明らかにし、社会インフラにおける対策の必要性を関係企業等に周知するとともに、産学官による対策立案の基礎資料とすることを目的に、起こり得る最悪シナリオを検討したそうです。
エクストリーム・イベント発生時に日本で起こり得る最悪の被害を、通信・放送・レーダー、衛星測位、衛星運用、航空運用、電力分野の社会インフラ別に整理しました。一部分野では、インフラ被害による利用者への影響も想定しているとのことです。

前提条件として、
・100年に1回以下の極端な宇宙天気現象を想定。
・2週間にわたりX10クラス以上の太陽フレアが連続発生、最大ではキャリントン・イベントを超える電波バースト、電離圏攪乱等が継続。
・この期間でGPS L1周波数が最大37m遅延するような電離圏状態が2週間続く。
・10MeV以上の高エネルギー陽子フラックスが10,000PFU以上が2週間断続的に、100,000PFU以上が数日継続的に発生。
・大規模地磁気嵐が2週間断続的に発生し、最大500Aの自然電流が電力網等に2週間、断続的に流れる。
などを設定しています。

最悪のシナリオ 

ア 通信・放送・レーダーへの被害がもたらすもの 

  • 短波帯(HF)の通信は、発生直後から、全国的に使用不可となる状況が 2 週間断続的に続く。短波帯の電波を用いる船舶無線や航空無線、アマチュア無線の利用に多大な支障が生じる。
  • 短波帯の放送は、電離圏伝搬を伴う地域においては、2 週間にわたり断続的に使用不可となる。
  • VHF 帯・UHF 帯の周波数を使用する無線システムは、発生直後から太陽フレアの大規模爆発による電波雑音(太陽電波バースト)の影響を受け、昼間の時間帯に断続的に使用できなくなる期間が全国的に 2 週間続く。このため、防災行政無線、消防無線、警察無線、タクシー無線、列車無線等の通信システムに多大な支障が生じ、これらを用いる都道府県・市町村・公共機関等の公共サービスの維持が困難となる。
  • UHF 帯の周波数を使用する携帯電話システムには、発生直後から太陽電波バーストの影響を受け、昼間の時間帯に最大で数時間程度のサービス停止が全国の一部エリアで 2 週間にわたり断続的に発生する。携帯電話システムが使用できる周波数が一時的に逼迫するため、回線のふくそうや通信の途絶が発生し、緊急通報(110番、119 番、118 番)を含む全ての通信がつながりにくい事態が各地で発生する。また、スマートフォンからの携帯電話事業者経由のネット接続も困難になる。
  • FM 放送(VHF 帯)においては大規模な雑音が発生し、昼間の時間帯に2週間にわたり断続的に放送を聴取しにくくなる事態が発生する。
  • L 帯の周波数を使用する衛星携帯電話(インマルサット、イリジウム等)においては、断続的に通信回線を使用できなくなる期間が全国的に 2 週間続く。このため、航空機、船舶、電力・ガス・石油などのライフライン企業、重要拠点のバックアップ、遠隔地の監視・制御、自治体の防災用途等において衛星携帯電話を利用する分野は活動に著しい制約を受ける。
  • 船舶無線については、短波通信と衛星携帯電話の両方が使用困難となり、洋上で孤立する船舶が発生し、遭難事故時の救助要請が困難になる。
  • 一部の周波数帯のレーダーについて、太陽電波バーストにより昼間の観測能力の低下が 2 週間にわたり断続的に発生する。気象観測用レーダー、航空管制用レーダー、防衛用監視レーダー、船舶用レーダー、沿岸監視用レーダー等の社会生活を支える公共用システムに多大な支障が生じる。その結果、航空機や船舶の運航見合わせが発生し、安全保障分野にも影響が生じる。

