Noman Flight Research Group 無人航空機(ドローン)の研究会です

広 告

安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン【教則学習(第3版) 詳細】

2024年4月7日  2024年4月7日 

「安全な運航管理体制の構築」の指針、「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」

「安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン」は、公益財団法人福島イノベーション・コースト構想推進機構 福島ロボットテストフィールド(RTF)で作成されたガイドラインで、無人航空機の運航者が計画する運航形態に対して想定されるリスクと、そのリスクに応じた安全目標を明確にするためのリスク評価手法及びその考え方を提供することを目的としています。 また、このガイドラインにおけるリスク評価手法及び考え方は、日本における「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」において、無人航空機のカテゴリーⅢ飛行(レベル4飛行)の許可承認を得るための要件の一つである「安全な運航管理体制の構築」の指針として、この「リスク評価ガイドライン」が推奨されています。

無人航空機の全ての運航において適用可能な、飛行エリアにおける無人航空機と人との衝突リスクである「地上リスク」と無人航空機と有人航空機の衝突リスクである「空中リスク」の評価手法及び必要な安全確保措置を、JARUS が発行しているリスク評価手法である “SORA” を参考にし、日本の制度との整合を図ってまとめたガイドラインです。

このガイドラインは、「地上リスク」と「空中リスク」に対応するもので、以下の事象は評価対象には含まれていません。
  •  無人航空機同士の空中衝突
  •  事故が発生した場合に、無人航空機に搭載された貨物等による二次被害
  •  プライバシーと財務に関わる事項 

※JARUS(Joint Authorities for Rulemaking of Unmanned System):米国や日本を含む63カ国の航空当局及び欧州航空安全機関(EASA)やEUROCONTROLなど、世界中の航空規制に関する専門家のグループ。

※SORA(Specific Operation Risk Assessment):JARUSが開発した、無人航空機システム(UAS)の運航に係わるリスクを評価するための方法論を示したもの。欧州では主に中程度のリスクを持つSpecificカテゴリーの運航の評価に用いられている。


リスク評価ガイドライン

無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)国土交通省航空局

安全確保措置検討のための無人航空機の運航リスク評価ガイドライン

福島イノベーション・コースト構想推進機構が公開されています。
※本成果資料の営利目的での無断使用を禁止されています。

評価を実施するために基本となる考え方

無人航空機の安全な運航の計画、リスク分析と評価及び運航の実施に当たって、以下の3つの考え方が重要になります。 
  • セマンティックモデル(運航概念図) 
  • ロバスト性
  • 総合リスクモデル

セマンティックモデル(運航概念図) 

セマンティックモデルとは、本書で示すリスク評価の実施にあたり、その前提となる概念の理解を促進することを目的とし、運用のフェーズ、手順及びオペレーション空間を表す用語を標準化したモデルです。以下に示す表2がセマンティックモデルに関する用語であり、下図がセマンティックモデルを図示したものになります。無人航空機の運航を計画する際には、図に示される概念を基にオペレーション空間を設定する必要があります。 
セマンティックモデルの概念図
セマンティックモデルの概念図

ロバスト性

ロバスト性とは、ロバストネス(robustness)とも言われます。
システムや機械がもつ、外乱に対する強さや、その性質を表します。外乱を受けても挙動が安定していたり、何らかの冗長性によって外部からの影響を排したり、影響を最小限に抑えたりする仕組みを指します。また、この性質は、外乱に対する、堅牢 (けんろう) 性。強靭 (きょうじん) 性。頑強性。と言うとわかりやすいかもしれません。
無人航空機の安全な運航の評価で用いられるロバスト性は、外的及び内的要因による危険な状況変化への対策が効果的であることの水準を示すものです。
ロバスト性は、リスク評価の結果講じるべき「安全性の水準」(安全性の増加)と計画されている安全性の確保措置がどの程度確実に実施されているかを示す「保証の水準」(証明の方法)の双方を勘案して評価します。 

 ロバスト性レベルの決定
「低」の保証 「中」の保証 「高」の保証
「低」の安全性 「低」 のロバスト性 「低」 のロバスト性 「低」 のロバスト性
「中」の安全性 「低」 のロバスト性 「中」のロバスト性 「中」のロバスト性
「高」の安全性 「低」 のロバスト性 「中」のロバスト性 「高」の ロバスト性 
安全性の水準と保証の水準のうちのいずれか低い方に準じて、その安全確保措置は評価されます。例えば、中レベルの安全性の措置が、低レベルの水準で保証された場合には、その安全確保措置は低レベルと評価されます。 

総合リスクモデル

リスク評価における総合リスクモデル(HRM:Holistic Risk Model)とは、無人航空機の運航に伴うリスクの軽減について、リスク[Risk]、ハザード[Hazard]、脅威[Threat]、運航に望まれる安全確保措置の一般的な枠組みで、この考え方に基づいています。

リスク評価プロセス

下図のようにStep#1から、順を追ってStep#6までで、リスク評価を行います。ステップの途中で分岐があるのが特徴です。Step#2の地上リスクのクラス付けの後、必ず地上リスククラスが7以下でなければならないようになっています。

リスク評価プロセス図
リスク評価プロセス図

運航のリスク評価

リスク評価の各Stepを示します。各Stepで評価した項目は、ガイドラインの付録1として公開されている「リスク評価作業シート」を用いて評価結果を示すことが推奨されています。 また、この作業シートの記入例として「付録7_リスク評価適用例」も公開されていますので、実際に作業シートを記入して行く際の参考になると思います。

このリスク評価をする前に、運航計画を準備すると共に、飛行させる機体の諸元なども事前に準備しておいた方がスムーズにステップを進めることが出来ると思います。

Step#1 運航に関わる CONOPSの説明

リスク評価の最初のステップとして、運航者が計画するCONOPS(Concept of operations)を明確にする必要があります。運航のリスク評価を主眼とすると、CONOPSは「運航計画」と読み替えることができ、記載すべき事項は“5W1H”に倣って整理することができます。
  • When(いつ):運航日時
  • Where(どこで):運航地域/空域
  • Who(だれが):運航者/運航体制
  • What(何を):使用する無人航空機の情報
  • Why(なぜ):運航目的
  • How(どのように):飛行方法 

これらの運行情報を事前に整理することが重要です。

Step#2 地上リスクの把握

無人航空機の地上リスクとして、人との衝突リスクを本項では考えます。無人航空機は制御不能な状態に陥った時、人と衝突し、重大な障害を引き起こす可能性があります。 本ステップでは、運航者に、以下に示すアプローチで、計画する地上リスクの把握を行い、リスクにさらされる第三者の人数および衝突の際の人が吸収する衝撃を減らすための適切な努力の実施と、無人航空機の運航が制御不能になった場合に備えて設定する緊急時対応手順及び計画を求めます。 

地上リスククラスの判定

運航者が計画する運航の定量的な地上リスクの把握のため、下表に示す判定表を用いて地上リスククラスの判定を行います。下表では、無人航空機の最大寸法及び運動エネルギーと想定する運航形態の交点により地上リスククラスを決定します。
 
地上リスククラスの判定表
地上リスククラス
無人航空機の最大寸法
1m/約3ft 3m/約10ft 8m/約25ft >8m/約25ft
代表的な運動エネルギーの見積り <700J 約529 FtLb <34KJ 約25000FtLb <1084KJ 約800000FtLb >1084KJ 約800000FtLb
運航形態
立入管理地域での目視内/目視外飛行
低人口密度環境での目視内飛行
低人口密度環境での目視外飛行
人口密集環境での目視内飛行
人口密集環境での目視外飛行 10
集会上空における目視内飛行
集会上空における目視外飛行
表中の目視外飛行には補助者ありの目視外飛行も含みます。 

運動エネルギーは記号 K で表され、単位は [J] (ジュール)です。
 1J(ジュール)とは、1N(ニュートン)の力を物体に働きかけ、1mの距離を移動したときの仕事に当たります。
運動エネルギーは以下により計算します。 

運動エネルギー K [J]=(1/2)mv2
 
m : 無人航空機の質量[kg] 
 v  : 巡航速度又は終端速度[m/s] 

v の 巡航速度又は終端速度は、固定翼型の無人航空機の場合は、Vcruise(設計巡航航速度)を使用し、他の形態の無人航空機では、Terminal Velocity(終端速度)を使用します。

運動エネルギーの見積り内の「FtLb」フィートポンドは「1重量ポンドの力が力の方向に物体を1フィート動かすときの仕事」とも言い換えられるます。

「J」ジュールと「FtLb」フィートポンドの関係性は
1[FtLb]= 1.3558179483314004[J]
0.7375621492772656[FtLb] =1[Nm] =1[J] 

