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空中衝突防止装置・航空機衝突防止装置 TCAS / ACAS ATCの話4

2024年12月26日  2025年3月13日 
航空機の安全な運航において、空中衝突を防ぐことは最も重要な課題の一つです。この課題に対応するため、航空機衝突防止装置(ACAS: Airborne Collision Avoidance System / TCAS(ティーキャス): Traffic Alert Collision Avoidance System)が開発されました。このシステムは、衝突の恐れがある航空機の存在を操縦士に知らせ、必要に応じて回避操作を指示する重要な役割を果たしています。
簡単に言えば「ある一定の距離以内に航空機同士が近づいたら、お互いのパイロットに警告をしてくれる装置」という事になります。このシステムは有人の航空機に搭載されるシステムですが、今後の無人航空機の衝突防止を考える上でヒントになると思います。

空中衝突防止装置(TCAS / ACAS)は、航空機同士の空中衝突(MAC)を防ぐために開発された危険を抑える目的で開発されたコンピュータ制御のアビオニクス装置で、「ACAS」と「TCAS」という2つの名称で知られています。これらは本質的に同じシステムを指し、「ACAS」は国際民間航空機関(ICAO)で採用され主にヨーロッパで使用される名称である一方、「TCAS」は米国での呼称です。実運航では米国製のシステムが広く採用されているため、「TCAS」という呼び方が一般的となっています。
現在、ほぼ全ての旅客機にはATCトランスポンダーが装備されており、このシステムはそのATCトランスポンダーのMode-S信号を活用して動作します。具体的には、近接する他の航空機のトランスポンダーに質問信号を送信し、その応答信号を受信することで、相手機との方角、接近率、そして相手機がMode-CまたはMode-S装備機の場合は相対高度を自動的に計算します。これらの情報に基づき、衝突の危険性が検知された場合、航空機乗組員に対して垂直方向の回避指示を提示し、安全な飛行を確保します。

このシステムは、国際民間航空条約の第10付属書第4巻(ICAO Annex 10, Volume 4)で基準が定められており、日本の電波法施行規則では「航空機局の無線設備であって、他の航空機の位置、高度その他の情報を取得し、他の航空機との衝突を防止するための情報を自動的に表示するもの」と定義されています。
TCASの動作原理は、適合するトランスポンダを搭載した航空機間での通信に基づいています。機体の上部と下部にそれぞれアンテナがあり、水平方向に40マイル(64.4km)、垂直方向に上下9,900フィート(3km)の範囲で航空機周辺の空域をスキャンし、接近する航空機のトランスポンダーを探知することができます。具体的には、TCAS搭載機が1,030MHzの周波数で周辺航空機に「問い合わせ」を送信し、それに対して各航空機が1,090MHzで「応答」を返すという通信を毎秒数回実施します。この継続的な双方向通信により、システムは周辺航空機の相対位置、高度、速度を含む三次元マップを作成し、将来の位置を予測することで潜在的な衝突リスクを評価します。
重要な特徴として、このシステムは地上の航空管制システムから完全に独立して機能します。つまり、衝突の危険性の判断や警告の発出は各航空機に搭載された機器が自律的に行うもので、管制当局による管理や判断は介在しない点が特徴です。

総務省 情報通信審議会 情報通信技術分科会  航空・海上無線通信委員会報告
国際民間航空条約第10付属書について 

TCASIIのディスプレイ例
TCASIIのディスプレイ例
ICAO TCASIIチュートリアルより
ICAO TCASIIチュートリアル
https://www.icao.int/NACC/Documents/Meetings/2024/GTE24/GTE24-P03.pdf

「TCAS II:パイロットへの提供機能」
1. トラフィックディスプレイ - 交通状況の視覚的把握を支援
• 自機を基準とした他機の相対位置を表示
• 相対高度を+/-記号付きの数値で表示
2. 警報 - 状況認識(TA)と垂直方向の回避指示(RA)
• 音声通知(例:TAの場合「Traffic, Traffic」、RAの場合「Climb, Climb NOW」)
• トラフィックディスプレイ - 脅威レベルを色/形状コードで表示
• 垂直方向の回避指示 - VSI(昇降計)またはPFD(主要飛行計器)に表示

