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無人航空機のバッテリー リポ(LiPo) / リチウムイオン【教則学習・詳細】

2024年6月13日  2024年6月13日 

ドローンのための電池入門 リポ/リチウムイオン

リチウムイオン電池とリチウムポリマー電池
リチウムイオン電池は正極(Cathode)と負極(Anode)との間を微小な孔が多数開いたセパレータ(Separator)を用いて、絶縁し、それらを電解液( Electrolyte)で満たした構造をしています。この電解液が外部に漏れるのを防ぐため外装容器に金属缶を使用していました。1999年、ソニーが電解液をゲル状ポリマー電解質に置き換えることで、液漏れの心配をなくし、アルミラミネートパックを使用することで、薄型・軽量を実現した“リチウムイオン・ポリマー二次電池”を商品化しました。この構造により、ケースが軽量化されるとともにエネルギー密度が高くなり、ドローンなどのパワーを必要とする機器にも使用される高出力バッテリーとして広く普及することになりました。一方で、折り曲げや衝撃、過充電・過放電、ショートによる発火・炎上の危険性があるため、注意が必要となります。
リチウムポリマーバッテリー(LiPoバッテリー)は、薄い層(セル)を複数組み合わせた構造になっており、一般的には一つのセルが3.7Vとなります。複数のセルの場合、「2セル」で 3.7V x 2=7.4V、「3セル」なら 3.7V x 3=11.1V がバッテリー全体の電圧になります。しかし、セルの電圧バランスが崩れると、安定した電力供給や正常な充電ができなくなるため、セルバランスの確認が重要です。

リチウムイオンポリマーバッテリーは、普及に伴い、「リポバッテリー」、「LiPo」、「Li‐Po」「LPB」、「リチウムポリマー」または「ポリマー電池」とも呼ばれ、耳にする機会が増えました。電解液を状態が、液体なのか、ゲル状なのかの違いですので、広い意味で言えばリポバッテリーもリチウムイオンバッテリーの一種という事が出来ます。大まかな動作の仕組みや、取り扱いの方法、注意点も共通するところが多いです。
電池のセル(Cell)とは、正極、負極、セパレータ、電解液等から構成され、電池として機能する最小構成単位のことです。
リチウムイオン電池のセルの製造方法は捲回(けんかい)式と積層式があり、形状から円筒形(Cylindrical)、角形(Prismatic)、ラミネート形(Pouch)などの種類があり、それぞれの特徴もあります。

リチウムイオン電池の歴史

リチウムは最も軽量な金属で、かつイオン化傾向も最も大きく反応性に富むため、これを電池に利用しようとする研究は早くから進められていました。従来の電池のように水溶液系の電解質を用いると爆発してしまうという問題をかえていましたが、非水溶液系の有機溶媒を電解質として利用することで、1971年、負極に金属リチウムを用いた使い切りのリチウム一次電池が開発されました。

一次電池が開発されると、次なる目標になるのは、二次電池の開発です。ところが、その開発には大きな壁が立ちはだかり、なかなか実用化には至りませんでした。
繰り返し充放電可能な二次電池を実現するには、電荷を運ぶリチウムイオンをできるだけ多く出入りさせたり、蓄えたりさせる電極材料として、全く新たな活物質が必要でした。活物質とは、電池の化学反応に関与して電気エネルギーをつくりだす物質のことを言います。

1970年代、化学者のスタンリー・ウィッティンガム氏は、負極に金属リチウム、正極に二硫化チタンを用いたリチウム二次電池を開発しました。二硫化チタンは層状化合物で、層間にリチウムイオンを蓄えさせるという、すぐれたアイデアを利用するものでした。
インターカレーションという、層状化合物の層間にイオンが出入りする現象を起こす層間化合物であるインターカレーション物質を使用したものでした。
しかし、このリチウム二次電池は安定性に欠けて実用化には至りませんでした。

1980年、物理学者のジョン・グッドイナフ氏は、層状化合物であるコバルト酸リチウムが、すぐれた正極材料となることを発表しました。しかし、充放電を繰り返すと、金属リチウムの負極にデンドライトと呼ばれる針状物質が析出し、成長が進み正極に達すると短絡(ショート)してしまうという問題があり、これも実用化には至りませんでした。

そのころ、導電性高分子であるポリアセチレンを負極材料として用いるというアプローチから研究を進めていたエンジニアの吉野彰氏は、グッドイナフ氏の論文を読んで、ポリアセチレンを負極活物質、コバルト酸リチウムを正極活物質とすることにより、安定した二次電池を開発することに成功しました。その後、ポリアセチレンにかわりカーボン系材料(グラファイトなど)を用いることで、今日のリチウムイオン電池の原型が完成し、1991年には世界初のリチウムイオン二次電池が製品化されました。

リチウムイオン電池は、重量および体積エネルギー密度が高く、自己放電が少なくて長寿命など、きわめて優れた特長をもつ二次電池です。1991年に実用化されて以来、携帯電話やスマートフォン、ノートパソコンなど、モバイル機器の小型・軽量化と普及をもたらし、IT社会の発展に大きく貢献しました。このような事が評価され、開発に貢献したエンジニアの吉野彰氏をはじめ、物理学者のジョン・グッドイナフ氏、化学者のスタンリー・ウィッティンガム氏の3人の研究者に2019年、ノーベル化学賞が授与されました。

リチウムイオン電池の基本構造
リチウムイオン電池の基本構造
リチウムイオン電池の基本構造は、リチウムイオン電池は、正極材(正極活物質と集電体)、負極材(負極活物質と集電体)、それらを隔てるセパレータおよび電解質などによって構成されます。

リチウムイオン電池のタイプと製法

リチウムイオン電池は、セル(単電池)の形状によって円筒型、角型、パウチ型(ラミネート型)などに分類されます。電池の容量を高めるためには電極面積を大きくする必要があり、そのための製法として巻回(けんかい)工法(倦回工法)と積層工法があります。
巻回工法は、活物質を両面に塗布した正極シートと負極シート、それらを隔てるセパレータを重ねながら自動巻回機で巻き取って製造する方法です。積層工法に比べて製造コストが低く、円筒型や角型のセルに適しています。
積層工法は、主にパウチ型に採用されている製法で、所定の大きさに切断した正極シートとセパレータと負極シートを順次積層していく工法です。巻回工法に比べて電池の容量を大きくでき、パウチ型のセルに適しています。

リチウムイオン電池の短所は、電解質に有機溶媒が使用されているため、液漏れすると発火のおそれがあることです。そこで、電解質にゲル状高分子(ポリマー)を用いて信頼性を高めたのが、リチウムポリマー電池(LPB、LiPo電池)です。

バッテリーを使用する場合、どのタイプのバッテリーが最適かは、使用機器だけでなく特定の要件によっても異なります。リチウムポリマー電池はその柔軟性とスリムな寸法で知られており、ドローンやGPSトラッカーなどの軽量化の求められるデバイスに適しています。一方、リチウムイオン電池はエネルギー密度とその他の要素のバランスが優れているため、エネルギー貯蔵システムや電気自動車など、より長い電池寿命が必要なデバイスにとって優れた選択肢となります。したがって、特定のニーズに応じて定在適所で使用されていると言えると思います。

汎用的リチウムイオン電池セルのサイズ

円筒型セルは外形と長さをミリ単位で表したものを型式番号にしています。たとえば外径Φ18.0mm、長さ65mmのサイズは「18650」と呼ばれます。
この「18650サイズ」のセルはパソコン等に多用される標準サイズとなっており、一つのセルは円筒型の乾電池の外見をしています。
角型セルやラミネート型のセルは円筒の「18650」のような標準的なサイズがありませんので、メーカーによって、または容量・用途によって多種多様なサイズが存在します。

リチウム ポリマー電池とリチウムイオン電池の特徴

どちらも充電可能なリチウムイオン電池の一種ですが、実際には、リチウムポリマー電池は、安全性と設計の柔軟性の点でいくつかの独自の利点を備えたリチウムイオン電池の一種です。
次の表は、リチウム ポリマーとリチウムイオンの特徴を示しています。それぞれの比較して相対するものです。
特徴 リチウムイオン(Li-ion)リチウムポリマー(Li-Po)
電解質液 体固体、ゲル状、またはポリマー
Structure硬い、長方形様々な形状に成型可能
エネルギー密度低い高い
サイクル寿命長い短い
費用安価高価
自己放電自己放電月あたり 1 ~ 2%
代表的な使用機器電気自動車、医療機器、UPSシステムドローン、RCカー、ポータブル電子機器

リチウムイオン電池の他の電池との比較

充電して繰り返し使える二次電池には、リチウムイオン電池以外に、鉛蓄電池、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池などがあります。そうした電池と比べた場合にもっとも分かりやすいリチウムイオン電池のメリットには、以下のようになります。
  • 他の電池より小型で大容量
    同じサイズでこれらの電池の特徴を比べてみると、鉛蓄電池は2.1V、ニッケル水素電池は1.2V、ニッケルカドミウム電池は1.25Vまでの電圧しか出すことが出来ません。これに対して、リチウムイオン電池は3.2~3.7Vという高い電圧まで出すことが出来ます。