イ 衛星測位への被害がもたらすもの 

  • 衛星からの電波を受信することによって位置情報を計算する衛星測位システム(GPS 衛星、準天頂衛星みちびき等)は幅広い分野で利用されているが、電離圏等の変動や通信障害による基準局データの補強情報の受信不能により、測位精度の大幅な劣化や測位の途絶が全国的に 2 週間にわたり断続的に発生する。
  • このため、カーナビゲーションや自動運転、ドローンの位置精度が大幅に低下し、衛星測位に係る冗長系や安全対策を持たないシステムを運用した場合、最大で数十メートルの誤差(ずれ)が生じ、その結果、衝突事故が発生する。また、安全確保のための運行見合わせが 2 週間にわたり断続的に発生する。
  • 同様に、衛星測位を利用する農業機械、建設機械、車両(物流、旅客、バスロケーション、配車管理)、ロボット、貨物追跡システム、鉄道、船舶では、測位精度の大幅劣化や測位の途絶に伴い運行抑制が 2 週間にわたり断続的に発生し、農作業や建設作業の遅れ、交通・物流の停滞が大規模に発生する。
  • スマートフォンの位置情報の精度が劣化するため、緊急通報(110 番、119 番、118番)を発信した際、通話が接続された緊急通報受理機関に対して発信者の位置情報を自動的に通知する緊急通報位置通知の精度が劣化し、緊急時の駆けつけが遅れる。また、目的地までのナビアプリが使用しづらくなる。さらに、フードデリバリーサービスの配達業務において、利用者個人や利用宅への荷物のピンポイントの配送が困難になる。

ウ 衛星運用への被害がもたらすもの 

  • 衛星の電子機器異常や急激な帯電現象により多くの衛星になんらかの障害・不具合・故障が発生し、そのうち相当数の衛星はシステム機能の一部または全体を喪失する。
  • 全ての衛星について慎重な運用を強いられ、安全モードへの移行により衛星の機能が 2 週間にわたり大幅に制限される。
  • その結果、気象衛星の利用制限により、天気予報の精度が劣化する。通信衛星の利用制限により、衛星通信の利用が困難になる。放送衛星の利用制限により、衛星放送の視聴が困難になる。測位衛星の利用制限により、衛星測位の利用が困難になる。観測衛星の利用制限により、リモートセンシング(農業、植生、都市計画、資源探査、海洋監視、防災、防衛等)の利用が困難になる。
  • 衛星の太陽電池の劣化が急激に進行し、衛星の寿命が大幅に短くなる。
  • 地磁気嵐によって密度が増した大気による抵抗を受けるため、低軌道で運用される衛星については、衛星の軌道に異常が生じて軌道の予測が困難になり、他の衛星やデブリとの衝突するリスクが増大する。また、大幅に軌道高度が低下し、相当数の衛星は大気圏突入により損失する。軌道高度が低下した場合、軌道保持のために燃料を余分に消費するため、衛星の残存寿命に悪影響を与える。
  • 打ち上げの見合わせにより、衛星コンステレーションによる通信サービスのインフラ整備が遅れる。

エ 航空運用への被害がもたらすもの 

  • 衛星測位精度が劣化したとしても衛星測位に頼らないシステムへの切り替えにより航空機運用は可能なものの、通常レベルの運航頻度を維持することができなくなるため、全世界的に運航見合わせや減便が 2 週間にわたり多発する。
  • 航空機被ばく線量率については被ばく後すぐに健康影響が出るようなものではないものの、放射線防護の基本原則である、被ばく線量は「合理的に達成可能な限り低く(ALARA の原則)」を勘案して、高緯度領域での飛行に伴う搭乗員の人体被ばくを避けるため、迂回航路を選択することに伴い飛行時間が長くなり消費燃料も増加する。
  • 航空管制レーダーが太陽電波バーストの影響を受けて使用困難となり、観測能力の低下が各地域で 2 週間にわたり断続的に発生する。これに伴い、数時間単位での出発便の空港待機、到着便の上空待機が 2 週間にわたり断続的に発生し、運行スケジュールや計画が大幅に乱れる。混乱や事故リスクを避けるため、航空機の運休が 2 週間にわたり発生する。

オ 電力分野への被害がもたらすもの 

  • 電力系統においては、磁気圏じょう乱により地磁気誘導電流(GIC)が発生し、設備上・運用上の対策を措置していない電力インフラにおいては、保護装置の誤作動が発生し、広域停電が発生する。
  • 誤作動が起きなかった場合も、一部の変圧器の加熱による損傷が発生し、電力供給に影響が出る。
  • 電力供給の途絶や逼迫に伴い社会経済や全産業が広範囲に影響を受ける。
  • 損傷による多数の変圧器を交換する必要が生じた場合、多くのコストや作業日数を要する工事が必要となる