終端速度の計算
終端速度を決定するために役立つガイダンスとして、米国のNASA Glenn Research Centerが提供しているターミナルベロシティインタラクティブという終端速度計算シミュレーションサイトがあります。
<NASA Glenn Research Center>
Terminal Velocity Interactive
URL:https://www1.grc.nasa.gov/beginners-guide-to-aeronautics/termvel/ 

外力(External Forces)
大気中を落下する物体には、二つの外からの力が作用します。一つは重力であり、物体の重さとして表されます。もう一つは空気抵抗、あるいは物体の抗力です。物体の質量が一定であれば、物体の運動はニュートンの運動の第二法則、力F = 質量m x 加速度aで記述できます。

F=ma

これは、外部力の合力と物体の質量から加速度を求めることができます。

a=Fm

重力と抗力は、ベクトル量です。外部力の合力Fは、重力Wと抗力Dの差となります。

F=W−D

したがって、落下物体の加速度は以下のように表せます。

a=W−Dm

抗力の大きさは抗力方程式により与えられます。抗力Dは、抗力係数Cd、大気密度ρ、速度Vの二乗、物体の基準面積Aに依存します。

D=Cd⋅ρV2(A/2)

抗力(drag)

抗力は速度の二乗に比例して増加します。そのため、物体が落下するにつれて、重力が小さい場合、抗力が重力に等しくなる条件に達します。抗力が重力に等しくなると、物体には合力がなくなり、鉛直加速度がゼロになります。加速度がゼロなので、物体は一定の速度、すなわち終端速度で落下します。

代数的に、終端速度の値を求めることができます。終端速度では、

D=W

D=Cd⋅ρV2(A/2)

速度Vについて解くと、以下の式が得られます。

V=√(2W)/(Cd⋅ρA)

終端速度(Terminal Velocity)
終端速度の式から、断面積が大きいか抗力係数が高い物体ほど、遅く落下することがわかります。同じ重さの物体では、大きな平板の方が小さな球体より遅く落下します。同じ断面積と抗力係数の物体では、軽い方が遅く落下します。これは、ガリレオが等空気抵抗下で全ての物体は同じ速度で落下すると示した結論と矛盾するようですが、ガリレオの原理は真空中で成り立ち、抗力がゼロの場合にのみ成り立ちます。

一般的な注意点
大気の化学組成や惑星の重力定数によって、終端速度は影響を受けます。左上のボタンで惑星を選択できます。計算は英単位(Imperial)またはメートル単位で行えます。物体の重さまたは質量を入力します。地球上の重さ、その惑星上の重さ、または物体の質量のいずれかを指定できます。次に、断面積と抗力係数を入力します。最後に大気密度を指定する必要があります。地球と火星の高度による大気密度モデルを計算機に組み込んでいます。適切な条件を設定したら、赤の"Compute"ボタンを押して終端速度を計算してください。

注意: この計算機では、抗力係数を指定する必要があります。抗力係数の値は、物体の形状と流れの圧縮性の影響に依存します。音速付近や超音速の流れでは、物体上の shock wave の発生により抗力係数が大きく増加します。したがって、高い終端速度の結果を解釈する際は十分注意が必要です。抗力係数に圧縮性の影響が含まれている場合、結果は正しいです。低速で求めた抗力係数を使い、終端速度が非常に高い場合、抗力係数が圧縮性の影響を含んでいないので、正しい答えが得られません。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

巡航速度
航空機が定常飛行状態を継続する巡航時の速度。目的地までの飛行時間を最小にする最大巡航速度、距離当たりの燃料消費量を最小とする長距離巡航速度、時間当たりの燃料消費量を最小とする最長滞空巡航速度などがある。



付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す
地上リスククラスの判定表を確認すると
「無人航空機の最大寸法」と「代表的な運動エネルギーの見積り」の大きい方を取ります
最大幅: 1060mm
運動エネルギーの見積  重量:14.0Kg    19.5m/s(終端速度)
(1/2)mv= (1/2)×14.0×19.5= 2661[J] ≒ 2.7[KJ]
表の中の無人航空機の最大寸法 1.06m  代表的な運動エネルギーの見積り <34KJ  列
低人口密度環境での目視外飛行 の 行の交点の「4」が地上リスククラスになります。

地上リスククラスの低減

地上リスククラスが1増えるということは10倍リスクが高い運航であるということを表しています。また地上リスククラスを1低減させるには10倍の努力が必要であることを表します。 リスクに曝される第三者の人数および衝突の際の人が吸収する衝撃を減らすための適切な努力を促すために、導き出された地上リスククラスに対して、下表の項目の対策を行うことにより地上リスククラスを適切に調整することができます。下表は、地上リスクの軽減策とロバスト性に応じた地上リスククラスの調整数を示しています。 

地上リスクを軽減するための対策と地上リスククラスの調整数
軽減策の
評価順
地上リスクの軽減策 ロバスト性
低/なし  中   高 
M1- 制御不能な状態となった際の無人航空機
との衝突リスクに曝される人の数を減らす対策
0:なし※
 -1:低 
-2 -4
M2-無人航空機との衝突時のエネルギーを減らす手段 -1 -2
M3-制御不能な状態になった際に被害の拡大を
抑制するための緊急対応計画の設定
-1
※M1の軽減策においてロバスト性“なし”を選択できるのは、カテゴリーⅢ飛行が可能な場合に限ります。カテゴリーⅢ飛行では機体は第1種機体認証を取得していることから、制御不能な状態になる可能性が極めて低いと考えられる為、上記表のようにロバスト性を「-1」でなく「0」とすることが出来ます。

地上リスク軽減に対するロバスト性を達成するための「安全性の水準」と「保証の水準」
軽減策はM1から順番に評価しなければなりません。 M1からM3の地上リスク軽減策に対するロバスト性を決定するため、「安全性の水準」と「保証の水準」で評価します。この「安全性の水準」と「保証の水準」は、付録4_地上リスク軽減策に対する安全性の水準と保証の水準 として公開されています。
M1からM3の地上リスク軽減策
  • M1: 制御不能な状態となった際に無人航空機との衝突のリスクにさらされる人の数を減らす対策 
  • M2: 無人航空機との衝突時のエネルギーを減らす手段  
  • M3:制御不能な状態になった際に被害の拡大を抑制するための緊急時対応計画の設定 
M1から順にM3まで、順に評価をして行きます。

M1: 制御不能な状態となった際に無人航空機との衝突のリスクにさらされる人の数を減らす対策
    本対策は、地上でリスクに曝されている人を減らすことを意図した対策です。本対策の安全性の水準を評価するためには以下を考慮する必要があります。
 • 地上リスク緩衝地域と着陸予定地域
 • リスクに曝されている人々の評価
なお、リスクに曝される人数を、管理地域における人数よりも少なくすることはできないため、M1のリスク低減措置によって、地上リスククラス判定表の該当列の最低値よりも低い値にすることはできません。以下はリスクに曝される人を減らす手段の「安全性の水準」と「保証の水準」を示します。 

M1: 制御不能な状態となった際に無人航空機との衝突のリスクにさらされる人の数を減らす対策 

表1. M1対策に対する安全性の水準
安全性の水準
基準 #1 (地上リスク緩衝地域の定義) 少なくとも1対1ルール
※1を持つ地上リスク緩衝地域であること。
地上リスク緩衝地域は以下の考慮事項を含むこと。
・オペレーション空間外への逸脱に繋がる、起こりそうもない(improbable)
※2単一不具合または故障(ローターやプロペラ等の高エネルギー部品の突出を含む)。
・気象条件(風等)
・無人航空機システムの遅延(無人航空機のタイムリーな操作性に影響を与えるような遅延))
・技術的な逸脱防止手段を有効にする際の無人航空機の動作
・無人航空機の性能 
「中」と同じ※3 
備考 ※1 無人航空機が高度150mで飛行するように計画されている場合、地上リスク緩衝地域は最低150m必要。  ※2 この評価の目的上、“起こりそうもない(improbable)”という用語は性質上“それぞれの無人航空機システムの総寿命中では起こりそうもないが、この型式における多数の無人航空機システムの総運用寿命を考慮すると数回発生する可能性がある”のように解釈される。
※3 この基準に対する「中」レベルのロバスト性と「高」レベルのロバスト性の区別は、「保証の水準」によって実現される。
基準 #2 (リスクに曝されている人々の評価) 運航者は、リスクに曝されている人々の密度を低減できることの妥当性を示すために、現地での調査によって運用エリアを評価すること。  「低」と同じであるが、運航者は提案したエリアと運用時間に関する信頼できる密度データ(UTMデータサービスプロバイダーからのデータ等)を使用してリスクに曝される人々の密度が低いことを証明すること。または隔離された運用環境によって人口密度の低減を主張する場合、運航者は次のことを行うこと。
・25kg未満のドローンを使用し、174knotを超えて飛行しない。 ・運航は人口密集地で行われているが、飛行に関係しない者(non-active participants)は屋内
※4にいると考えることが妥当であることの証明。 
「中」と同じ 
備考 ※4 この対策の考慮事項は地域の状況によって異なる場合がある。