  • 繰り返しの充電・放電に強い
    リチウムイオン電池は蓄電のしくみは、他の二次電池のような化学反応を利用しませんので、他の二次電池に比べて電極の劣化が少なく、充電や放電の繰り返しにも非常に強いです。

  • 急速充電ができる
    リチウムイオン電池には急速充電ができるという大きな特徴があります。ただ、充電を短時間に行う急速充電は、リチウムイオン電池以外の二次電池でも可能です。しかし、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池では充電の終了判定が難しかったため、実用化されませんでした。リチウムイオン電池では、充電器側で終了判定が可能になったので実用化されました。

  • 自然放電(自己放電)しにくい
    電池には使わなくても自然に放電してしまう、「自己放電」という現象があります。
    自己放電は、放置しているだけでも少しずつ化学反応が進行することで起きます。したがって、他の二次電池で起きる電池反応とは少し違った反応を用いるリチウムイオン電池では、ほとんど自己放電は起きません。

  • 継ぎ足し充電が可能
    リチウムイオン電池の特徴として、使い勝手の良さも挙げられます。例えば、ニッケル水素電池やニッケルカドミウム電池の場合、容量が残っているのに途中から継ぎ足し充電をしてしまうと、その容量以上に充電されていないように見えてしまうことがあります。これは「メモリー効果」と呼ばれますが、リチウムイオン電池では基本的に起こることはありません。
    ニッケル水素電池やニッケルカドミウム(ニッカド)電池ではメモリー効果を防ぐために、電気を全て使い切ってから充電する方法が推奨されています。これに対して、リチウムイオン電池は途中まで電気を使った状態でも継ぎ足して充電できるので、使い勝手が良い電池と言えます。また、ニッケル水素やニッカド電池のように「電気を全て使い切ってから充電する」方法をリチウムイオンやリチウムポリマー電池電池で行うと電池寿命を極端に縮めてしまうことになるので注意が必要です。

リチウムイオン・リチウムポリマー電池の寿命

リチウムポリマー (LiPo) バッテリーの寿命は、使用方法、保管方法、充電方法などのさまざまな要因によって異なりますが、平均して、リチウムポリマーバッテリーの充電サイクル寿命はおよそ 300~500回です。

電池を長持ちさせるには

リチウムポリマーバッテリーは使い切らない

リチウムポリマーバッテリーを使用する際は、残量を20~25%程度残してフライトを終了し、最後まで使い切ることのないように安全なマージンを持って降ろすことが重要です。これは安全なフライトのためだけでなく、バッテリーの寿命を延ばすための方法でもあります。
バッテリーを使いすぎて一定の電圧以下になった状態を過放電状態と呼び、この状態になるとバッテリーは劣化し、寿命が縮まってしまいます。そのため、過放電を防ぐための保護回路が必要不可欠です。この保護回路はバッテリーの電圧を監視し、一定値を下回った場合に出力を止めます。
また、リチウムポリマーバッテリーは自己放電により、使用していなくても少しずつ電圧が下がっていきます。過放電保護が働いた後に充電せずにそのまま放置すると、過放電状態になってしまうため、トリクル充電(微弱な電流での充電)によって一定の電圧まで充電を行い、バッテリーを復帰させる必要があります。
さらに、電流にも制約があり、通常のバッテリーでは容量値(例:500mAh)以上の電流(例:500mA以上)を連続で使用してはいけません。バッテリー側にこの保護機能が備わっていれば安全です。特別な規定がないバッテリーの場合は、容量値(Cレート)を基準とすると無難です。急速充放電を保証しているバッテリーと充電器であれば、その仕様に準じます。

それ以外にも、リポバッテリーには、安全に放電できる温度範囲もあります、一般的には、-20℃以上60℃以下と言われています。温度センサを内蔵しているバッテリーもあるりますが、一般的なものは温度センサがない物も多いと思います。熱がこもる場所や、寒気にさらさせる場所にバッテリーを置いておかないよう注意が必要です。

リチウムポリマーバッテリーの寿命を縮める可能性のある理由は次のとおりです。
  • サイクル:LiPoバッテリーは頻繁に充放電を行うため、サイクルが短くなります。充電と放電によりバッテリーのセルにストレスがかかり、セルが劣化します。
  • 保管条件: LiPoバッテリーは涼しく乾燥した環境に保管されます。 高温と湿度が高いと、LiPoバッテリーの寿命が短くなります。
  • 過充電: リポバッテリーは過充電すると寿命が短くなります。 専用の充電器をご使用ください。
  • 放電の深さ (DOD): 放電深度は、再充電される前のバッテリーの容量です。 DOD が深くなると、LiPoバッテリーの寿命が短くなる可能性があります。
蓄電池の寿命にはDOD(放電深度)が深く関わってきます。
DOD(放電深度)とは
DOD(Depth Of Discharge)とは各電池を満充電状態にして標準的な条件で放電した際の放電容量を100%とした際、何%放電したかを表す量です。つまり、電池の放電容量に対する放電量の比のことです。簡単にいうと、1サイクル時に「蓄電池を何%まで放電するか」を表す値です。日本語でいうと放電深度になります。
たとえば、容量3,000mAhの電池を300mAhで放電した場合、その放電深度は10%になります。

蓄電池の寿命は「サイクル回数」によって決まります。
サイクル回数は、満充電してから完全放電した回数を「1サイクル」としてカウントされます。
満充電:蓄電池に残量100%まで充電している状態
完全放電:蓄電池が残量0%になるまで放電し、完全に電気を使い切った状態

蓄電池を長期間使用したい場合はサイクル回数ではなくDODの値を見る
1サイクルの定義はメーカーごとに定められているDOD(放電深度)によって変わります。
たとえば、蓄電池の寿命3,000サイクル、放電深度80%と表記しているバッテリーがあるとします。この場合、「満充電(100%)から残量20%までの放電」が1サイクルということになります。
そのため、蓄電池を寿命を延ばすためには、放電深度の値をにあわせて、電池残量20%までの放電にします。もし、20%以下まで放電した場合は蓄電池が劣化して3,000サイクルを下回る可能性が高くなります。リチウムイオン電池は、基本的に0%まで完全放電すると劣化が早まりますので、放電を残量20%で止めておけば、より長く使用できるようになります。
このように、二次電池はサイクル寿命がDOD(放電深度)に強く依存しています。放電深度は、充放電を繰り返す蓄電池の劣化と密接にかかわっており、放電深度が深いほど劣化が進行していき、電池が大きなダメージを受けます。

リチウムポリマーバッテリー(リポバッテリー)の充電には細心の注意が必要です。
充電はバッテリーパックを専用充電器に挿入するか、リード線でコネクタ接続するようなものがあります。リポバッテリーモードなど適切な設定を選択してから充電を行う必要がある充電器もあります。

リポバッテリーの充電時は目を離さない

リチウムポリマーバッテリーの充電時には細心の注意が必要不可欠です。実際に、このバッテリーを原因とする事故の7割が充電中に発生しているとされています。
充電を開始したら、そのまま放置せず、常に目を離さないよう心がけましょう。何らかの異常が起きた際に、すぐに充電を中止できる体制を整えておく必要があります。そのため、充電中は外出したりせず、視界の届く範囲で行うことが重要になります。

劣化した蓄電池は発火する可能性がある

蓄電池は使い続ければどんなにメンテナンスを行っていても劣化していきます。
発売されているメーカーの蓄電池は、発火しないよう異常検知の機能はほとんど付帯されていますが、劣化した蓄電池は、電気の流れが内部でうまくいかずに発火する可能性があります。いきなり爆発したりする可能性はきわめて低いですが、劣化したものを無理矢理使いつづけた場合、そうなる可能性は否定できません。

充電レート

充電レートは1C充電(バッテリー容量値と同じ値の電流値)が基本となります。例えば1500mAhのバッテリーなら1.5Aの電流で充電することが安全です。急速充電は危険であり避けるべきです。
過充電、つまりバッテリーの上限電圧(現在は4.2V程度)を超えて充電してしまうことは極力防がなければなりません。過充電を防ぐには、充電回路側またはバッテリー側に電圧監視の保護回路が必要不可欠です。両方に保護回路があれば、万が一片方が故障しても危険は回避できます。

また、過電流、つまり上限の充電電流を超えて充電することも危険です。バッテリー容量の1C(例:1000mAhなら1A)が最大の充電電流となり、これを超えた充電電流は避けなければなりません。充電器側の過電流保護回路の設定にも気をつける必要があります。
リポバッテリーの充電では、専用充電器の適切な設定、目視監視、1C充電の遵守、過充電と過電流の防止など、安全対策を怠らずに行う必要があります。

放電する場合と同様に、充電可能な温度範囲もあり、その範囲はさらに狭くなります。一般的には、0℃以上45℃以下です。使用し終わった直後や、屋外、特に車室内に置いてあったリポバッテリーでは、充電に、より注意が必要です。