通信・放送・レーダー分野、衛星測位分野、衛星運用分野、航空運用分野、電力分野の各分野で多大な影響があることがわかります。

通信・測位・衛星運用などのシステムは互いに依存している場合があり、影響し合って機能を失ったり低下したりする可能性があります。複数のリスクが内在しているため、障害物競走のようにゴールに到達するのが困難になる場合があります。例えば、

・GPS測位データの劣化→スマホの位置情報精度低下→110番/119番の緊急通報位置通知の精度低下→緊急時の駆けつけ遅れ

・携帯電話の利用可能周波数が一時的に逼迫→回線混雑や通信途絶→110番/119番につながりにくい→緊急時の駆けつけ遅れ

・消防無線や警察無線が昼間に断続的に2週間使用不能→緊急時の駆けつけ遅れ

複数の障害が重なる可能性もあります。

・緊急通報位置通知の精度低下+消防/警察無線使用不能→緊急時の駆けつけ遅れ

・GPS測位データ劣化→スマホ位置情報精度低下→ウーバーイーツが来ない
 ・スマホからのネット接続困難→ウーバーイーツそもそも頼めない

などの事態が想定されているということです。通信・測位などのシステムがつながっているため、一つの障害が連鎖的に影響を及ぼす可能性があるということですね。

「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会報告書(案)」に対する 意見募集の結果及び報告書の公表公表資料
 (1)「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」報告書:別紙1PDF
「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」報告書


 (2)「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」報告書概要:別紙2PDF

「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」報告書概要


 (3)意見募集の結果と検討会の考え方:別添PDF



総務省|宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会|宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/space_weather/index.html

ニュース
100年に一度の「太陽フレア」で通信・放送が2週間途絶する――総務省会合の報告書- Yahoo!
2022年6/21(火) 20:14配信
100年に一度の「太陽フレア」で通信・放送が2週間途絶する――総務省会合の報告書
 総務省は21日、「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」の報告書を発表した。同報告書のなかでは、100年に一度の“極端な宇宙天気現象”がもたらす通信などへの影響も紹介されている。
「宇宙天気予報の高度化の在り方に関する検討会」は、2022年1月から総務省が開催してきたもの。座長は、名古屋大学宇宙地球環境研究所所長の草野完也氏が務める。
報告書では、太陽から到来したり地球周辺で発生したりする“宇宙天気現象”のうち、極端なものに関して、「通信などの社会インフラに異常を発生させるおそれがある」とされている。
Yahoo!ニュース キャプチャ



ニュース「宇宙天気」国家で備えを 総務省会議が報告書、最悪シナリオ紹介 - 産経ニュース
2022/6/21 11:15
「宇宙天気」国家で備えを 総務省会議が報告書、最悪シナリオ紹介
総務省の有識者会議は21日、太陽表面の爆発現象などの情報を伝える「宇宙天気予報」について、観測や発信の強化に向けた報告書の内容をまとめた。宇宙の状況が通信や電力網といったインフラに悪影響を及ぼしかねないためで、国家で危機管理に当たる必要があると提言。専門人材が活躍できるよう「宇宙天気予報士」といった民間資格をつくることも促す。

産経ニュース キャプチャ


携帯電話が不通・広域停電・GPS精度低下…100年に1回の「太陽フレア」に警戒を : 読売新聞オンライン
2022/04/27 10:00
携帯電話が不通・広域停電・GPS精度低下…100年に1回の「太陽フレア」に警戒を
通信障害などをもたらす恐れのある太陽表面の爆発現象「太陽フレア」について、総務省の有識者会議は26日、被害想定や対策を盛り込んだ報告書案をまとめた。最悪のケースでは、一時的に携帯電話が使えなくなるほか、広域停電が発生する可能性もあると指摘し、企業や行政に注意を促す警報制度の強化が必要だと指摘した。

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