表2. M1対策に対する保証の水準 
保証の水準
基準 #1 (地上リスク緩衝地域の定義)  運航者は必要とされる「安全性の水準」を達成していることを宣言すること※1。  運航者は必要とされる「安全性の水準」が達成できていることを示す裏付けとなるエビデンスを示すこと。これは通常、試験、解析、シミュレーション※2、検査、設計のレビューまたは運用経験によるものである。 運航者が主張する「安全性の水準」は適切な第三者によって検証されていること。  
備考 ※1 サポートするエビデンスがある場合とない場合がある。   ※2 シミュレーションを用いる場合は、シミュレーションで使用されるターゲット環境の妥当性を示す必要がある。  なし
基準 #2 (リスクに曝されている人々の評価) 運航者は必要とされる完全性レベルが達成されていることを宣言すること。※3  リスクの低減を示すために使用される人口密度データは、静的な(信頼できる)情報源からの運用の日にち/時間の平均密度マップである。(たとえば夜間運用時の国勢調査のデータ等) さらに、ローカルな運用(都市内配送やインフラ点検等)の場合、運航者は入手している人口密度データが実際の人口密度に対して適切であることを示すため、飛行するルート/運用エリアを管轄する官庁や所有者等(例えば警察や、インフラ所有者等)からの協力や情報を基に、リスクに曝される人数を低減できることを証明すること。   「中」と同じであるが、リスクの低減を示すために使用する人口密度データは、運航する日時に適用できる動的な情報源(携帯電話の位置情報など)からのほぼリアルタイムな密度マップであること。 
備考 ※3 サポートするエビデンスがある場合とない場合がある。 なし なし

M2: 無人航空機との衝突時のエネルギーを減らす手段  

M2の軽減策は、運用中の制御が喪失した場合における地上衝突の影響を減少させることを意図しています。これは、無人航空機の衝突力学(衝撃、伝達エネルギー等)の影響を減少することによって行われます(一例としてパラシュートがあります。)

表3 M2対策に対する安全性の水準
安全性の水準
基準 #1 (技術的な設計)  「中」の基準を満たしていない。  ・死亡する可能性は想定されるが、衝突ダイナミクスや衝突後のハザード※1の影響が大幅に減少されていること。
・該当する場合、衝突に繋がる可能性のある不具合、故障またはそれらの組み合わせの場合、無人航空機システムには軽減対策のアクティブ化に必要な全ての要素が含まれること。
・該当する場合、提案する軽減対策自体の不具合(不注意によるアクティブ化など)または故障により運用の安全性に悪影響を与えてはならない。 
「中」に加えて、
・軽減策のアクティブ化は自動化されていること※2。
・衝突ダイナミクスや衝突後のハザードの影響は、死亡する可能性がないことを合理的に想定されるレベルまで減少されていること。※3  
備考   ※1 衝突後の危険性の例として、火災や高エネルギー部品の飛散等がある。   ※2  運航者は、追加で手動でのアクティベーション機能を実装することができる。
 ※3 新興的な研究と今後の業界標準は、運航者がこの安全性の水準の基準への適合性を実証するのに役立つ。 
基準 #2 (手順を適用する場合) 無人航空機の衝突ダイナミクスの影響を減少させるために使用する全ての機器類は、製造者の指示に基づき装備及び維持されること。※4 
備考 ※4この基準のロバスト性に対する「低」、「中」、「高」の区別は「保証の水準」によって決定される。(表4参照) 
基準 #3 (訓練を適用する場合)  無人航空機の衝突ダイナミクスの影響を減少させるために提案する対策の装備と整備を行う責任者は、運航者によって特定され訓練されなければならない。※5 
備考 ※5この基準のロバスト性に対する「低」、「中」、「高」の区別は「保証の水準」によって決定される。(表4参照のこと。) 

表4.M2対策に対する保証の水準
保証の水準
基準 #1 (技術的な設計)   運航者は、必要な「安全性の水準」が達成されたことを宣言すること※1。  運航者は、必要な「安全性の水準」が達成されたことを示すためのエビデンスを所持していること。これは通常
※2、試験、解析、シミュレーション、検査、設計レビューまたは運用経験によって行われる。 
「安全性の水準」は、航空局によって適切であると見なされている基準またはその当局が受け入れられる準拠手段に従って、適切な第三者によって検証されること。  
備考 ※1 サポートするエビデンスがある場合とない場合がある。  ※2 地上衝突に対する影響を減少さるために軽減対策を開発する場合は、業界標準を用いることを推奨する。
※3シミュレーションを用いる場合、シミュレーションで使用するターゲット環境の妥当性を示さなければならない。 
なし
基準 #2 (手順を適用する場合)  ・手順は、航空局によって適切であると判断した基準または準拠手段に対する評価を必要としない。
・手順及びチェックリストの適切性を宣言すること。
・手順は、航空局が適切と判断した基準または航空局が認めた準拠手段に従って検証されること。
・手順の妥当性は以下を通じて証明されること。
・専用の飛行試験、または、シミュレーション。シミュレーションは意図する目的に対して有効であることが証明されており、適切な結果が得られた場合に限る。
「中」に加えて、
・手順を検証するために実施する飛行試験は、フライトエンベロープの全てをカバーするか、より厳しい条件であることが示されていること。
・手順、飛行試験、シミュレーションは適切な第三者によって検証されていること。 
備考 なし  なし なし
基準 #3  (訓練を適用する場合)  訓練されていることを宣言すること。(エビデンスを提供可能。)   ・訓練シラバスを提供すること。
・運航者は技量に基づいた(competency-based)理論的及び実践的な訓練を提供すること。 
・訓練シラバスは適切な第三者によって妥当性が検証されていること。
・リモートクルーの能力は、適切な第三者によって妥当性が検証されていること。 

M3:制御不能な状態になった際に被害の拡大を抑制するための緊急時対応計画の設定

緊急時対応計画は、運用中に制御喪失が発生した際に備えて、運航者が定める必要があります。この計画には回復不能な状態であり以下のような緊急事態を含みます。
  •  運を天に任さざるを得ない状況の場合
  •  不測の事態に対応できなかった場合
  •  重大かつ差し迫った死亡の危険がある場合 
また、運航者が作成する緊急時対応計画は、非常操作手順とは異なり、以下を含むことが期待されます。
  •  墜落時の影響の拡大を抑制する計画(例えば、消防、警察、救助隊等の初期対応者への連絡方法等)
  •  有人航空機に対する影響のため航空管制に警告しなければならない状況における対応手段 

表5.M3の対策に対する安全性の水準      
安全性の水準
基準 緊急時対応計画を設定していない。または、「中」または「高」の安全性の水準を満すための要素を含んでいない。  緊急時対応計画は
・想定する事態に適している
・拡大する影響を抑制することができる
・実際に役立つ
・リモートクルーの職務を明確に示している  
「中」の基準に加えて、運航中に制御喪失が発生した場合、緊急時対応計画には、死亡者が発生する可能性はあるものの、リスクに曝される人数を大幅に減少させることが示されていること。 
備考 なし なしなし

表6.M3の対策に対する保証の水準
保証の水準
基準 #1  (手順)  ・手順は、航空局が適切として示す標準または準拠手段に対しての妥当性評価を必要としない。
・手順及びチェックリストの適切性を宣言すること。 
・緊急時対応計画は、航空局が適切と判断した標準及び/または航空局が認めた準拠手段に従って検証されること。
・緊急時対応計画は、当該計画に基づく訓練シラバスに沿った代表的な机上演習を通じて妥当性が検証されること。 
「中」の基準に加えて、
・緊急時対応計画及びリスクに曝される人数を抑制することに関する計画の有効性は、適切な第三者により妥当性の検証がされること。
・運航者は計画で特定される全ての第三者と緊急時対応計画に関して調整し合意を得ること。
・代表的な机上演習は、適切な第三者によって妥当性が検証されていること。 
備考 なし なし なし
基準 #2  (訓練)  「中」の基準を満たしていない。  ・緊急時対応計画の訓練シラバスが用意されていること。
・緊急時対応計画の訓練記録は適切な人員により作成され、最新の状態に保たれていること。
「中」の基準に加えて、関係する人員の能力は、適切な第三者により検証されていること。 
備考 なし なし なし

付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す
地上リスクを軽減するための対策と地上リスククラスの調整数の表に照らしてM1、M2、M3のそれぞれの調整数を導き出します。
M1:調整数: -1 
M2: 調整数: 0 
M3:調整数: 0 