リチウムイオン電池は過充電と過放電での使用は避ける

リチウムイオン電池にとって避けておきたいのは、100%の充電状態を維持しながら機器を使用することです。ドローンでの使用では、充電しながら使用する状態は考えにくいですが、満充電の状態で電源に繋いだまま使用し続けると、電池の寿命を早めてしまいます。
たとえば、スマートフォンやノートパソコンなどのデバイスでは、常に充電した状態で電池を使用する状況もあり得ますが、電池の容量を超えて充電されないような回路が使用されています。したがって、電池に過度な負担がかかる心配はないのですが、リチウムイオン電池を長持ちさせたいのであれば、電源に繋いだまま50%くらいまで充電した状態で使い続けることがバッテリーにとっては良いとされています。ノートパソコンの機種によっては、50%以上は充電されないように設定できる機種もあります。

一方で、電気をほとんど使い切った過放電の状態で放置しておくことも、リチウムイオン電池の寿命を早める原因になります。

リチウムイオン、リチウムポリマー  どちらがより安全か

安全性はバッテリーを選択する際に考慮すべき重要な要素です。リチウムポリマー電池とリチウムイオン電池は一般に安全に使用できますが、いくつかの違いがあります。リチウムポリマー電池は安定性が高く、液漏れや爆発のリスクが少ないため、より安全です。一方で、リチウムイオン電池はリスクが高くなります。 熱暴走、極端な条件や誤用下で発生する可能性があります。
ただし、バッテリー管理システムに適合するバッテリーパックを使用している限り、どちらのタイプのバッテリーも安全です。より高い動作電圧を必要とする機器の場合は、リチウムポリマー電池を選択するのが一般的のようです。

リチウムイオン・リチウムポリマー電池 の 安全性

単位容積あたり高い密度でエネルギーが蓄えられるリチウムイオン電池は、他の種類の二次電池に比べて安全性に十分な配慮が必要です。また、可燃性の有機溶媒を使っている点からも、水溶液を使っている他の二次電池と比べて取り扱いに注意が必要です。

円筒形や角形のリチウムイオン電池は熱を逃がしにくく、高レートで充放電すると熱暴走を引き起こす可能性があります。薄型のリチウムポリマーバッテリーは内部の熱を素早く放散することが出来ます。一方、LiPo バッテリーは内部抵抗(A=V/Ω)が低いため、放電電流が大きくなります。
リチウムポリマーバッテリーは内部抵抗が低いため非常に活性が高く、過充電や過放電により損傷しやすくなります。バッテリーが0%になるのを防ぐために、リチウムポリマーバッテリー専用の充電器を使用することが重要です。

通常、リチウムポリマーバッテリーはリチウムイオンバッテリーよりも内部インピーダンスが低いため、より高い充電電流を処理できます。理論的には、リポバッテリーは、リチウムイオン電池より速い速度で充電できます。

セルの安全対策

セル自体が有する安全対策としては、円筒型電池ではセルの頭の部分に正の温度係数(PTC:Positive Temperature Coefficient)のサーミスタが組み込まれており過電流を阻止します。
またセルの内部圧力が上昇した時に、機械的に電流経路を遮断するディスコネクト素子(電流遮断装置 CID : Current Interrupt Device)が採用されています。
セルの温度が上昇した時にセパレータが溶けて、セパレータが有しているイオンの経路である穴が閉じて、セル内の電流が止まるというセパレータメルトダウンという機構もあります。セルメーカーによっては、電解液に添加物を加え印加電圧が4.2Vを越えた時には添加物が急激な重合反応を起こしてイオンの流動性を阻止する技術を採用している例もあるようです。

バッテリーパックの内部構成 

直列接続と並列接続
電池を使用する機器によって、必要な電圧、容量、収納スペースが異なります。
乾電池の場合は形状と容量が決まっているので、空いたスペースに並べて挿入するだけですが、リチウムイオン電池は過充電や過放電を防ぐ保護回路が必須なので、回路と電池を一体化させる必要があります。
例えば携帯電話によく使われる角型リチウムイオン電池には、保護回路が取り付けられており、セル単体で用いられることはありません。単セルの最大電圧は4.2Vですが、直列接続で高電圧を得ることができ、エネルギー(電力)量は基本的にバッテリーパックにいくつのセルを使用するかによって計算することができます。電池業界では、バッテリーパック内のセルの直列数をS、並列数をPで表記します。例えば2S3Pなら、直列接続数が2、並列接続数が3を表しており、セル総数は6になります。
保護回路は、リチウムイオン電池を過充電、過放電、過電流から守ることが目的です。
2Sパックで充電器電圧を8.4Vに設定した場合、一方のセルが先に4.2Vに達すると、もう一方が4.2Vに達する前に過充電になる可能性があります。つまり、直列の各セルの電圧を個別に監視する必要があります。通常、専用ICが使われます。
このようなセル間の電圧ばらつきは、セル固有の容量ばらつきが原因です。充電電流は直列のセル全てで同じなので、容量の小さいセルが先に満充電に達し、さらに充電を続ければ過充電となります。満充電で充電が止まると、見かけ上のバッテリーパック全体の容量が小さくなり無駄が生じます。
このばらつきをなくす手法には、
  1. 組立前に全セルの容量を測定し、同容量のセルを使う「セルソーティング」方式
  2. 容量ばらつきを前提に組立て、充電中に個別電圧を監視し、設定電圧に達したセルの電流をバイパス回路に流す「セルバランシング」 方式
  3. 1. と 2. を併用する方法があります。
いずれもコストアップにはなりますが、与えられた空間・重量で最大容量を実現できるためバッテリーパックにはこのような工夫が採用されることが多くなっています。
その他にも、各セル温度を監視するサーミスタや、過電流防止のPTC(可逆過電流保護素子)など、様々な保護機構もバッテリーパックに搭載されています。

Cレート(C Rate)とは

Cレートは、変化する充放電条件下でのバッテリーの予想有効時間を推定および/または指定するために使用される電流値を宣言する単位です。バッテリーの充放電特性(充放電するときの電流の大きさや放電能力・許容電流)を表します。
Cレートの「C」の語源は電池の公称容量(Capacity)に由来します。

容量の表現
電池の容量は、定格電圧(一般的なリチウムイオン2次電池では3.7V)で、ある電流である時間動作させる事が出来る時にその電流と時間の積で表します。
例えば1Aを1時間流す事が出来る時の容量を1Ahと言います。

充放電の電流の表現
満充電状態のセル(又はパック)で1時間放電させることが出来る電流を1Cと表現します。
電池は充電電流、放電電流(レート)で特性が変化します。
通常は0.5C~1Cで充電して種々な温度環境や放電電流(レート)でデータを取得し電池の特性を見極めます。


リチウムイオン電池の定格は、出力、容量、寿命を決定する重要なパラメータです。C レートを理解して最適化することは、特定の機器への電力供給要件とバッテリーの寿命のバランスをとるために不可欠です。使用する危機への電力供給要件、バッテリー設計、温度管理、適切な充電および放電プロトコルなどのさまざまな要素を考慮することで、C レートを効果的に管理して、最適なバッテリー性能と寿命を確保できます。

バッテリーの充電および放電レートは、C レートによって決まります。バッテリーの容量は通常 1C と評価されます。これは、1Ah と評価された完全に充電されたバッテリーは 1 時間で 1A を供給できることを意味します。同じバッテリーを 0.5C で放電すると 2 時間で 500mA が供給され、2C では 30 分間で 2A が供給されます。急速放電時の損失は放電時間を短縮し、これらの損失は充電時間にも影響します。

「1C」の C レートは 1 時間の放電としても知られています。放電時は1時間で満充電状態から完全放電状態になる電流値、充電時は1時間で完全放電状態から満充電状態になる電流値を意味します。0.5C または C/2 は 2 時間の放電、0.2C または C/5 は 5 時間の放電です。一部の高性能バッテリーは、適度な負荷の下で 1C 以上で充放電できます。

レートは高いほど出力できる電流値は上がりますが、あくまでも電流値ですので必ずしも出力値が向上するわけではありません。
バッテリーの化学的性質と設計によって、バッテリーの最大Cレートが決まります。
たとえば、鉛蓄電池は通常、非常に低い放電レートで評価されます。
一方、リチウム蓄電池は、アルカリなどの他の化学物質よりもはるかに高い放電Cレートに耐えることができます。


具体例を挙げると、バッテリー容量が2000mAhの場合、
・放電時の1Cは2.0A(2000mA)
・充電時の1Cも2.0Aとなります。

0.5Cであれば、放電時は2時間で完全放電、充電時は2時間で満充電できる電流値0.5×2000mA=1000mAとなります。

充放電レートから負荷電流値は次のように計算することができます。
C-Rate (C) = 充放電電流 (A) / バッテリーの定格容量

また、特定の放電容量でのバッテリーの予想利用可能時間は、次の方法で取得できます。
バッテリーの使用時間=放電容量(Ah)/ 放電電流(A)

放電能力 高出力リチウム電池 
【例】定格容量は「4.8Ah」 「20C」  リチウムイオンセル
このモデルの 1C 放電電流条件
 充電(または放電)電流 (A) = バッテリーの定格容量 × C レート
               = 4.8 × 1(C) = 4.8 A
これは、この放電状態でバッテリーが 1 時間使用できることを意味します。