現代のグラスコックピット機では、航法ディスプレイに統合されています。古いグラスコックピット機では、垂直速度計や電子式水平位置指示装置(水平姿勢指示計)と一体化したTCASディスプレイが搭載されています。また、機械式計器の航空機への追加用としてTCASディスプレイが販売されています。
小型機に搭載義務はありませんが、超軽量ジェット機や単発レシプロ機の高級モデルを中心にグラスコックピットが普及しており、標準装備となった機種も増えています。

Garmin G1000 スイスのガーミン社によって開発された、航空機用のグラスコックピットシステム。G1000の取扱説明書は、ガーミンの公式サイトからPDF形式で無料でダウンロードできます。

TISアラート 交通情報マップページ上のTA(交通情報アドバイザリー)の数が1回のスキャンから次のスキャンで増加した場合、以下が発生します:
  • 単一の「Traffic(トラフィック)」という音声アラートが生成されます。
  • PFD上の姿勢指示器の左上に「TRAFFIC」という警告が表示され、5秒間点滅した後、エリア内にTAが検出されなくなるまで表示され続けます。
  • PFDのインセットマップが交通情報と共に自動的に表示されます。

近接する航空機による不要なアラートの数を減らすため、「Traffic」音声アラートはTAの数が増加した時のみ生成されます。例えば、最初のTAが表示された時には、音声と視覚的な警告が生成されます。単一のTAが表示され続ける限り、追加の音声アラートは生成されません。2番目のTAが表示された場合、またはTAの数が一旦減少した後で再び増加した場合には、新たな音声アラートが生成されます。

TISサービスが利用できないか圏外になった場合、「TIS Not Available」(TNA)音声アラートが生成されます。TISは以下の理由によりレーダー覆域内で利用できない場合があります:

  • レーダーサイトのTIS Mode Sセンサーが動作していないか、使用できない状態
  • 交通情報または要求元の航空機がTIS対応Mode Sレーダーサイトの最大範囲を超えている
  • 交通情報または要求元の航空機がレーダーサイトの無感知円錐内の上空にあり、隣接サイトの範囲外
  • 交通情報または要求元の航空機がレーダー覆域の下にある。平坦な地形では、覆域は55マイル地点で約3000フィート上空から拡がる。レーダーサイト周辺の地形や障害物により、全方向のレーダー覆域がさらに減少する可能性がある
  • 交通情報を発する航空機のトランスポンダーが作動していない

「TIS Not Available」(TNA)音声アラートは、不要なアラートを減らすため手動でミュートにすることができます。TNAのミュート状態は交通情報マップページの左上隅に表示されます。



国土交通省 小型航空機に搭載可能な簡易型航空機衝突防止装置の性能、機能等について
簡易型航空機衝突防止装置

トランスポンダーの種類

まず、トランスポンダーとは造語です。英語で「TRANSPONDER」と書きます。これは、「TRANSmitter(送信機)」と「resPONDER(応答機)」の組み合わせで作られました。
トランスポンダーはその性能でレベル分けすることができます。そのレベルのことをモードと呼び、トランスポンダーのモードは大きく分けて、3つに分けられます。それぞれ:

Mode A:
Mode C:A + ALT情報
Mode S:C + 質問信号
です。それぞれによって、得られる情報が違うのが特徴です。Mode A、Mode C、Mode Sの順に高度な情報を得ることができ、より情報のやりとりができるようになったと言えるでしょう。