M1: 制御不能な状態となった際に無人航空機との衝突のリスクにさらされる人の数を減らす対策 

〇安全性の水準
#1:飛行高度に対して1対1の地上リスク緩衝地域を設定(地上リスク緩衝地域も飛行エリア内に収まるようにエリアを設定。)。  6  RTF-GL-0006-7 (2023/3)
#2:飛行エリア直下の時間帯による人口密度の調査を行い、最も人口密度が低くなる時間帯を選定し飛行を実施。(当該エリアは工場地帯であるため、工場が稼働する前の早朝に飛行を計画する。)
〇保証の水準
安全の水準を満たしていることを宣言する。 
ロバスト性: 低 調整数: -1 

M2: 無人航空機との衝突時のエネルギーを減らす手段  
〇安全性の水準
#1:使用する機体は、パラシュートとエアバックを装備しているが、#1の基準に適合することが証明できないため“中”の基準を満たさない。
#2:パラシュート及びエアバックの装備は製造者の指示する方法により装備され維持する。
#3:パラシュート及びエアバックの装備を行う者は当該装置に関係する必要な訓練を実施する。
〇保証の水準
#1:必要な安全性の水準を達成していない。
#2:装備や整備に係わる必要な手順書が設定されている。
#3:当該装置の整備を実施する者は訓練されており、訓練記録を残している(訓練記録は提供可能) 
ロバスト性: 低 調整数: 0 

M3:制御不能な状態になった際に、然るべきところに通知・警告し、また被害の拡大を制限するための緊急事態対応計画の設定 
〇安全性の水準
緊急時対応計画(RTF-EM-xxxx)は、計画する飛行で想定される緊急事態に対応しており、被害状況の拡大を抑制することが可能となっている。また、緊急時対応計画には、緊急時における関係者の職務が明確化されている。
〇保証の水準
#1:航空局通達「無人航空機の飛行に関する許可・承認審査要領」で緊急時に必要とされる最低限の項目は当該対応策に含まれており検証されている。
#2緊急時対応計画を適切に実施するために必要な訓練シラバスが設定されており、リモートクルーは訓練を実施済みであるとともに訓練記録が残されている。 
ロバスト性: 中 調整数:  0 

調整後の地上リスククラス 

調整後の地上リスククラス =
(1)で判定した地上リスククラス−M1の調整数−M2の調整数−M3の調整数
                                    = 4-1-0-0 = 3 

したがって、最終的な地上リスクラスは「3」になります。

Step#3へ進む or Step#1へもどる

地上リスククラスを確認し「地上リスククラスが7以下」でなければ、地上リスクが高いので、CONOPS(運航計画)の修正を行いStep#1 から再評価行い、「地上リスククラスが7」以下であれば、Step#3へ進めて行きます。

Step#2で導きだした、地上リスククラスは「3」(地上リスククラスが7以下)なので、次のStep#3へ進みます。

Step#3  空中リスクの把握

有人航空機との空中衝突に対するリスクを評価します。有人航空機との間に適切な間隔が維持できない場合、結果として有人航空機との衝突等、重大な事故を引き起こす可能性があります。 運航者が飛行の計画を行うにあたり、空中衝突リスクを検討するエリアの把握や、そのエリアでの有人航空機との間隔を維持する適切な措置のあり方についての理解及び可能な限りの対策の実施を求めます。

(1)空中リスククラスの判定 空中リスクの把握のため、まず、飛行を検討しているエリアでの有人航空機に遭遇する確率を空中リスククラスとして定性的に分類・判定します。空中リスククラスは、以下の「空中リスククラスの判定フローチャート図」に示すフローチャートにより判定を行います。なお、空中リスクを検討するエリアは、「セマンティックモデルの概念図」で示したセマンティックモデルで紹介した想定飛行空間と想定外飛行空間により構成されるオペレーション空間です。

空中リスククラスの判定フローチャート図
空中リスククラスの判定フローチャート図

※1 完全な占有空域は、有人航空機との遭遇する確率がないかまたは非常に少ない空域であり、空中リスク軽減のために「戦術的対策」を必要としない空域です。日本では、無人航空機は150m未満での飛行を行うことが求められていますが、150m未満の空域であっても無人航空機専用の空域ではなく、有人航空機との遭遇する確率もあることから、この空域には該当しません。

※2 空港等の周辺の空域は、空港やヘリポート等の周辺に設定されている進入表面、転移表面若しくは水平表面又は延長進入表面、円錐表面若しくは外側水平表面の上空の空域、(進入表面等がない)飛行場周辺の、航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域です。(飛行するためには国土交通大臣による許可が必要です。)また、これに該当しない飛行場やヘリポートにおいては運航者が事前調査等を行い、離着陸や周辺空域での飛行が頻繁に行われている場合にあっては空中リスクの観点から空港等の周辺の空域と同様に扱う必要があります。

※3  都市部上空は、警備、報道、人員輸送(遊覧等)等のためヘリコプターや小型飛行機の交通量が多く、空中リスクがそれ以外の地域よりも高くなると考えられます。ここでは、どの都市がここでの「都市部」に該当するかを定量的に決めることはできないため、飛行するエリアにおける空中の交通量を運航者が調査し該当/非該当を判断するものとします。(定量的に決めることはできないものの、東京、大阪、名古屋等の大都市は該当するものと考えられます。)

付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す
「空中リスククラスの判定フローチャート図」のフローチャートを進めて行くと「ARC-b」にあてはまります。


 各空中リスククラス(ARC : Airspace Risk Class)の空域

  •  ARC-a: 有人航空機との遭遇率が非常に低いと考えられ、衝突リスクが「戦術的対策」を追加しなくても許容される空域です。
  •  ARC-b: 有人航空機に遭遇する可能性は低いが無視できない空域であり、「戦略的対策」によりリスクの大部分に対処することができます。
  •  ARC-c: 有人航空機に遭遇する可能性が高い空域ですが、「戦略的対策」によりある程度のリスクに対処することができます。
  •  ARC-d: 有人航空機との遭遇する可能性が高い空域であり、「戦略的対策」が利用できる可能性が非常に低い空域です。 

(2)「戦略的対策」を適用した空中リスククラスの低減(任意)

(1)で定性的に決定した空中リスククラスに対して、定量的な「戦略的対策」を適用することにより空中リスククラスを低減することができます。「戦略的対策」は、飛行前に有人航空機と遭遇する確率やリスクにさらされている時間を減らすことを目的とした対策や運用制限のことです。「戦略的対策」を適用した空中リスククラスの低減は必須ではなく任意です。
 a) 運航者が、他の空域使用者に頼ることなく管理できる運航上の自主的制限による空中リスククラス低減対策
この対策は、有人航空機が飛行する時間や具体的な場所を踏まえて合理的に検討し、有人航空機との遭遇確率が(1)で評価した空中リスククラスよりも低くなることを目指します。例えば、空港周辺であるが有人航空機が運用されていない時間帯に飛行を行うことや、有人航空機が飛行することが到底考えられない建物に沿った飛行等が考えられます。 (1)における定性評価では空港周辺の飛行や、高度150m以上の飛行は空中リスクが高いとされ空中リスククラスは「ARC-d」または「ARC-c」です。一方、日本の無人航空機の制度では、空港等の周辺の空域における飛行や150m以上の管制区や非管制区の飛行を行う場合には、航空局の空域を管轄する部署と運航の許可を得るための調整が必要とされています。この運航許可が行われる際には、有人航空機と利用空域や時間帯が重複していないかなどの確認が行われており、当該飛行における空中リスクは極小化されていると考えられることから空中リスククラスは「ARC-b」に低減することも可能です。