放電電流値は4.8(A)×20(C)=96Aです。バッテリー容量が4.15Ahの場合のバッテリーの使用可能時間は以下の通りです。

 使用時間(h) = 放電容量(Ah) / 印加電流(A)
       = 4.15(Ah) / 96(A) ≒ 0.043時間 ≒ 2.6分 (96Aの場合)
これは、96Aの負荷電流でバッテリーが2.6分間(0.043時間)使用できることを意味します。

このように、Cレートはバッテリーごとに異なる容量値を共通の指標で表すことができ、放電能力や許容電流値の比較が可能になります。Cレートが大きいほど、大電流を取り出せますが、適正値を超えるとバッテリーへの負荷が大きくなり危険です。
リチウムポリマーバッテリーの充放電においては、通常1C以下が安全な目安とされており、Cレートを意識した適切な電流値の管理が重要となります。

バッテリーの Cレートを確認するには

小型のバッテリーは通常 1Cレートで定格されており、これは 1 時間レートとも呼ばれます。たとえば、バッテリーに 1 時間あたり 3000mAh と表示されている場合、1C 定格は 3000mAh です。通常、バッテリーの C レートはラベルとバッテリーのデータシートに記載されています。バッテリーの化学的性質によって異なる C レートが表示される場合があります。たとえば、鉛蓄電池は一般に、非常に低い放電レート (多くの場合 0.05C、または 20 時間レート) で定格されます。バッテリーの化学的性質と設計によって、バッテリーの最大 C レートが決まります。たとえば、リチウム電池は、アルカリ電池などの他の化学的性質に比べて、はるかに高い放電 C レートに耐えることができます。

バッテリーのCレートとは
バッテリー放電曲線方程式を使用すると、直線の逆勾配を見つけることによってバッテリーの実行時間を決定することができます。これが機能するのは、ワット時をワットで割った単位が実行時間を表すためです。これらの概念を方程式の形にすると、次のように書くことができます。
 E = C x Vavg  
エネルギー E [Wh]、 [Ah] Cレートの容量、および放電の平均電圧 Vavg [V]

バッテリー容量について

放電率は、さまざまな電気機器を動作させるために必要なバッテリーの容量を決定するための出発点となります。 I [A] x t[h] は、バッテリーによって放出される電荷​​ Q (クーロン[C]) です。通常、アンペア時[Ah]を使用して、時間 t [h] と電流 I [A]を使用して放電率を計算することが出来ます。

ワット時 [Wh]を 3600 倍してワット秒 [ws] を求めると、電力量が ジュール [J]の単位も得られます。
電力量〔J〕=電力〔W〕×時間〔s〕
電力量のはジュール [J]。1 [W]の電力を1秒間使ったときの電力量が1[J]で、これは1 [Ws](ワット秒)に相当します。

リポバッテリーの短絡

過充電、過放電、過熱保護、内部短絡は、リチウムポリマー電池とリチウムイオン電池の使用に関連しています。 
最も避けなければならないのは、内部短絡という現象です。内部短絡とは、外部から力が加わって電池が変形し、正極と負極が直接繋がってしまう状態のことです。そこに電流が集中すると温度が上昇し、電池自体が発火するといった大きな事故を招きます。ごく小さな不純物でも、電池内部に混入することで内部短絡が起きてしまう可能性があるため、電池内に過剰な電流が流れないように保護回路を設けるといった事故防止機能を持たせることが必要です。

リチウムポリマー電池 釘を刺したり、押しつぶしたり
リチウムポリマー電池を釘を刺したり、押しつぶしたりすると、
電解液の漏れや内部短絡(ショート)火災などの致命的な
故障が発生する可能性があります。

リチウム電池の熱暴走のリスク

熱暴走はバッテリー技術、特に家庭用電化製品から電気自動車までさまざまな用途で一般的に使用されるリチウムイオンバッテリーにおいて重大な懸念事項です。熱暴走に関連するリスクを理解することは、安全性を確保し、潜在的な危険を軽減するために不可欠です。

リチウム電池の熱暴走

リチウムイオンの熱暴走は、壊滅的な結果をもたらす可能性のある複雑な連鎖反応現象です。リチウムの熱暴走は、多くの場合、リチウム電池の故障から始まります。固体電解質中間相(SEI:Solid Electrolyte Interphase)バッテリーセルの負極内の膜。この故障は、過充電、物理的損傷、製造上の欠陥などの要因によって発生する可能性があります。 SEI膜が破壊されると、バッテリーセル内のセパレーターが分解して溶け始めます。この破壊により、セルの構造的完全性が損なわれ、電極と電解質の間の反応の広がりが促進されます。負極が電解質と相互作用すると、さらなる分解反応が引き起こされ、熱とガスが放出されます。このプロセスは急速にエスカレートして正極に広がり、熱暴走現象を悪化させる可能性があります。バッテリーセル内で広範な分解や故障が発生すると、内部短絡が発生し、局所的な発熱が発生し、連鎖反応がさらに加速する可能性があります。最終的には電解質が発火し、激しい燃焼が起こり、熱と有害なガスが発生します。

リチウムイオン電池はリチウムを含む正極とリチウムを吸蔵する負極とで構成されていて、リチウムが電解液を介して正極から負極(もしくは負極から正極)へと移動することによって充電(もしくは放電)が生じます。 負極の表面には電解液が分解されることによってSEI被膜と呼ばれる被膜が形成されることが知られています
リチウムイオン電池の熱暴走とは、さまざまな要因によって連鎖反応が起こり、熱が発生してリチウムイオン電池の熱暴走温度が摂氏1000度以上に上昇し、リチウム電池が激しく発火し、大量の熱と有害なガスが放出されることを指します。したがって、リチウムイオン電池が熱暴走を起こすと、電池パック全体から放出されるエネルギーは膨大になります。

バッテリーの熱暴走の原因

過充電:バッテリー自体には過充電保護機能が備わっていますが、この過充電保護機能が故障し充電を続けると過充電となり熱暴走を引き起こします。バッテリーは使用時間が経つにつれて劣化が激しくなり、バッテリーパックの一貫性が低下します。この時点で、バッテリーが過充電されていると、熱的安全性の問題が非常に発生しやすくなります。したがって、常に 安全に充電するための指示に従う必要があります。

過熱 : バッテリーが高速放電したり、極端な条件に遭遇すると、バッテリーの内部温度が徐々に上昇します。バッテリーに大量の熱が蓄積した場合、速やかに放電電流を制限しないと、リチウムバッテリーが熱暴走する可能性があります。

物理的損傷:衝撃や内部短絡など、電池パックを損傷させる行為は熱暴走を引き起こす可能性があります。

リチウム電池の熱暴走発生過程

熱暴走は自己発熱段階(50℃~140℃)、暴走段階(140℃~850℃)、終了段階(850℃~室温)の3段階に分かれます。

自己発熱段階(50℃~140℃)

自己加熱段階あるいは蓄熱段階とも呼ばれるこの段階は、SEI膜(固体電解質界面被膜)の溶解から始まります。SEI膜の溶解は温度が90℃前後に達すると顕著になってきます。SEI膜が溶解すると、負極および負極内に挿入されていた炭素成分がそれまで遮蔽されていた電解液に曝され、発熱反応が引き起こされて温度が上昇していきます。一方で、温度上昇はSEI膜のさらなる分解を加速する要因ともなります。外部から冷却するメカニズムがない限り、このプロセスはSEI膜が完全に分解されるまで継続されることになります。

暴走段階(140℃~850℃)

暴走段階に入ると、温度が140℃を超えるとプラスとマイナスの電極材料が電気化学反応に巻き込まれ、反応物質の質量増加により温度上昇がより一層加速します。この際、急激な電圧降下といった観察可能な変化が生じます。この変化は次のように説明されています。この温度範囲に達すると、セパレーター(正負極を隔てる絶縁膜)が大量に溶解し始め、その結果、正極と負極が直接接触するようになり、広範囲に渡る短絡が発生します。
短期間の間に激しい反応が進行すると、大量のガスと熱が発生します。この熱によってガス自体がさらに加熱され膨張し、バッテリーセルのケーシングが破裂して、内部材料が噴出するなどの現象が起こります。こうして暴走反応は最も激しい状態に至り、この段階で最高温度に達します。近くに他のバッテリーセルが存在する場合、発生した熱が周囲に伝わり、熱暴走が広範囲に波及する恐れもあります。熱が導電部分にまで達すると、その体積が膨張することもあり得ます。もともと一定の間隔を開けて配置されていたバッテリーセルが、直接接触するようになれば、セルケース同士の間で熱伝達が促進されてしまいます。

終了段階(850℃~室温)

終了段階では、熱暴走が発生した場合、すべての反応物質が消費されるまで終息することはできません。消防署からの報告書によれば、リチウムイオン電池などの高エネルギー物質を内蔵した密閉型機器において、消火活動では進行中の熱暴走を直ちに食い止めることはできないとのことです。消火剤が反応物質に効果的に到達できないためです。このような事態において、消防士は高いリスクに曝されざるを得ず、講じられる対策も限られてしまいます。一般的には、現場を隔離して対応するしかない状況となります。熱暴走は、反応物質がすべて消費されて自然に終息するのを待つしかないようです。