トランスポンダー、二次レーダーなどの詳細は下記にまとめています。
UTMとATC (航空交通管理) の現状と将来の展望 ATCの話1

TCASの種類

TCASのバージョンは主に3種類あり、それぞれ異なる機能を持っています。

1. TCAS I:

第一世代の衝突防止技術で、主にゼネラル・アビエーション(一般航空)用です。航空機の周囲(約4海里まで)の交通状況を監視し、他の航空機のおおまかな相対位置と高度に関する情報を提供します。さらに「接近情報」(Traffic Advisory: TA)として衝突警報を出します。
他の航空機が近くにいる場合、TAは"traffic, traffic"(他機あり)の音声で警告しますが、回避方法までは指示しません。どうするかを決めるのは操縦士に委ねられており、通常は管制機関 (ATC) の支援を受け回避ををします。危険が無くなれば"clear of conflict"(衝突は回避された)の音声で示されます。

2. TCAS II:

第二世代かつ現代のTCASであり、大多数の民間航空機で使われています。監視範囲は半径約40海里です。TCAS Iの機能をすべて含み、さらに危険を避けるための「回避指示」(Resolution Advisory: RA)を、音声とディスプレイで操縦士に指示します。

鉛直方向に飛行経路の変更を伴う場合はCorrective(是正)RAとよばれ、"descend, descend"(降下せよ)あるいは"climb, climb"(上昇せよ)といった音声で、操縦士に高度を変えるよう指示します。鉛直方向に飛行経路の変更を伴わない場合はPreventive(予防的)RAとよばれ、現在の飛行経路から逸脱しないように"monitor vertical speed"(垂直速度を監視せよ)というような音声で警告が発せられます。操縦士に指示を出す前に、TCAS IIシステム同士で回避指示の調整が行われます。回避指示の調整は、機体に搭載されているTCASに割り当てられている固有番号の大小によって行われます。例えば大きい方が上昇、小さい方が降下というように調整されます。その結果、ある航空機に降下が指示されれば別の機には上昇が指示され、2機の距離間隔は大きくなり、安全を確保する仕組みになっています。

2006年の時点では、ICAOのACAS IIに適合した実装はTCAS IIのバージョン7.0のみで、ロックウェル・コリンズ社とハネウェル社の二社から提供されています。
2008年にはTCAS II version 7.1の技術基準が承認され、逐次version 7.0からの改修が開始されています。EASAでは2012年3月1日以降の新造機への装着、ならびに2015年12月1日までに既存の機体の改修を義務付ける提案がなされましたが、最終決定には至っていません。

3. TCAS III:

「次世代」の衝突防止技術で、現在開発が進められています。TCAS IIシステムの技術的性能を向上させ、接近情報の提供と、垂直方向だけでなく「水平方向」も使って操縦士に衝突回避を指示する能力があります。
たとえば、正面から接近する状況で、ある航空機に"turn right, climb"(右旋回して上昇せよ)と指示が出れば、対抗する機体には"turn right, descend"(右旋回して降下せよ)と真反対の指示が出ることになります。これにより、水平方向と垂直方向の両方で航空機同士の間隔をより大きくすることでより安全を確保することができます。

航空機衝突防止装置の設置義務

TCASの搭載義務については、ICAOの条約付属書で基準が定められており、客席数が19、または最大離陸重量が5,700kgを超えるタービンエンジン装備機につける必要があるとされています。各国や地域では、この基準を基に個別に規定を設けています。

例えば、日本では航空法施行規則第147条の6項で、客席数19または最大離陸重量が5,700kgを超え、かつ、タービン発動機を装備した飛行機には、ICAOの国際民間航空条約の附属書十第四巻第八十五改訂版(ICAO Annex 10, Volume 4 Amendment 85)に定める基準に適合する航空機衝突防止装置を1台は装備しなければならないと定められています。

以下の航空法施行規則第147条の6項で、定められています。
第百四十七条 法第六十条の規定により、航空運送事業の用に供する航空機に装備しなければならない装置は、次の各号に掲げる装置であつて、当該各号に掲げる数量以上のものとする。
 国際民間航空条約の附属書十第四巻第八十五改訂版に定める基準に適合する航空機衝突防止装置(客席数が十九又は最大離陸重量が五千七百キログラムを超え、かつ、タービン発動機を装備した飛行機に限る。) 一」 