(3)「戦術的対策」による空中リスクの軽減及び要求レベル 「戦術的対策」は飛行する空域の安全目標を達成するために必要な空中衝突の残留リスク※1を軽減するために必要とされます。「戦術的対策」は目視内飛行における「視認して回避する」の手段をとるか、飛行する空域の安全目標を達成するために、「視認して回避する」手段の代替手段を提供するシステム(「検知して回避」するための衝突回避システム)を必要とする場合があります。「戦術的対策」によるリスクの軽減は以下のような方法が考えられます。
  • 無人航空機を目視内で飛行し有人航空機との衝突を回避する
  • 外部的な手段をとって有人航空機との衝突を回避する方法 航空管制等のシステムを利用して有人航空機との間隔を維持する方法です。
  • 衝突回避システムを利用した方法 無人航空機の機上や地上、あるいはその両方に存在する検知・回避システムを利用して有人航空機との衝突を回避する方法です。
「戦術的対策」は、これまでのステップで特定された空中リスククラスに応じて要求のレベル(低・中・高)が割り当てられます。
 ※1 「残留リスク」とは、(1)で定性的に判定した空中リスクに対して、(2)の「戦略的対策」を適用した後に残留する空中衝突リスクのことです。

 a) 目視内飛行(補助者あり目視外飛行を含む)における要求レベル 目視内飛行では、操縦者(補助者ありの目視外飛行では補助者)が無人航空機を目視範囲内に収めて飛行することで「視認して回避」することができるため、いずれの要求レベルも満たすことができます。 
一方で、補助者ありの目視外飛行では、追加の要件として、補助者による目視及び補助者から操縦者への回避の指示が十分機能することの検証が必要です。加えて、補助者の指示から操縦者の判断と動作に関わる時間は通信の遅延を加味しても15秒以内であることが必要です。 また、運航者は、目視内飛行における衝突(コンフリクト)を防止する体系的な計画(スキーム)を文書化する必要もあります。この計画では、有人航空機の検出方法や有人航空機のトラフィックを回避する際の意思決定の基準を定義する必要があります。操縦者が補助者による検出に依存する場合には、その言葉の使用方法についての説明も必要です。

 b) 目視外飛行における要求レベル 目視外飛行では、特定された空中リスククラスに対して表6に示す「戦術的対策」の性能要求レベルとその対策に対するロバスト性が必要になります。「戦術的対策」の性能要求レベルとロバスト性のレベルを満たすために必要な要件は付録5_戦術的対策の性能要件とロバスト性 で確認することが出来ます。


表6.「戦術的対策」のレベルとロバスト性の割り当て 
残留空中リスククラス 「戦術的対策」の性能要求レベル ロバスト性のレベル
ARC-d
ARC-c
ARC-b
ARC-a 要求なし 要求なし

空中衝突リスクの低減目標
 表1は、「戦術的対策」の性能要求レベルで達成することが要求される空中衝突リスクの低減目標値を示します。ここで示されるリスク値はリスクの程度を表すものであり、詳細は参考としているSORAで今後明確化されます。(現段階においてSORAでも明確にされていません。) 

表1.空中衝突リスクの低減目標値 
空中リスククラス「戦術的対策」の性能
要求レベル
空中衝突リスクの低減目標値
ARC-dリスク値≦0.1 
ARC-cリスク値≦0.33 
ARC-bリスク値≦0.66 
ARC-a性能要求なし低減目標のガイダンスは無いが、
航空局が必要と見なせば対策を
講じる必要がある。 

「戦術的対策」の定性的な基準 
表1の定量的な目標値を定性的な機能要件に変換する手段として、表2に「戦術的対策」の定性的な基準を示します。なお、表2は参考としているJARUS SORA Edition 2.0 Annex D Tactical Mitigation Collision Risk Assessment Edition 1.0 で要求されているレベルであり、「検知性能」の要求は国内で運用されていない機器やサービスが含まれています。したがって、現段階においては航空法に基づく機体の安全基準や許可・承認基準で必要とされる空中リスクに対する必要機器の装備や体制を構築することを以って対応することとします。「検知性能」については、今後の国内の技術発展等により表2の要求を満たすことを期待します。 

表2.「戦術的対策」の定性的な基準 

機能 「戦術的対策」の性能要求レベル
低(ARC-b) 中(ARC-c) 高 (ARC-d)
検知性能※1 DAAの計画では、検出範囲※2内の全航空機の約50%を検出できることを期待。(不具合がない場合の性能要件)運航者は、以下に代表されるような方法のうち、1つ以上に頼ることにより、運航者が飛行しようとするエリアにおけるトラフィックの大部分を認識すること。(以下は代表的な手段をあげているものであり、これを推奨している訳ではない。) ・(ウェブベースの)リアルチューン航空機追跡サービス ・低コストADS-B in /UAT/FRAM/Pilot Aware航空機トラッカー ・UTMダイナミックジオフェンシング※3の使用 ・航空無線通信の監視(スキャナーの使用など)※4 DAA の計画には運航者が検出範囲内の全航空機の約90%を検出できることを期待。これを達成するために、以下に代表されるシステムまたはサービスのうちの1つまたは組み合わせを用いる必要がある。(以下は代表的な手段をあげているものであり、これを推奨している訳ではない) ・地上型 DAA/RADAR ・FLARM ・パイロットアウェア ・ADS-B In/UAT In レシーバ※5 ・ATCセパレーションサービス※6 ・UTMサーベイランスサービス※3 ・UTM早期競合検出・解決サービス ・ATC及び他の空域利用者との積極的なコミュニケーション 運航者は、選択した検出ツール/方法の有効性についての評価を提供すること。 RTCA SC-228またはEUROCAE WG-105 を満たすシステムであること。 MOPS/MASPS(または類似のもの)を満たし、適用される要求事項に従って設置されていること。
意思決定 侵入してくるトラフィックを避けるために、どのツールや方法が適用されるかを説明する、文書化されたデコンフリクションスキームを持たなければならない。操縦者が補助者の検知に依存する場合、その表現方法についても説明しなければならない。 例:トラフィックが警戒境界線を越えていて、150m以下で飛行している場合、運航者は急降下を開始する。 トラフィックを監視している補助者は、「降下!降下!降下!」というフレーズを使う。等 低の全要件とそれに加えて、
 1.運航者は、リモートパイロットのタイムリーで適切な判断に影響を与える可能性のあるヒューマン/マシンのインタフェース的要因の評価を提供すること。
 2.運航者は、トラフィックのタイムリーな検出と回避のために利用するツールと方法の有効性の評価を提供すること。 ここでいうタイムリーとは、トラフィックの侵入を知らせてから5秒以内に操縦者が判断を下すことができるようにすることです。 運航者は、運航者が使用しようとするツールやサービスの故障率や有効性についての評価を提供すること。 
コマンド コマンド&コントロールリンク(以下「C2リンク」という。)全体の遅延、すなわち操縦者がコマンドを送信してから無人航空機がコマンドを開始するまでの時間が5秒を超えないこと。  C2リンク全体の遅延、すなわちリ操縦者がコマンドを送信してから無人航空機がコマンドを実行するまでの時間が3秒を超えないこと。 
実行 無人航空機は、最も近い樹木、建物、インフラより低い高度、または18m(AGL)以下まで降下することで十分と考えられる。 運航高度から安全な高度まで1分未満で降下できること。 
回避は垂直方向と水平方向の回避操作に依存することがあり、標準的な手順として定義されている。水平回避が適用される場合、無人航空機は対気速度、加速度、上昇・下降速度、旋回速度などの性能が十分であることを証明すること。最低限必要な性能は、以下の通り。
対気速度 >=50 kt(25.8m/s)以上 上昇/下降速度:>= 500ft /min (2.54m/s) 旋回速度:>= 3度/秒 
情報の更新 電子的な手段により、操縦者のトラフィック検出を支援する場合、判断基準をサポートする情報は侵入する航空機のデータ(位置、速度、高度、軌道など)の遅延と更新速度とともに提供されること。 3NM の閾値を想定した場合、5秒の更新速度と10 秒の遅延は適切と考えられる。  判断基準をサポートする遅延と更新速度の情報が操縦者に提供されていること。運航者は、そのエリアでの合理的に予想される交通量、交通情報の更新速度と遅延、C2リンクの遅延、航空機の操縦性と性能を考慮して悪化した閉鎖率の評価を行い、それに応じて検出閾値を設定すること。 以下に推奨される最低基準を示す。 侵入者と自機のベクトルデータ更新レート<=3 秒 
※1 検知は、回避操作が効果的であるために十分な精度で行われる必要があります。
※2 検出範囲とは、有人航空機との衝突を回避するために必要な(必要であれば十分な視界を保つ)空域の容積(時間的または空間的測定値)です。DAAシステムが全てのDAA機能を発揮するためには、有人航空機を検知しなければならない最後の地点であると考えられます。検出範囲は、センサーの視野とは関係ありません。検出範囲の大きさは、遭遇する可能性のあるトラフィックの悪化した閉鎖速度、操縦者が回避操作をコマンドするのに必要な時間、システムが応答するのに必要な時間及び無人航空機の操縦性と性能に依存します。検出範囲は警報閾値よりも大きくなります。
※3 UTM/U-space 環境における無人航空機の自動交通管制システムの将来的な適用を想定したものです。
※4 当局が許可した場合に使用できます。無線免許または許可証が必要です。
※5 トラフィックの電子的検知を支援するシステムの選定は、そのエリアを飛行する大多数の航空機の平均的な装備を考慮して行われます。例えば、グライダーの飛行が多い地域ではFLARM等の使用を検討すべきですが、大型の民間航空機の飛行が多い地域でありADSB-INがより適切であると考えられます。
※6 トラフィックの電子的検知を支援するシステムの選定は、飛行する空域で運航されている航空機の大多数の平均的な装備を考慮して行う必要があります。 

付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す
「空中リスククラスの判定フローチャート図」のチャートに従い空中リスククラスを判定します。運航諸元に当てはめてチャートを進めると「ARC-b」に該当します。 