リチウムイオン電池の熱暴走を防ぐには

一旦熱暴走が発生してしまうと、その連鎖反応を止めることはほとんど不可能です。そのため、熱暴走に至る前の予防と監視が何より重要となります。

熱暴走を防ぐカギは、正極・負極材料と電解液の安定性にかかっています。今後は、正極材料のコーティングと改質、均一な電解液と電極の適合性向上、電極の熱伝導率改善などの高度な技術進歩が必要不可欠です。あるいは難燃性に優れた安全な電解液の選択も有効です。

熱暴走を防ぐ機工

PTC過熱検知センサ : センサに用いられるPTCサーミスタは高い正の温度係数(PTC:Positive Temperature Coefficient)をもつ特殊な半導体セラミックスをベースにしたサーミスタ(温度依存性の抵抗)です。常温時には比較的低い抵抗値を示しますが、外部の熱源によって特定の温度(キュリー温度)以上に加熱されると、抵抗値は急増します。
リチウムイオン電池に PTC過熱検知センサ を取り付ける場合は、内部圧力と温度の両方を考慮する必要があります。過充電により電池温度が上昇すると、電池の内部抵抗が急速に増加して電流を制限し、正極と負極間の電圧を安全なレベルまで下げ、電池を自動的に保護します。

防爆バルブ: バッテリーの内圧が異常になると防爆弁が変形し、バッテリー内部の接続用リード線が切れて充電が停止します。

温度管理システム : バッテリーが適切な温度で動作するようにするために非常に重要です。温度を制御し、通常、熱管理システムは車両コントローラーによって制御されます。バッテリーパックの温度が異常な場合には、空調システムによって適時に冷却または加熱が行われ、バッテリーの安全性と寿命が確保されます。

エアロゲル バッテリー断熱パッド: バッテリーセルの熱暴走が発生した場合、エアロゲルサーマルパッドをパワーバッテリーセルとモジュールの間に組み込むことができ、熱伝導率の低いエアロゲルが断熱の役割を果たし、事故を遅らせたり阻止したりすることができます。バッテリー セルが過熱して燃焼した場合、エアロゲル サーマル パッドはクラス A の不燃性の性能に達し、火の広がりを効果的に阻止または遅らせ、バッテリーパックが 5 分以内に燃焼または爆発しないことを保証します。逃げるための十分な時間を提供します。

熱暴走の監視

正常時のモニタリング

リアルタイム熱暴走早期警告技術により監視
バッテリーマネジメントシステム(BMS:Battery Management System)
現在、最も簡単に実現できる解決策は、BMSを使用して温度、電圧、その他の動作パラメータを監視し、熱暴走の初期の兆候を検出することです。この検出機能を向上させるために、より高精度で信頼性の高い温度センサーと電圧センサーを使用します。同時に、誤用や異常を早期に検出するアルゴリズムを通じて、より正確で効果的な状態を構築できます。ただし、BMSソリューションには問題もあります。外部パラメータ監視ではバッテリーの完全かつ正確な状態の把握をすることは難しく、またバッテリー内部の電気化学的変化を正確に反映できないため、バッテリーセルの潜在的な熱暴走リスクを包括的に評価することはできません。

内部状態予測に基づく熱暴走早期警戒技術

内部から始めて外部から完全に制御することは難しいため、現在の研究の方向性には、組み込みの折りたたみ式ブラッグ光ファイバーセンサーや電気化学インピーダンスアナライザーの周波数応答分析を使用した内部バッテリーの温度とインピーダンスのリアルタイム検出が含まれています。しかし、これらはまだ実験段階にあり、コストや技術的な問題から実際の製品に適用することはできていません。

ガス検知による熱暴走早期警戒技術

リチウムイオン電池の熱暴走の初期段階では、電池温度、放電電圧、放電電流、その他の特性識別パラメータの変化が非常に遅いため、通常のBMSでは電池の故障を早期に検出できません。このとき、バッテリー内部の電気化学反応により多量のガスが発生します。したがって、ガス検知センサーを使用して、リチウムイオン電池の熱暴走を早期に警告することが可能です。現在、一部の企業はガス検知と防火を組み合わせた関連製品を開発しています。

異常時のモニタリング

バッテリーセルのセパレーターが大量に溶解し始め、バッテリー内で広範な内部短絡が発生すると、この段階で正極と負極間の大規模な短絡により電圧の急降下が発生します。この時点では、熱暴走は完全に制御できなくなります。
このプロセス中に、検出可能な電気パラメータであるバッテリーセルの端子電圧が表示されます。現在の BMSシステムは、各直列モジュール (各モジュールには並列接続された複数のセルが含まれている) の電圧データのみを正確に収集できます。この現象により、管理システムはバッテリー セルの障害を検出できます。
バッテリーの設計および実装プロセス中に熱暴走の拡大を遅らせる機工や考え方を検討することで、熱暴走の危険を遅延、抑制して、事故発生後に避難するのに十分な時間を確保するような、最悪が起こってしまった場合ことを検討することも重要です。

バッテリーの火災

東京消防庁が公表したリチウムポリマーバッテリー、リチウムイオンバッテリーが原因とみられる火災情報の内容によれば、模型自動車等で使用されるリチウムポリマーバッテリーの出火メカニズムや、過充電時の実験結果などが示されています。一部のドローンでも使用されているバッテリーとほぼ同種のものと考えられます。
事故は充電中の過充電や、バッテリーの異常発熱など、さまざまな要因で発生する可能性があります。そのため、絶対に目を離さず、異常の兆候に早く気づける体制を整えることが、火災予防の上でも極めて重要となります。メーカーの注意事項を遵守し、細心の注意を払うことがリチウムポリマーバッテリーの安全な取り扱いには欠かせません。

東京消防庁より公表されたものは、以下のようなものです。

一般的なリチウムイオン電池の発火に至る機構
リチウムイオン電池では、充電時に電圧が上昇する際、正極及び負極が極めて強い酸化・還元状態となるため、材料が不安定化し易いと言えます。

いずれの場合でも、発熱により、電極や電解質、セパレータの溶融が発生し内部で短絡、この時のジュール熱による熱暴走が起こり、最終的には可燃性の電解液(または発生した可燃性ガス)に着火すると考えられます。
火災熱などによって外部から加熱された場合は、電池内部で正極材料、電解液、負極材料が単独及び相互に発熱反応を起こし、これによりセパレータが溶融して電極が短絡、この時のジュール熱により熱暴走が開始します。
また、外部からの衝撃により各電極の絶縁やセパレータが損傷した場合、その時に出火に至らなくとも、充電時に内部短絡が発生、出火する場合があります。
エネルギー密度が高いため短絡時には急激に過熱し、電解質が有機系溶媒であることから、発火しやすいのです。

バッテリーを充電中に出火した火災について
材料が単独及び相互に発熱反応を起こし、これによりセパレータが溶融して電極が短絡、この時のジュール熱により熱暴走が開始します。
また、外部からの衝撃により各電極の絶縁やセパレータが損傷した場合、その時に出火に至らなくとも、充電時に内部短絡が発生、出火する場合があります。
エネルギー密度が高いため短絡時には急激に過熱し、電解質が有機系溶媒であることから、発火しやすいのです。
リチウムイオン電池が過充電状態になると、まず電解液と負極の還元反応が起こり、続いて電解液の熱分解、電解液と正極の酸化分解、さらには負極と正極がそれぞれ熱分解するといった一連の反応が進行していきます。この過程で内部での発熱が生じ、正極側では電解液の酸化と結晶構造の破壊によるさらなる発熱が、負極側では金属リチウムの析出が起こります。結果として、セパレータが溶融し、内部で短絡が発生します。
一方、過放電状態に陥った場合も、過充電時と同様に内部での発熱が問題となります。この際には、正極側からコバルトが溶け出し、負極側では集電体の銅が溶け出すような反応が進行します。やはり発熱の結果としてセパレータが溶融し、内部で短絡が生じます。
このように、過充電と過放電では、内部で起こる具体的な反応プロセスは異なるものの、最終的には共通して内部発熱、セパレータの溶融、短絡が引き起こされてしまいます。この短絡時に生じるジュール熱により、さらに熱暴走が進行し、最悪の場合、可燃性の電解液やガスに着火する危険につながっています。

模型自動車等用のリチウムポリマー電池において、「過充電」が起こる理由
携帯電話やノートPCでは、機器側でリチウムポリマー電池の状況を常時監視し、異常があれば即座に充電を停止する機能があるため、過充電は起こりません。一方、模型自動車用のリチウムポリマー電池は軽量化が求められるため、この機能を電池に搭載せず、充電器側にその機能を持たせています。

模型自動車用のリチウムポリマー電池は、セル構成によってバッテリー容量(mAh)や充放電許容量(CmA,C)が製品ごとに異なるため、充電器の設定を変更するか、各電池専用の充電器を使用する必要があります。これを怠ると、充電器の機能が適切に働かず、過充電になる可能性があり、過充電時には電池が膨張することが多くなります。