世界での規定状況

日本(JCAB:Japan Civil Aviation Bureau)では、最大離陸重量5,700kgまたは客席数19を超える(つまり5,701kg または客席数20以上の)タービン発動機を装備した飛行機に対してTCAS IIの取り付けが2005年1月1日から義務付けられています。
アメリカ(FAA)では、客席数30または最大離陸重量が33,000ポンド(約15,000kg)を超えるタービンエンジン搭載の民間航空機にはTCAS IIの取り付けが2005年1月1日から義務付けられています。
ヨーロッパ(EASA)では、客席数19または最大離陸重量が5,700kgを超えるタービンエンジン搭載の民間輸送機にはACAS II(事実上TCAS IIバージョン7.1)の取り付けが2015年7月22日から義務付けられています。
オーストラリア(CASA)では、タービンエンジン搭載の商業輸送を行う航空機(ターボプロップを含む)にはTCAS IIの取り付けが2007年3月30日から義務付けられています。
ブラジル(ANAC)では、座席数19席を超える輸送機すべてに2010年1月1日からTCAS IIバージョン7.0の取り付けが義務付けられています。
香港(CAD)では、客席数9または最大離陸重量が5,700kgを超える香港登録の固定翼機には2000年1月1日発効からTCAS IIバージョン7.0の取り付けが義務付けられています。

TCASのアドバイザリー

自機の周り半径 15NM 以内にある航空機を検出するために、トランスポンダーからモードCもしくはモードS の質問パルスを 1 秒に 1 回送信し、TCASアンテナで応答パルスを受信します。受信時間を追跡することにより相手機との距離の変化率を計測するほか、応答パルスに含まれる高度情報から高度変化率を計測することができます。
これら相対位置関係の変化率をもとに、自機と衝突の危険性が高い範囲内(自機を中心においた保護区域)に接近する可能性がある航空機を、脅威機として選び出します。
TCASのアドバイザリーには、約25秒~48秒以内に衝突のおそれがある周辺機の情報を表示するTA(トラフィック・アドバイザリー)と、約15秒~35秒以内に衝突するおそれのある周辺機に対する回避操作を指示するRA(レゾリュージョン・アドバイザリー)の2種類があります。 

TA(トラフィック・アドバイザリー)
衝突のおそれの約25秒~48秒前、接近する可能性のある周辺機について表示する接近情報(TA)が発出されます。
相手機の高度、方位及び上昇・下降などの情報がディスプレイ装置に表示される他に「トラフィック、トラフィック」という音声が鳴動します。 
RA(レゾリュージョン・アドバイザリー)
衝突のおそれの約15秒~35秒前、パイロットが取るべき回避指示(RA)が発出されます。
相手機の高度、方位及び上昇・下降などの情報がディスプレイ装置に表示される他に
「クライム、クライム」や「ディセンド、ディセンド」という音声が鳴動します

TCASの回避指示発出の判断には、距離と高度差のみを利用しており、相手機の方向は利用されていません。(左右への回避指示はありません)
※ TA、RAの作動タイミングは、高度により変わります。

相手機が次のいずれかの場合、TA も RA も発出されません。
  1. ATC トランスポンダーを搭載していない
  2. 搭載しているが、不具合等で作動していない
  3. モード A のみ作動のトランスポンダーを搭載している
また、相手機が、高度情報を含むモード C またはモード S の応答信号を発信していない場合、TAは発出されますが、RAは発出されません。
そのため、モードA/Cトランスポンダー搭載機は、管制機関から停止を求められた場合等を除き、飛行中はALT位置(機種によっては ALT Report On 位置)でトランスポンダーを作動させることが重要です。