(2)「戦略的対策」を適用した空中リスククラスの低減(任意) 
<適用した対策の説明> 飛行エリアは、150m未満の空域であるが、民間訓練空域(TH-12)内であるため、空域を管轄する航空局の部署と地調整を行い、当該訓練空域において航空機の飛行が予定されている時間帯は飛行を実施しない。当該スキームは飛行マニュアル第XX項に示す。 残留空中リスククラス: ARC-b(戦術的対策は実施したが、占有空域とはならないためARC-bのままとなる。) 

(3)「戦術的対策」による空中リスクの軽減及び要求レベル 
目視外飛行の場合 「戦術的対策」の性能要求レベル: 低
ロバスト性のレベル: 低 安全性の水準: 低 保証の水準: 低 
機能要件
① 検知性能 使用する機体には、飛行経路周辺の他の航空機等を監視するためのカメラが装備されており、当該カメラを用いてクルーによる監視を行う。また、補助的使用ではあるが、RTFでは民間の有人機の動態管理システムに加入しているため、当該システムに加入している有人機の動きをモニターできる。
② 意思決定 飛行エリアへ進入する航空機の監視は、機体に装備されているカメラにより監視を行う。当該カメラを使用し衝突回避を行うために必要なスキームを設定する。当該スキームは飛行マニュアル第XX項に示す。 
③ コマンド 使用する機体のC2リンクの全体の遅延は5秒を超えない。5秒を超えないことは、製造者が作成している飛行規程に記載されている。
④ 実行 飛行エリア内に航空機の進入が確認された場合は、回避操作として対地高度18m以下まで20秒未満で降下する。当該スキームは飛行マニュアル第XX項に示す。
⑤ 情報の更新 機体に搭載されたカメラ映像の転送遅延は1秒以内であることが製造者により保証されている。 

Step#4  運航に関わる安全目標の確認

ここまでのステップを通して、計画する無人航空機の運航に関わる地上及び空中リスクを特定してきました。本項では、これまで特定してきた地上及び空中リスクに基づき、当該運航に推奨される安全目標(OSO)の安全性と保証のレベル(SAIL)を決定します。 


(1)安全性と保障のレベル
(SAIL)の決定 特定された地上リスククラス及び空中リスククラスを用いて、表7を用いて安全性と保障のレベル(SAIL)を決定します。
 表7.SAILの決定
残留する空中リスククラス
調整後の地上
リスククラス
ARC-a ARC-b  ARC-c ARC-d
≦2 Ⅰ  Ⅱ 
Ⅱ  Ⅱ 
Ⅲ  Ⅲ 
Ⅳ  Ⅳ 
Ⅴ  Ⅴ  Ⅴ 
>7 本リスク評価対象外 

付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す
調整後の地上リスククラス「
残留する空中リスククラス「ARC-b
上記、表の交点の「」がSAILになります。

2)運航に係わる安全目標(OSO)とSAIL毎に求められるロバスト性の決定   
  (1)で決定されたSAILに基づき、当該運航に係わる安全目標に対するロバスト性を表8により決定します。 



表8.運航に係わる安全目標とSAIL毎に求められるロバスト性 
OSO番号 運航に係わる安全目標 SAIL
ロバスト性
技術的な問題
OSO#01 運航者が十分な能力を持っていること
かつ/または証明されていること 
任意
OSO#02 無人航空機システムは十分な能力を持っている かつ/または 実績のある法人によって製造されたていること  任意 任意
OSO#03 無人航空機システムは十分な能力を持っている かつ/または 実績のある法人によって維持されること 
OSO#04 無人航空機システムは、航空局が認めた設計基準に合わせて開発されていること  任意 任意 任意
OSO#05 無人航空機システムはシステムの安全性と信頼性を考慮して設計されていること  任意 任意
OSO#06 C3リンクの特性 (例えば、性能、スペクトルの使用) が運航に適していること  任意
OSO#07 CONOPS との一貫性を確保するための
無人航空機システム の検査
 (製品検査)がされていること 
OSO#08 運航手順が定義され、検証され、
遵守されていること(無人航空機システムの
技術的な問題に対処するため) 
OSO#09 リモートクルーは訓練を受けた現役で、
異常および緊急事態(つまり、無人航空機システム
 の技術的な問題)を制御できること 
OSO#10 技術的な問題から安全な復旧ができること 
外部システムの機能低下
OSO#11 無人航空機システムの運航をサポートする
外部システムの劣化への対処手順が
整備されていること 
OSO#12 無人航空機システムは、無人航空機システム
 の運用をサポートする外部システムの劣化を
管理するように設計されていること
OSO#13 外部サービスによってサポートされる
無人航空機システム が運航に適合していること 
ヒューマン・エラー
OSO#14 運航手順が定義され、検証され、
遵守されていること 
OSO#15 リモートクルーは訓練を受けた現役で、
異常および緊急事態 を制御できること 
OSO#16 リモートクルー同士が連携していること 
OSO#17 リモートクルーは運航に適していること 
OSO#18 ヒューマン・エラーに対して飛行
エンベロープの自動保護機能があること 
任意 任意
OSO#19 ヒューマン・エラーからの
安全な回復ができること 
任意 任意
OSO#20 ヒューマンファクターが評価されており、
ミッションに対して適切な
ヒューマンマシンインターファイス(HMI)
が確立されていること 
任意
不利な運航条件
OSO#21 運航手順が定義され、検証され、
遵守されていること 
OSO#22 リモートクルーは、重大な環境条件を特定し、
それを回避するように訓練されていること 
OSO#23 安全な運用のための環境条件が定義され、
測定可能であり、遵守されていること 
OSO#24 無人航空機システムは悪条件下に
対応できるように設計されていること 
任意 任意

(3)ロバスト性を達成するために求められる「安全性の水準」と「保証の水準」 (2)で決定された運航に係わる安全目標(OSO)に対するロバスト性を達成するために必要とされる「安全性の水準」と「保証の水準」を付録6「運航に係わる安全目標に対する安全性の水準と保証の水準」に示します。運航者は、実施する運航が必要とされるロバスト性を満たしていることを確認し示さなければなりません。
※ ※OSO#02、#04、#05、#10、#12、#18、#20 及び#24 は、無人航空機の設計や製造で対処する対策であり運航者が対応することは困難だと考えられます。日本では、カテゴリーに応じた機体の認証制度(型式認証/機体認証)または飛行の許可・承認制度における機体の要件により機体の安全性を担保していることから、その担保されている範囲内で、これらを満たすことにより当該OSOを満たしていると考えることも可能です。 

各安全確保措置に対するロバスト性を達成するための「安全性の水準」と「保証の水準」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
OSO#01-運航者が十分な能力を持っていることかつ/または証明されていること
表1.OSO#01 安全性の水準
無人航空機システムの技術的な事項 安全性の水準
OSO #01 基準 運航者は、使用されている無人航空機システム について知識があり、少なくとも次の関連する操作手順を持っていること: チェックリスト、メンテナンス、トレーニング、責任、および関連する義務。 「低」に加えて、運航者は、意図する事業に適した組織を有していること。 また、運航者は、飛行運用に関連するリスクを特定、評価、および軽減する方法を持っていること。 これらは、指定された運航の性質と範囲と一致している必要がある。 「中」と同じ
備考 なし この評価の目的上、適切とは、組織の規模と業務の複雑さに見合った/比例したものであると解釈する。 なし

表2.OSO#01 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #01基準運航者は、使用されている無人航空機システム について知識があり、少なくとも次の関連する操作手順を持っていること: チェックリスト、メンテナンス、トレーニング、責任、および関連する義務。「低」に加えて、運航者は、意図する事業に適した組織を有していること。 また、運航者は、飛行運用に関連するリスクを特定、評価、および軽減する方法を持っていること。 これらは、指定された運航の性質と範囲と一致している必要がある。「中」と同じ
備考なしこの評価の目的上、適切とは、組織の規模と業務の複雑さに見合った/比例したものであると解釈する。なし

OSO#02-無人航空機システムは十分な能力を持っている かつ/または 実績のある法人によって製造されていること
表3.OSO#02 安全性の水準 
無人航空機システムの技術的な事項安全性の水準
OSO #02基準最低でも、製造手順は以下をカバーすること。
  • 材料の仕様 
  • 使用される材料の適合性と耐久性
  • 製造における再現性と許容範囲内での適合を可能にするために必要なプロセス 
「低」に加えて、製造手順には以下も含まれること。
  • 形態管理
  • 入荷した製品、部品、材料、および機器の検証 
  • 識別とトレーサビリティ 
  • 工程内および最終検査とテスト
  • ツールの管理と校正
  • 取り扱いと保管
  • 不適合品の管理 
「中」に加えて、製造手順は少なくとも以下をカバーすること。
  • 製造プロセス
  • 人員の能力と資格 
  • サプライヤー管理 
備考なしなしなし