充電は周囲に可燃物のない場所で不燃性の専用袋に入れて行うとともに、充電中は常時監視を行い、電池の発熱や膨らみなどの異常事態に備えることとされていますが、これらを怠ると以下の原因で過充電となり、出火に至るリスクが高まります。
ニッケルカドミウム/水素電池の設定で充電した場合
これらの電池は充電完了時に特有の電圧変化があり、検出して充電を止めますが、リチウムポリマー電池にはその変化がないため、充電が停止されず過充電になります。
セルの電圧バランスが崩れ、バランス充電を行わなかった場合
経年使用で各セルの電圧に差異が生じるため、セル単位で充電終了を行う「バランス充電」が必要です。これを怠り一体としてモニタすると、パック全体では適切でも単セルで過充電になります。
電池のセル数やスペックの認識を誤り、充電電圧や電流を間違えた場合
充電するリチウムポリマー電池のセル数やスペックを誤認識し、充電電圧、充電電流を誤って充電を行うと「過充電」になります。
過充電状態では、正極側で電解液の酸化と結晶構造の破壊による発熱、負極側で金属リチウムの析出が生じます。さらに、電解液と負極の還元反応、電解液の熱分解、電解液と正極の酸化分解、負極と正極の熱分解が進行します。
結果として、発熱によりセパレータが溶融し、内部短絡が発生します。この際に生じるジュール熱により、熱暴走が引き起こされます。最終的には、可燃性の電解液や発生したガスに着火する危険があります。
このように、リチウムポリマー電池の過充電は発火の重大な引き金となり得ます。機器側や充電器側の監視機能の重要性、適切な充電設定と方法の遵守、電池の異常徴候への迅速な対応が、火災防止のために必須となります。製造メーカーの注意事項を厳格に守り、絶対に過充電状態に陥らせないよう細心の注意を払う必要があります。

実 験
過充電により破裂した充電池からどの程度の大きさの炎が出るのか、出火に至るまでの時間経過などを確認するため、実験を行いました。
実験は、リチウムポリマー電池を満充電の状態から、さらに充電を行い過充電の状態として出火させ、充電池の容量及び充電時の電流値の違いによる出火に至るまでの時間や出火時の炎の大きさなどを観察し、過充電状態を人為的に引き起こすため、ニッカド充電池用の充電器を使用して充電を行いました。充電にあたっては電流がそのバッテリの容量を超えないようにすることが安全ですが、本実験では、急速充電の条件で充電することにより充電池の劣化を促進することとしました。
使用した充電器及び充電池は、いずれも模型自動車等の動力源用として販売されている製品です。

バッテリー外観・バッテリー発火
調査ニュース - 東京消防庁 
模型自動車等の充電池を充電中に出火した火災についての写真より

各実験の条件とその結果

満充電状態のリチウムポリマー電池(2,200mAh)を6Aで充電を実施しました。これは、通常充電の約2.7倍の急速充電です。開始から31分で外装の合成樹脂製ケースが破損し、36分で白煙が噴出、37分で充電池から炎が噴出しました。炎の大きさは、最大で100㎝でした。
満充電状態のリチウムポリマー電池(2,200mAh)を10Aで充電を実施しました。これは、通常充電の約4.5 倍の急速充電です。
満充電状態のリチウムポリマー電池(4,200mAh)を10Aで充電を実施しました。これは、通常充電の約2.4 倍の急速充電です。リチウムポリマー電池(2,200mAh)と比較して約1.9 倍の電気容量があります。

実験結果
充電池の容量/充電の条件6Aで充電10Aで充電
2,200mAh37 分で出火
炎の最大長:100 ㎝
15 分で出火
炎の最大長:100 ㎝
4,200mAh20 分で出火
炎の最大長:130 ㎝

類似火災の発生を防止するために
いずれの火災も、模型自動車等の動力源として使用されるリチウムポリマー電池の充電時の注意事項などが遵守されていないことに起因して発生していると考えられます。
このことから、類似火災を防止するためには「リチウムポリマー電池に対応した充電器を使用する。」「凹み、膨張など外観に異常のある充電池は使用しない。」「周囲に可燃物のない安全な場所で充電を実施する。」「充電中は常に監視し、異常があった場合は直ちに充電を中止する。」といった模型自動車等の動力源として使用されるリチウムポリマー電池の使用上の注意事項を使用者に周知とそれらを徹底する必要があります。

これまでに発生したリチウムポリマー電池が原因の4件の火災事例
作業場併用住宅でリチウムポリマー電池が充電中に出火し、大きな音と共に炎が上がりました。この火災では、14.8Vのバランス充電中に劣化したセルが膨張し、内部で発熱して出火したと考えられます。隣の共同住宅の住人が音を聞き、119番通報しましたが、初期消火はできず、傷者1名が発生しました。
被害状況
建物ぼや リチウムポリマー電池4本、充電器2台、木製作業台等
原因概要火災では、居住者は専用充電器によりリチウムポリマー電池14.8V(3.7V×4セル)に合わせた設定でバランス充電をしていましたが、当該リチウムポリマー電池のセルの
一つは劣化により膨張していました。このことから、劣化の進行したリチウムポリマー電池の充電を継続させたことから、内部で発熱及び出火、周囲に充満した可燃性ガスに着火したものと思われます。

共同住宅の居室で充電中のリチウムポリマー電池からパチパチと音がして煙が出始め、約20cmの炎が上がりました。居住者は洗面器に水を汲み、消火に成功しました。この火災も、14.8Vのバランス充電中に劣化したセルが原因で発熱し、出火したと推定されます。
被害状況 建物ぼや リチウムポリマー電池1本、洗濯機1台焼損
原因概要
本火災では、居住者が専用充電器によりリチウムポリマー電池14.8V(3.7V×4セル)に合わせた設定でバランス充電をしていましたが、当該リチウムポリマー電池のセルの一つは劣化により膨張していました。このことから、劣化の進行したリチウムポリマー電池の充電を継続させたことから内部で発熱及び出火、周囲に充満した可燃性ガスに着火したものと推定されます。

住宅で居住者が就寝中に7.4Vのリチウムポリマー電池が過充電となり、セル内部で短絡し出火しました。この火災で建物半焼1棟、部分焼1棟、ぼや1棟の計3棟が被害を受け、傷者5名が発生しました。充電電圧の確認がなされず、過充電に至った可能性があります。就寝中に臭気により目を覚ました居住者が煙が出ているのを発見しました。近隣の居住者は、外から音が聞こえたので出火建物を見ると煙が出ていたため、119番通報しました。 
焼損状況 建物半焼1棟 部分焼1棟 ぼや1棟 計3棟57㎡
原因概要
火災は居住者が7.4V(3.7V×2セル)のリチウムポリマー電池を専用充電器により充電していましたが、充電電圧を確認せずに充電していました。居住者が就寝している間に過充電となり、リチウムポリマー電池を構成するセル内部で短絡し出火したものと推定されます。過充電に至った理由として、直前に充電したニッカド充電池の設定をリチウムポリマー電池に変更しないまま充電した可能性が考えられますが、充電器の焼損が激しく確認はできませんでした。

共同住宅の居室で居住者が就寝中にリチウムポリマー電池が爆発し、1m大の炎が上がりました。布団をかぶせ、水を掛けて初期消火に成功しました。この火災では、7.4Vのリチウムポリマー電池が何らかの要因で劣化し、充電中に出火したと推定されます。
被害状況 建物ぼや リチウムポリマー電池1本、床、布団、ごみ各若干焼損
原因概要
本火災では、居住者が7.4V(3.7V×2セル)のリチウムポリマー電池を専用充電器により適切な設定で充電していました。専用充電器を見分するも異常は認められないこ
とから、既に何らかの要因により劣化していたリチウムポリマー電池を充電したことに
より、出火したものと推定されます。

リチウムポリマー電池に関連する火災事例は、過充電やセルの劣化、不適切な充電設定などが原因で発生しています。特に注意が必要であり、劣化したセルの監視と適切な充電設定の確認が重要であることが示されています。また、初期消火の重要性と、火災発生時の迅速な通報が被害を最小限に抑えるために不可欠であることがわかります。

これらの事例から言えることは、就寝中や充電中に目を離していることから、火災発生時に対応が遅れてしまっている可能性もあります。
就寝前に充電器にかけるとか、退社時に充電器にかけて帰るなど充電中のトラブルに気づけない状況にすることが、大変危険なことがわかると思います。

火災事例において、リチウムポリマー電池の適切な管理と充電プロセスの重要性が強調されています。充電器の設定を確認し、電池の状態を定期的に点検することで、火災のリスクを減らすことができます。また、充電中は電池を監視し、異常が見られた場合には直ちに充電を中止し、安全な場所に移動させることが推奨されます。これらの対策は、リチウムポリマー電池を安全に使用するために不可欠です。また、火災が発生した場合には、迅速な初期消火と通報が被害を最小限に抑えるために重要です。これらの事例から学ぶことで、リチウムポリマー電池の安全な使用と火災予防についての意識を高めることができます。