自動従属監視 (ADS) との関係

適合するトランスポンダを搭載した航空機からは、識別子、現在位置、高度、対気速度のような情報を含んだADS-B信号が送信されます。この信号は、TCASの応答と同じ1,090MHzの周波数で送信されます。
ADS-Bメッセージを処理できるTCAS装置は、通常のTCASメッセージと共にADS-Bメッセージを使用して、予測能力と状況表示の強化が可能です。この方法は「ハイブリッド監視」と呼ばれています。
能動的なTCASで監視できる40海里の範囲に比べると、ADS-Bでは約100海里以上の遠距離から受動的に受信できるだけでなく、ADS-Bメッセージには追加情報(対気速度など)が含まれているため、予測能力が向上します。ADS-Bメッセージの中にある識別情報は、コックピット・ディスプレイ上で他の航空機にラベルを付けたり、状況認識を改善するために使用されます。ハイブリッド監視を使用した場合でも、TCASの基本である衝突防止機能に変わりはありません。

TCAS運用の重要性と事故例

TCASの運用の重要性は、過去の事故例からも明らかです。2002年のユーバーリンゲン空中衝突事故は、双方の航空機にTCAS IIが搭載され正常に動作していましたが、TCASの指示とATCの指示が矛盾したことが原因で発生しました。この事故では、2機の航空機(611便と2937便)がともに同じ管制承認高度36,000フィートを飛行中でした。衝突の36秒前に双方のTCASが正常に作動し、611便には降下、2937便には上昇の指示を与えました。一方で、管制官は611便の高度を維持し、2937便に対しては高度35,000フィートへの降下を指示しました。
この相反する指示により、611便の乗員はTCASの降下指示に従い、2937便の乗員は管制官の指示に従って降下を開始しました。結果として両機とも同時に降下し、衝突に至りました。この事故を受け、操縦士はTCASの回避指示に、たとえ管制官に矛盾する指示を出されたとしても必ず従うことが国際的に定められました。

TCASの実施状況

FAAやその他ほとんどの国の機関では、TCAS RAと航空交通管制(ATC) の指示が食い違う場合には、常に「TCAS RA」が優先する、と規則に定められています。これは仮にある航空機がTCAS RAに従い、別の機がそれに反してATCの指示に従うと、2001年1月31日に静岡県(駿河湾)上空で発生した日本航空機駿河湾上空ニアミス事故や、2002年7月1日にドイツで発生したユーバーリンゲン空中衝突事故のような空中衝突を避けるためのものです。

まれに誤警告があるものの、操縦士は「すべてのTCASメッセージを本物の警報として、優先的に即刻対応せよ」と厳格に命じられています。
TCASよりも更に優先されるのは、「対地接近警報装置(GPWS)の警報」・「失速警報およびウインドシア警報」のみです。

ICAO(国際民間航空機関)が普及を呼びかける重要装置

TCASよりもさらに進化したシステムとして、ADS-B(自動従属監視放送)があります。ADS-Bは自機の位置を緯度経度の座標情報を含んだ信号で、周囲にいる他の航空機に発信するシステムです。このシステムにより、航空機の位置をより正確に把握することが可能になります。
 ICAO(国際民間航空機関)では、モードSとADS-Bの両装置とも基準を定めて各国に普及を呼び掛けています。
ADS-Bの普及は世界的に進んでおり、ヨーロッパでは2020年より総重量5.7t以上ある全ての航空機にADS-Bの装備が義務付けられました。アメリカでも2020年から管制空域に入るにはADS-Bの搭載を義務付けています。なお、アメリカではこれに先立ちADS-Bの普及を促すため、補助金を出して同装置の設置を後押ししてきました。
一方、日本では、TCASやこれに反応するモードSの導入は進んでいますが、ADS-Bは現時点では義務化されていません。しかし、国際的な航空安全基準の向上に伴い、今後日本でもADS-Bの導入が進んで行くと考えられています。