表4.OSO#02 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #02基準宣言された製造手順は、航空局によって適切と見なされる基準、および/または航空局が受け入れられる準拠手段に従って作成されること。 「低」に加えて、無人航空機システム がその設計に準拠して製造されたというエビデンスが入手可能であること。 「中」に加えて、
  • 製造手順
  • 無人航空機システム の設計および仕様への適合性
 は、十分に能力のある第三者によるプロセスまたは製品の監査を通じて繰り返し検証されること。 
備考航空局は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。 本付録 は、航空局から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 なしなし

OSO#03-無人航空機システムは十分な能力を持っている かつ/または 実績のある法人によって維持されること 
注:整備プログラムは、製造者が無人航空機の整備マニュアル等において要求している整備内容と考えることも可能です。
表5.OSO#03 安全性の水準 
無人航空機システムの技術的な事項安全性の水準
OSO #03基準
  • 整備手順が定義されており、適用できる場合は、設計者の手順と要件をカバーすること。
  • 整備を担当する者は十分な能力を持っており、整備を実行する権限を取得していること。
  • 整備を担当する者は、整備手順書を使用すること。 
「低」に加えて、次のことを行うこと。
  • 定期整備は、組織化され、整備プログラムに従っていること。
  • リリースを含む実施されたすべての整備は完了後、記録されること。 整備のリリースは、その特定の 無人航空機システムの 整備リリース権限を持つ担当者のみが行うことができる。
「中」に加えて、整備を担当する者は、整備に使用する設備、記録、指示、リリース、ツール、材料、コンポーネント、欠陥の延期*1に関連する情報と手順を提供する整備手順書に従って作業すること。 
備考なしなし*1 飛行運用に許可された要件の範囲内であると評価されている無人航空機の欠陥を意味し、その欠陥に対する修正措置は、指定された期限内に整備の能力を有する者により実施されること。 

表4.OSO#03 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #03基準#1
(手順)
  • 整備手順が文書化されていること。
  • 実施された整備は、整備記録 *1, *2 として記録されること。
  • 整備を実施することが認められている担当者のリストが作成され、最新の状態に保たれること。  
「低」に加えて、
  • 整備プログラムは、航空局が適切と考える基準に従って、および/または航空局が受け入れられる準拠手段に従って作成されること。*3
  • 整備リリースの権限を持つ整備担当者のリストが作成され、最新の状態に保たれること。 
「中」に加えて、整備プログラムと整備手順書は、十分能力のある第三者によって検証されていること。  
備考*1  目的は、無人航空機システムで実施されたすべての整備と、それが実施された理由(欠陥または誤動作の修正、変更、予定された整備など)を記録することである。 *2  整備記録は、承認機関または検査/監査のために要求される場合がある。 *3 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。 本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 なし

基準#2
(訓練)
整備担当者が所持している関連する資格、経験、および/または完了している訓練の記録が確立され、最新の状態に保たれること。 
「低」に加えて、
  • 理論的/実践的要素、期間などを含む最初の訓練シラバスと訓練標準が定義され、整備担当者が保持する権限に対応すること。
  • 整備リリースの権限を保持している担当者の場合、最初の訓練はその特定の 無人航空機システム に固有のものです。
  • すべての整備担当者は初期訓練を受けること。 
「中」に加えて、
  • 整備リリースの権限を保持しているスタッフの定期的な訓練プログラムが確立されていること。
  • このプログラムは、十分能力を持つ有能な第三者によって検証されていること。   
備考なし なし なし

OSO#04-無人航空機システムは、航空局が認めた設計基準に合わせて開発されていること  表7.OSO#04 安全性の水準 
無人航空機システムの技術的な事項安全性の水準
OSO #04基準
無人航空機システムは、航空局によって適切と見なされる基準に合わせて、および/または航空局に受け入れられる準拠手段に従って設計されること。 標準および/または準拠の手段は、低レベルの「安全性の水準」および意図された運航に適用される。
無人航空機システム は、航空局によって適切と見なされる基準に合わせて、および/または航空局に受け入れられる準拠手段に従って設計されること。 標準および/または準拠の手段は、中レベルの「安全性の水準」と意図された運航に適用される。 無人航空機システム は、航空局によって適切と見なされる基準に合わせて、および/または航空局に受け入れられる準拠手段に従って設計されること。 標準および/または準拠の手段は、高レベルの「安全性の水準」と意図された操作に適用される。 
備考なし

表8.OSO#04 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #04基準9 項で定義された基準を考慮すること 
備考なし なし なし 

OSO#05-無人航空機システムはシステムの安全性と信頼性を考慮して設計されていること
  • 逸脱防止の安全要件は本文で定義されています。
  • 人口密集地域または人の集まりでの操作中に死亡するリスクについては、OSO #10 および OSO #12 が対応しています。 
表9.OSO#05 安全性の水準 
無人航空機システムの技術的な事項安全性の水準
OSO #05基準無人航空機システム に発生しうる*1機能不全または故障が発生した場合のハザード *2を最小限に抑えるように機器、システム、および設備が設計されていること。「低」に加えて、ハザードにつながる誤動作、故障、またはそれらの組み合わせを検出、警告、および管理するための戦略的手法が利用可能であること。 「中」に加えて、次のことが行われていること。
  • 重大な障害状態は、“起こりそうにない(Remote)” *3 の頻度より低い。
  • 危険な障害状態は、“非常に起こりそうにない(Extremely Remote)”*3 の頻度より低い。
  • 壊滅的な障害状態は、“非常にありそうにない(Extremely Improbable)”*3 の頻度より低い。
  • ソフトウェア (SW) および搭載電子ハードウェア (AEH) であり、その開発エラーが危険または壊滅的な障害状態を引き起こしたり助長したりする可能性があるものは、航空局によって適切と見なされる業界標準または方法論に合わせて、および/または航空局に受け入れられる準拠手段*4に従って開発されること 
備考*1 この評価の目的上、「発生しうる」という用語は、「無人航空機システム の全システム/運用期間中に 1 回以上発生すると予想される」という定性的な方法で解釈するべきである。
*2 この評価の目的上、「ハザード」という用語は、重大、危険、または壊滅的な障害状態として解釈するべきである。 
なし*3 安全目標は、無人航空機システムのクラスに応じて、JARUS AMC RPAS.1309 Issue 2 表 3、または航空局が認める同等のリスクベースの方法論から導き出すことができる。
*4 SW/AEH の開発保証レベル (DAL) は、無人航空機システムのクラスに応じて、JARUS AMC RPAS.1309 Issue 2 表 3、または管轄当局が認める同等のリスクベースの方法論から導き出すことができる。 

表10.OSO#05 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #05基準機能ハザード評価(FHA)*1 と、ハザードが最小限に抑えられていることを示す設計と機器搭載の評価がされていること。 「低」に加えて、
  • 安全性分析は、航空局が適切と考える基準に沿って、および/または航空局が受け入れられる準拠手段に従って実施されること。
  • 懸念される単一障害を検出するための戦略的方法には、プリフライト チェックが含まれる。 
「中」に加えて、安全分析と開発保証活動は、十分な能力を持つ第三者によって検証されること。 
備考*1 故障状態の重大度 (安全への影響なし、マイナー、メジャー、ハザード、壊滅的) は、JARUS AMC RPAS.1309 Issue 2 で提供されている定義に従って決定する必要がある。 なしなし