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/hp-cyousaka/kasaijittai/h26/1-10.pdf
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/lithium_bt/index.html

リチウムイオン・リチウムポリマーバッテリーは危険物
普段何気なく使用しているリチウムポリマーバッテリーは、取り扱いを間違えると、危険なものとして認識しましょう
例えば、機材をもって遠方へ出張、飛行機に乗る際、気を付けなければならない可能性があります。これは、航空会社もリチウムイオンやリチウムポリマーバッテリーは危険物という認識で対応をされるからです。バッテリーの容量や数、内臓かどうかなどによって異なってきます。航空会社によって違う場合もあると思いますが、参考までに日本航空の国内線ではどのようになっているかをしらべてみました。

〔国内線〕特にお問い合わせの多い危険物の代表例
https://www.jal.co.jp/jp/ja/dom/baggage/limit/attention/

電子機器(リチウム電池、リチウムイオン電池内蔵したパソコン、ビデオカメラなど)
ノートパソコン、タブレットなどのリチウム電池・リチウムイオン電池を内蔵した携帯型電子機器*は機内持ち込み、お預かりどちらも可能ですが、お預けになる場合は必ず電源をオフにし、ケースや衣類などで梱包するなど保護をしてください。

リチウムイオン電池はワット時定格量が160Wh以下のもの
(定格量を超える場合は機内持ち込み、お預かりもできません)
数量制限 なし

具体例
パソコン、携帯電話(スマートフォン)、カメラ(ビデオカメラ)、腕時計、計算機など
予備のバッテリーについて
バッテリーのタイプにより取り扱いが異なります。
いずれのタイプも短絡(ショート)しないように個別に保護してください。
充電式タイプ(リチウムイオン電池)
ワット時定格量が100Wh以下のものは、機内持ち込みのみ可。数量制限はありません。
ワット時定格量が100Whを超え、160Wh以下のものは、機内持ち込みのみ可。電子機器と予備のバッテリーあわせて2個まで
ワット時定格量が160Whを超えるものは、機内持ち込み、お預かりどちらも不可

100Wh以下のものは数量制限なしで機内持ち込みのみ可、という事なので、手荷物の範囲で運べる無人航空機ではバッテリー容量も大丈夫そうですが、預け荷物には難しいという事でしょう。

リチウムイオンバッテリーを内蔵した製品や、バッテリーは「危険品」
リチウムイオン電池は、運搬の際、落下や突き刺される、押しつぶされるなどの衝撃を受けると、内部で正極と負極がショートする可能性があります。ショート時には瞬間的に大電流が流れ、激しい発熱が起こります。リチウムイオン電池には可燃性材料が使われているため、この過熱は発火や爆発につながるリスクがあるります。
このような危険性から、国連のガイドラインにおいて、リチウムイオン電池自体とそれを内蔵する製品は「危険品」に指定されています。これは、船舶や航空機など輸送機関で運搬する際、容器や包装、積載方法、表示ラベルなど、様々な点で厳しいルールが課されています。
単体のリチウムイオン電池はワット時定格が20Wh以上のものが国連番号UN3480の危険品、組電池では100Wh以上のものがその対象となります。また、リチウムイオン電池を内蔵した製品は「機器と同梱されているリチウムイオン電池」としてUN3481の危険品に分類されます。
リチウムイオン電池の高いエネルギー密度と可燃性材料の使用が、発火や爆発のリスクにつながり、このように危険品指定を受けた背景にあります。安全な製品輸送のため、関係法令を遵守することが不可欠となっています。

以下のような規則が各国際機関で取り決められ国際ルールが定められています。
国連危険物輸送勧告(陸海空)
UN (United Nations) Recommendations on the Transport of Dangerous Goods
航空輸送規則
ICAO (International Civil Aviation Organization): Technical Instructions for Safety Transport of Dangerous Goods by Air
IATA (International Air Transport Association): Dangerous Goods Regulations
海上輸送規則
IMO (International Maritime Organization): International Maritime Dangerous Goods (IMDG) Code

ニッカドやニッケル水素などの二次電池と同じ用途で使用されているリチウムイオン・リチウムポリマーバッテリーですが、エネルギー密度の高さと構造上の理由から、その危険性はかなり高いものです。ですが、昔からの習慣で以前からある二次電池と同様の感覚で扱いをしていることもあるのではないでしょうか。改めて取り扱いを間違うと危険物なりえるし、様々なところで実際に危険物として扱われている例を二つ上げました。
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人口集中地区 DID(Densely Inhabited District) ドローンを飛行させる場合の許可が必要な飛行なのかどうかを判断する為の重要な基準になっている統計データの人口集中地区(DID)データが、 2022年6月25日から これまで利用していた平成27年版から、新しい 令和2年版 に、変更になりました。 これまで人口集中地区でなかった場所でも新たに人口集中地区とされている場合やその逆など、変更されている場合があるので注意が必要です。 日本の国勢調査において設定される統計上の地区で、英語の"Densely Inhabited District"を略して「DID」とも呼ばれています。市区町村の区域内で人口密度が4,000人/ km² 以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定されます。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれています。都市的地域と農村的地域の区分けや、狭義の都市としての市街地の規模を示す指標として使用されます。 令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区は、国土地理院が提供している「地理院地図」、および政府統計の総合窓口が提供している、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を利用して確認可能です。 情報の内容はは同じですので使いやすいお好みの物を利用すると良いと思います。 国土地理院 地理院地図    ・  人口集中地区令和2年 (総務省統計局)    e-Stat 政府統計の総合窓口  ・  地図で見る統計 (jSTAT MAP)    国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局) 確認方法 人口集中地区令和2年 (総務省統計局)    国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局)のキャプチャ

無人航空機(ドローン)のノータム[NOTAM] の 読み方・見方【教則学習・周辺知識】

ノータムとは ノータム【NOTAM ( Notice to Airmen)】:航空従事者への通知 国が管理する航空当局(日本の場合は国土交通省航空局)が、航空従事者に対して発行する情報で、航空機の運航のために必要な情報を提供しています。 「NOTAM」ノータムは、 NO tice T o A ir M en の略称で、日本語に訳すなら「航空従事者へのお知らせ」という事です。航空情報の一つで、飛行場、航空保安施設、運航に関連する業務方式の変更、軍事演習のような危険の存在などについての情報で、書面による航空情報では時宜を得た提供が不可能な(端的にいえば間に合わない)場合にテレタイプ通信回線(CADIN及びAFTN)により配布されるものです。 ノータム【NOTAM (Notice to Air Mission)】:航空任務への通知 アメリカ連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)は2021年12月2日から、NOTAM の頭字語を、Notice to Airmen から Notice to Air Mission に変更しました。この変更は名称によるジェンダー中立性を保つとともに、より広範囲な分野を包括する事を見据えてより正確な名称にするためのもので、小型無人航空システム (sUAS) 、無人気球など、他のいくつかの分野も含まれるためです。 女性もたくさん活躍している事や、無人機には人間が乗っていません(当然ですが)ので、旧名称の「Airmen」はないだろうという事です。したがって、航空任務への通知( Notice to Air Mission )という名称は、より実態に即した正確な名称に変更されたという事になります。 無人航空機のフライトプランのノータムへの掲載について詳しい説明を説明しています。 ノータムへの無人航空機のフライトプランの掲載   もよろしければご覧ください。 NOTAM の歴史 NOTAM は、附属書 15:国際民間航空条約(CICA)の航空情報サービスで指定されたガイドラインに基づいて、政府 機関および空港運営者によって作成および送信されます。1947年4 月4日に発効した CICA の批准に伴い一般的に使用されるようになりました。 航空の業界では、より歴史のある船舶のシステムや名称などの慣習が引き継

フォネティックコード「アルファー・ブラボー・チャーリー」通話表【教則学習・周辺知識】

アルファベットや数字を無線通信・電話(口頭)で正しく伝える方法 「アルファー」「ブラボー」「チャーリー」このような、暗号のような、呪文のような言葉を航空業界では使用されることが比較的多いので耳にする機会があるのではないでしょうか。これは、フォネティックコード(Phonetic Code)と呼ばれるアルファベットや数字を正しく伝える為の工夫です。スペリングアルファベットとも呼ばれ、アルファベットにどのような言葉を当てはめるかは、国際規格として定められています。ですから、通常は世界どこに行っても通用するものとされています。通信で使用されるだけでなく、共通の知識として前触れなくあられることがありますので、知っておいて損はないと思います。 第一次世界大戦後、音声を利用する双方向無線が開発され、普及する以前、低品質の長距離電話回線での通信を改善するために、電話のスペルアルファベット(Spelling Alphabet)が開発されたました。 アルファベットの「B」ビーと「D」ディーや「M」エムと「N」エヌのように、発音が似ているものを聞き間違えることなく伝えることを目的として、定められたアルファベットの通話表での置き換えます、航空機や船舶などの通信で主に利用されています。また、コールセンターなど対面できない際の電話での通話の間違いを防ぐためにも、利用されているようです。航空業界に関わり合いのある、旅行業界やホテル業界などでも利用されることがあるそうです。 このフォネティックコードを用いると、BとDは「ブラボー」と「デルタ」、MとNは「マイク」と「ノベンバー」になりますので、発音が似ているアルファベットも間違えずに伝えることが出来ます。 フォネティックコード表 アルファベット 読 み A ALFA アルファ B BRAVO ブラボー C CHARLIE チャーリー D DELTA デルタ E ECHO エコー F FOXTROT フォックストロット G GOLF ゴルフ H HOTEL ホテル I INDIA インディア J JULIETT ジュリエット K KILO キロ L LIMA リマ M MIKE マイク N NOVEMBER