ADS-Bについて詳しくは以下にまとめています。
ADS-B  ADS-C ADSの概要  航空管制と人口衛星 ATCの話2

航空機衝突防止装置の進化は、航空安全の向上に大きく貢献しています。TCASからADS-Bへの発展は、より精密な航空機位置の把握と、それに基づく効果的な衝突回避を可能にしています。しかし、これらのシステムが効果を発揮するためには、パイロットや管制官が適切に運用することが不可欠です。
特に、TCASの回避指示に従うことの重要性は、ユーバーリンゲン空中衝突事故の教訓から明らかです。パイロットは常にTCASの指示を優先し、たとえ管制官の指示と矛盾する場合でも、TCASの回避指示に従うべきです。
また、航空会社や航空当局は、これらのシステムの適切な運用と保守、そしてパイロットや管制官への継続的な訓練を行うことが重要です。技術の進歩に伴い、運用手順や訓練内容も更新されていく必要があります。
さらに、国際的な基準の統一も重要な課題です。現在、TCASやADS-Bの搭載義務は国や地域によって異なりますが、航空の安全性をグローバルに向上させるためには、これらの基準をできる限り統一していくことが望ましいでしょう。

最後に、これらのシステムは非常に効果的ですが、完全ではないことを認識することも重要です。例えば、TCASはトランスポンダーを搭載していない航空機や、トランスポンダーが作動していない航空機を検知できません。したがって、パイロットや管制官は、これらのシステムに全面的に依存するのではなく、常に状況を注意深く監視し、必要に応じて適切な判断を下す能力を維持する必要があります。
航空機衝突防止装置の発展は、航空安全の歴史における重要な進歩の一つです。今後も技術の進歩と運用の改善を通じて、より安全な空の旅が実現されていくことが期待されます。
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雲の正体と形成メカニズム 遠くから眺める雲は綿菓子の様にふわふわと見えますが、実際には手で触ったり食べたり、雲の上に乗ったりすることはできません。雲の正体は、直径が約 0.01ミリメートル(1ミリの100分の1程度)という非常に小さな水滴や氷の粒子の集合体です。個々の粒子は肉眼では見えないほど微細ですが、無数に集まることで白い雲として視認できるようになります。これは氷水で冷やされたコップの周りに水蒸気が水滴となってガラス表面に付着するのと同じ原理です。また、雲が白く見えるのは、湯気や冬の寒い日に吐く息が白く見えるのと同じ現象です。 雲が形成される仕組みは以下の段階を経て進行します。まず、海や地表の水分が太陽光によって加熱され、蒸発して水蒸気となり、空気中の塵と混合します。この水蒸気を含んだ暖かい空気は上昇気流によって塵と一緒に上空へ運ばれます。上空では周りの気圧が低くなるため、隣り合う空気が押し合う力が弱くなり、上昇した空気は大きく膨張します。空気には膨張すると冷える性質があるため、高度100メートルあたり約1度の割合で空気の温度が下がります。空気が冷却されると、その中に含まれる水蒸気が塵を核として凝結し、微細な水滴や氷の粒子が形成されます。これらの無数の粒子が集合したものが雲の正体です。 上昇気流は様々な要因で発生します。空気は暖かいほど軽く、冷たいほど重いという性質があるため、暖かい空気ほど上昇しやすくなります。晴れて暑い日にもくもくと大きな雲が形成されるのはこのためです。また、空気同士や空気と山などが衝突する場所でも、押し出されるように空気は上昇します。異なる温度の空気塊が衝突する前線付近や、周囲から空気が集まってくる低気圧の近辺では、多量の空気が上昇して多くの雲が形成されます。このような雲のできやすい場所では雨や雪も降りやすいといえます。このため、前線や低気圧が近づくと天気は曇りや雨などになりやすくなります。 空に浮かぶ雲はどれも同じ形ではありません。雲の種類は形状だけでなく、雲のできる高度によっても分類されており、世界気象機関(WMO)発行の「国際雲図帳」では雲を大まかな形から10の「類」に分類しています。雲の中で水滴や氷の粒子が衝突・合体してくっつき、大きく重くなると重力によって落下し、これが雨や雪として地表に達します。このように、雲から降ってくる雨や雪...