世界の時間とタイムゾーン・JST、UTCとズールータイム【教則学習・周辺知識】

協定世界時(UTC)、日本標準時(JST)、グリニッジ標準時(GMT)、国際原子時(TAI)、世界時(UT) 時間を表現するための基準が複数あります。これは、世界各国で、それぞれに昔から使用されていた、それぞれ文化にも深くかかわる時間の基準があり、これらを一度に切り替えることが難しかったためで、そのため、しばしば混乱が生じる場合がありました。人、物、そして、情報が世界を行きかう事により、徐々に世界中で統一した基準を用いるような流れになりました。また、科学技術の発展によって精度を増した基準の観測・利用方法が進みましたが、やはり全ての時刻を統一することは困難なため、複数の基準が存在しています。 観測データなど扱う場合必ず「何時(いつ)、when」測定した物なのかという情報は測定値とセットで扱われる大切な要素です。この要素が抜けたり、正しくなければ、データの価値がなくなってしまう場合もあります。 気象観測や、航空機の運航、コンピュータの時間など、昔より世界が狭くなってしまった現代、正確な時刻は当然、必要ですが、その時刻が、どの基準で示されているものなのかを意識しなければならいことも増えてきています。 Samuel P. Avery, 129 Fulton St, NY (wood engraving); Centpacrr (Digital image) ,  Public domain, via Wikimedia Commons 世界時が採用される前の「すべての国」の相対的な時間を示す1853年の「ユニバーサルダイヤルプレート」 グリニッジ標準時(GMT) G reenwich  M ean  T ime グリニッジ標準時(GMT)は、ロンドンのグリニッジにある王立天文台の平均太陽時で、真夜中から数えたものです。(真夜中が午前0時という事)過去には正午から計算されるなど、様々な方法で計算されていたようです。そのため、文脈がわからない限り、特定の時刻を指定するために使用することはできません。(時代によって時間が異なることがあります。)GMTという用語は、タイムゾーンUTC+00:00の名称の1つとしても使われ、イギリスの法律では、イギリスにおける市民時間(ローカルタイム)の基準となっています。 英語圏の人々はしばしば、GMTを協定世界時(UTC)の同義語として用いますが

「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第3版) 令和5年(2023年)4月13日【教則学習】

無人航空機操縦者技能証明の「一等無⼈航空機操縦士」と「二等無⼈航空機操縦士」の学科試験の土台となる教則 無人航空機の飛行の安全に関する教則が令和5年(2023年)4月13日に改訂 され(第3版)が公開されました。 無⼈航空機操縦士の学科試験のベースになる教則ですが、これまで、学科試験の内容は「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)」に準拠していましたが、 ※令和6年(2024年)4月14日(日)より、 学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 (第3版)」に準拠します。 と発表されました。 詳細は「 【重要!!】無人航空機操縦士・学科試験の内容が、変わります 」にアップしました 教則の読み上げ動画を作成しました 詳しくは 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第3版 読み上げ動画 試験の予約・実施スケジュールなど詳しくは下記、指定試験機関の日本海事協会サイトで確認してください 【重要!!】「無人航空機の飛行の安全に関する教則」の改訂に伴う無人航空機操縦士試験における学科試験の内容変更についてのお知らせ – 無人航空機操縦士試験案内サイト  令和6年(2024年)4月14日(日)より 以前に受験される方 については引き続き以下でご覧ください。 「無人航空機の飛行の安全に関する教則」 令和4年(2022年)11月2日第2版【教則学習】 令和5年(2023年)4月13日に改訂された(第3版)については以下にリンクします。 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版) https://www.mlit.go.jp/common/001602108.pdf 第2版からの変更履歴【参照用】 https://www.mlit.go.jp/common/001602110.pdf 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第2版)から(第3版)への変更内容 細かな表現の変更とともに、 「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」及び「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」(公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド発行)の発行に伴う カテゴリーⅢ飛行におけるリスク評価に関する記述の見直し が行われました。5章と6章が大きく変更されています。変更箇所は下記の項目です。 (第 5 章

二等無人航空機操縦士 学科試験問題 模擬試験

無人航空機操縦者技能証明 学科試験(二等無人航空機操縦士)の学科試験とサンプル問題 新しいライセンス制度と詳細の発表が航空局よりありました。 無人航空機操縦士 学科試験のサンプル問題は下記PDFです。 操縦ライセンス制度 学科試験(二等)サンプル問題 https://www.mlit.go.jp/common/001493224.pdf <実施方法> 全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT  (Computer Based Testing) <形 式> 三肢択一式(一等:70問 二等:50問) <試験時間> 一等:75分 二等:30分 <試験科目> 無人航空機に関する規則、無人航空機のシステム、無人航空機の操縦者及び運航体制、運航上のリスク管理 ※令和6年(2024年)4月14日(日)より、 学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 (第3版)」に準拠します。 と発表されました。 詳細は「 【重要!!】無人航空機操縦士・学科試験の内容が、変わります 」にアップしました。 無人航空機の飛行の安全に関する教則 新しくできた無人航空機操縦者技能証明の制度で「一等無人航空機操縦士」「二等無人航空機操縦士」の国家試験の学科の教科書の基になるものです。この教則の内容や範囲から試験問題も作られるています。 令和5年(2023年)4月13日に改訂された、 無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版) は以下にリンクします。 https://www.mlit.go.jp/common/001602108.pdf 無⼈航空機操縦士の学科試験のための教則について詳しく解説を、以下でご覧ください。 「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第3版) 令和5年(2023年)4月13日【教則学習】 教則の読み上げ動画を作成しました 詳しくは 無人航空機の飛行の安全に関する教則 第3版 読み上げ動画 二等無人航空機操縦士 学科試験 模擬試験 「二等無人航空機操縦士」のサンプル問題に基づいて模擬テストを作りました。 回答終了後に 「送信」 をクリックして続いて出てくる 「スコアを表示」 をクリックすると採点結果が表示されます。発表によるとCBT式試験というコンピュータを利用した試験になるようですので、似た雰囲気ではないかと思います。メールアドレスの情報は収集しておりませんので気軽

無人航空機の飛行形態「カテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ」 と 飛行レベル「レベル1~4」

無人航空機の法改正が続きドローンの規制や、操縦資格など、新しい制度が、作られる過程で、様々な飛行ケースを表す言葉として、「カテゴリーⅢ、Ⅱ、Ⅰ」や「レベル1、2、3、4」といった用語を目にすることが、多くなりました。「ドローンを「レベル4」で初飛行」とニュースで大きく報じられました。このように「レベル4」がなぜ画期的な事なのか、またそもそもこのレベルとは、何を表しているのか、改めて整理してみたいと思います。余談になりますが、法改正のタイミングで、ニュースなどでも、同じタイミングで取り上げられていたこともあり、全く別なのですが、自動車の自動運転に関する自動運転レベル(こちらはレベル0~5で表される)などと、混同してしまいそうです。 無人航空機の飛行レベル は飛行する条件をリスクに合わせてレベル分けしたカテゴリで、レベルが上がるほど、安全性リスクが増すものです。そのため、飛行レベルの高い飛行を行う場合は、より安全性に配慮した飛行が求められることになります。したがって、自律飛行(自動運転)もリスクを伴うものですが、自動車の自動運転ほどの精密な位置制御が必要ないであろうドローンの場合、他のリスク要因(目視外の飛行)と比較してさほど高くならないという事でしょう。したがって、この飛行レベルは自律飛行(自動運転)について語られている物ではく、自律飛行(自動運転)についての要素は入っていません。きわめて極端に言えば、空には道路もなく、歩行者もいない。(落とさなければいいだけ)という事ができると思います。また、有人航空機では、オートパイロットなど自動操縦の技術がすでにあることも、自動運転のリスク認識が、高くない一つの要因かもしれません。 2023年3月24日に日本国内で初めてレベル4飛行が実施されたニュースが流れましたがこれらのニュースの見出しでも「自動ドローン」や「自動飛行」などの見出しがいくつかありました。確かに、あらかじめルートや高度をプログラムして飛行させれば、自動と言えるのでしょうが、レベル4飛行を報じるのにはやや適切でない印象をうけました。手動だろうが自動だろうがレベル4の飛行はあるわけですし、ましてやドローンが状況判断をして自律飛行しているわけでもないですし。問題にすべきポイントがズレて伝わってしまう可能性があると思います。改めて、 無人航空機の飛行レベルは、自動操縦の

自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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