無人航空機は太陽の影響を受けて飛行できなくなるのか

無人航空機の運用に太陽フレアが及ぼす影響 通常の太陽活動であれば無人航空機の運用には影響はありませんが、太陽にも活動の周期があり、活発な活動期には無人機の飛行に支障が生じる可能性があります。 近年、無人航空機の活用が進む中で、太陽の高活動期における影響が懸念されています。太陽フレアによって引き起こされる電離層の撹乱は、無人航空機の通信システム(制御信号、テレメトリ、画像伝送)や位置情報システムの機能に悪影響を及ぼす恐れがあるためです。 とはいえ、大きな影響が出る可能性があることを知っておくことが重要で、お天道様からの影響ですから、ただちに何か対策が出来るようなものではないことも確かです。 実際、2015年3月に発生した大規模な太陽フレアでは、GPSの誤差が最大10メートルにも達したと報告されています(NASAの報告によります)。また、電離層の撹乱によりGPSの受信が一時的に遮断された事例も確認されています。 2021年10月28日、第25周期で2件目となるXクラスフレアが発生。太陽面の中心付近(地球と正対する方向)で生じたため地球影響が懸念され、情報通信研究機構(NICT)による情報発信および各メディアで報道されました。 2022年2月3日に打上げられた49基のスターリンク衛星のうち、40基が大気圏に突入。直前に生じたフレアに伴って地球大気が膨張したことで、衛星の軌道が乱れた為とされました。 2022年3月から4月にかけて、多数のXクラスフレアが発生しました。 2024年5月8日から16日にかけて、太陽活動が非常に活発化しました。この期間中に、大規模な太陽フレア13回を含む複数回の太陽フレアが観測されました。これに伴い、太陽からコロナガスが複数回地球方向へ放出されていました。最初のコロナガスは5月11日午前1時半頃に地球に到達し、地球周辺で大規模な磁気嵐と電離圏嵐が発生しました。同様の規模の太陽フレアとそれに関連する現象が、活発な黒点群の影響で5月16日頃まで発生する可能性があると警告が発せられました。 2024年5月8日から15日にかけての大規模(Xクラス)太陽フレア一覧 規模のXの数値が大きいほど、より大規模なフレアを表します。 No. 発生日 発生時刻(JST) ...

人口集中地区(DID)の新しいデータの確認方法(令和4(2022)年6月25日~)

人口集中地区 DID(Densely Inhabited District) ドローンを飛行させる場合の許可が必要な飛行なのかどうかを判断する為の重要な基準になっている統計データの人口集中地区(DID)データが、 2022年6月25日から これまで利用していた平成27年版から、新しい 令和2年版 に、変更になりました。 これまで人口集中地区でなかった場所でも新たに人口集中地区とされている場合や、逆にこれまでDID地区であった場所でも除外されている場所など、変更されている場合があるので注意が必要です。 日本の国勢調査において設定される統計上の地区で、 人口密集地区の英語"Densely Inhabited District"の頭文字を取って「DID」とも呼ばれています。 市区町村の区域内で人口密度が4,000人/ km² 以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定されます。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれています。都市的地域と農村的地域の区分けや、狭義の都市としての市街地の規模を示す指標として使用されます。 令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区は、国土地理院が提供している「地理院地図」、および政府統計の総合窓口が提供している、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を利用して確認可能です。 情報の内容はは同じですので使いやすいお好みの物を利用すると良いと思います。 国土地理院 地理院地図 人口集中地区令和2年 (総務省統計局) e-Stat 政府統計の総合窓口 地図で見る統計 (jSTAT MAP) 国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局) 確認方法 人口集中地区令和2年 (総務省統計局) 国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局)のキャプチャ

自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
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