OSO#06- C3 リンクの特性 (例えば、性能、スペクトルの使用) が運航に適していること
 (a) 本ガイドライン及びこのOSO において、「C3 リンク」という用語には以下が含まれます。
  • コマンドアンドコントロール(C2)リンク及び
  • 飛行安全のために必要なあらゆる通信リンク
 (b) この OSO の安全性の水準を正しく評価するために、運航者は以下を特定する必要があります。
  • 意図した操作に必要なC3リンクの性能要件
  • すべての C3 リンクと、それらの実際の性能および無線周波数 (RF) スペクトルの使用状況 注: C2 リンクの性能と RF スペクトルの仕様は、通常、無人航空機システム マニュアルで 無人航空機システム 設計者によって文書化されています。
     注: C2 リンク 性能 (RLP) に関連する主なパラメーターと、他の通信リンクの性能パラメーター (ATC との通信用の RCP など) には、以下が含まれますが、これらに限定されません。
    ・有効期限 ・可用性 ・継続性 ・完全性
  • 意図した運航のための RF スペクトル使用要件 (必要に応じて承認の必要性を含む)。 注: 通常、各国は、その地域で適用可能な RF スペクトル バンドの割り当てを公開しています。この割り当ては、主に国際通信連合 (ITU) の無線規則に基づいています。ただし、運航者は地域の要件を確認し、必要に応じて承認を要求する必要があります。これは、国によって違いや特定の割り当てが存在する可能性があるためです (ITU 割り当ての全国的な細分など)。一部の航空帯域 (AM(R)S、AMS(R)S 5030-5091MHz など) は、CAT. C (「認証済み」) ですが、その使用は特定のカテゴリの下での運航に対して許可される場合があります。他のライセンスされた帯域 (モバイル ネットワークに割り当てられた帯域など) の使用も、特定のカテゴリの下で許可される可能性があると予想されます。一部の認可されていない帯域 (ISM (産業、科学、医療) または SRD (短距離デバイス) など) も、特定のカテゴリの下で許容される場合があります。
  • C3 リンクの性能に影響を与える可能性のある環境条件 
表11.OSO#06 安全性の水準 
無人航空機システムの技術的な事項安全性の水準
OSO #06基準 運航者は、C3 リンクの性能、RF スペクトルの使用法*1、および環境条件が、意図した運航を安全に行うのに十分であると判断すること。  操縦者には、C3 の性能を継続的に監視する手段があり、性能が引き続き運用要件を満たしていることを確認すること*2。 「低」と同じ*3 「低」に加えて、C2 リンク のために認可された*4 周波数帯域の使用が必要である。 
備考*1 低レベルの安全性の水準では、免許の必要がない周波数帯域は、特定の条件下で許容される場合がある。例えば、  運航者は、無人航空機システムの 機器がこれらの要件に準拠していることを示すことにより、他の RF スペクトル使用要件への準拠を実証すること(技適マークの確認など)、および  干渉から保護するためのメカニズムの使用 (例: FHSS、手順による周波数衝突解消)。 *2 操縦者は、飛行の安全に影響を与える可能性のある関連する C3 情報に継続的かつタイムリーにアクセスすること。 この OSO に対して低レベルの安全性の水準のみを要求する運航の場合、これは、C2 リンク信号強度を監視し、信号が低すぎる場合に 操縦装置等にアラートを表示することによって達成できる。 *3 運航によっては、認可された周波数帯の使用が必要になる場合がある。 場合によっては、航空以外の帯域 (セルラー ネットワーク用に認可された帯域など) の使用が許容される場合もある。 *4 これにより、最低レベルの性能が保証されますが、航空認可の周波数帯域 (セルラー ネットワーク用の認可帯域など) に限定されない。 ただし、運用によっては、C2 リンクを使用するために航空移動サービスに割り当てられた帯域 (5030 ~ 5091 MHz など) を使用する必要がある。 いずれにせよ、認可された周波数帯域の使用には許可が必要である。 

表12.OSO#06 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #06基準9項 で定義されている「保証の水準」を考慮すること (低レベルの保証) C3 リンク性能の実証は、管轄当局によって適切と見なされる基準に従っている、および/またはその当局が受け入れられる準拠手段に従っている。 「中」に加えて、エビデンスは十分な能力を持った第三者によって検証されること。 
備考なし航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 なし

OSO#07-CONOPS との一貫性を確保するための無人航空機システム の検査 (製品検査)がされていること
(a) この OSO の意図は、運航に使用される無人航空機システムが、運航の許可承認をサポートするために使用される無人航空機システムの データに準拠していることを保証することです。
表13.OSO#07 安全性の水準 
無人航空機システムの技術的な事項安全性の水準
OSO #07基準リモートクルーは、無人航空機システムが安全に運用できる状態にあり、承認された運用コンセプトに準拠していること。*1 
備考*1 この基準に対するロバスト性の「低」、「中」、「高」レベルの区別は、「保証の水準」によって達成される (表14を参照のこと)。 

表14.OSO#07 保証の水準 
無人航空機システムの技術的な事項保証の水準
OSO #07基準#1
(手順)
製品検査は文書化され、可能な場合はメーカーの推奨事項を考慮すること。 
「低」に加えて、製品検査はチェックリストを使用して文書化されること。 「中」に加えて、製品検査は十分な能力を持つ第三者によって検証されること。 
備考なしなしなし
基準#2
(訓練)
リモート クルーは製品検査を実行するように訓練されており、その訓練は自己宣言されていること (エビデンスが入手可能であること)。 
  • 製品検査手順を含む訓練シラバスが用意されていること。
  • 備考 なし 運航者は、能力に基づいた理論的および実践的な訓練を提供すること。 
十分な能力を持つ第三者によって、
  • 訓練シラバスを検証すること。
  • リモート クルーの能力を検証すること。 
備考なし なし なし

運用手順に関係するOSO
OSO #08 - 運用手順が定義され、検証され、遵守されていること(無人航空機システムの技術的な問題に対処するため)
OSO #11 – 無人航空機システムの運用をサポートする外部システムの劣化への対処手順が整備されていること
OSO #14 - 運用手順が定義され、検証され、遵守されていること(ヒューマンエラーに対処するため)
OSO #21 - 運用手順が定義され、検証され、遵守されていること(不利な運用条件に対処するため)

表15.OSO#08、#11、#14、#21 安全性の水準 
運航手順安全性の水準
OSO #08
OSO #11
OSO #14
OSO #21
基準#1
(手順の明確化) 
  • 提案された運航に適した運用手順*1が定義されており、最低限以下の要素をカバーしていること。
    ○飛行計画
    ○飛行前及び飛行後の点検
    ○飛行計画、飛行前後の点検、飛行前及び飛行中の環境状態を評価するための手順(リアルタイム評価)
    ○予期せぬ悪条件に対処するための手順(例:着氷状況を想定していない運航中に着氷に遭遇した場合)
    ○通常の手順 ○コンティンジェンシー手順(異常事態に対処するための手順)
    ○緊急時対応手順(緊急事態に対応するための手順)、および
    ○発生時の報告手順
  • 通常時、緊急時、非常時の手順は運用マニュアルに記載されていること。
  • 無人航空機システム の運用を支援する外部システムの制限事項*2は、運用マニュアルに記載されていること。 
備考*1  運用手順は、無人航空機本体及び運用を支援する外部システムの劣化*3を対象とする。
*2  本評価では、無人航空機システムの運用を支援する外部システムとは、無人航空機システムの一部ではなく、以下の目的で使用されるシステムと定義する。 ・無人航空機の発進/離陸。
  • 飛行前点検 
  • 無人航空機をその運用範囲内に維持するためのシステム(例:GNSS、衛星システム、航空交通管理、UTMなど)。 運用の制御が不能になった後に起動
  • 使用される外部システムは定義から除外される。
*3  運用に必要な外部システムの劣化に適切に対応するため、以下を推奨する。
  • 「外部システム」の特定
  • 運用の制御不能につながる「外部システム」の劣化モード(GNSS の完全喪失、GNSS のドリフト、遅延問題など)を特定すること。
  • 外部システム/設備の劣化モードを検出する手段を記述すること。
  • 劣化が検出された場合の手順(緊急復旧能力の起動、手動制御への切り替え等)を記述すること。 
基準#2
(手順の複雑さ) 
運航手順が複雑で、乗務員の対応能力を低下させる可能性がある。
 遠隔地の乗組員の作業負荷、および/または、他の法人、機関(例えば、ATM等)との相互作用。  
無人航空機が通常時自動操縦されている場合、異常/緊急手順は遠隔操作(手動)*2が必要である。運用手順は単純である。  
備考なし*2 すべての無人航空機システムに直接操縦できるモードがあるわけではないため、まだ議論中である。 なし
基準#3
(潜在的な
ヒューマン
エラーへ
の配慮) 
最低限、下記の業務手順が定められていること
  • 明確な業務の分配と割り当て
  • スタッフが割り当てられた業務を適切に遂行していることを確認するための社内チェックリスト  
業務手順はヒューマンエラーに配慮していること。
「中」に加えて、リモートクルー*3はクルーリソースマネージメント(CRM)*4の訓練を受けていること。  
備考なし なし *3 本付録では、「リモートクルー」という用語は、ミッションに関わる全ての人を指す。 *4 CRM訓練は、安全で効率的な運航を保証するために、すべてのリモートクルーを効果的に使用することに焦点を当て、エラーを減らし、ストレスを避け、効率を高めるものである。 

表16.OSO#08、#11、#14、#21保証の水準
運航手順保証の水準
OSO #08
OSO #11
OSO #14
OSO #21
基準#1
(手順)
  •  業務手順が、航空局が適切と考える基準や準拠手段に対する妥当性確認を必要としない。
  •  緊急時対応手順を除き、運用手順の妥当性を表明していること。 
  • 運用手順が、航空局が適切と考える規格および/または航空局が受け入れられる準拠手段に照らして妥当性が確認されていること。*1
  • 緊急時・非常時対応手順が以下のような手段を通して適切であることが証明されている。
     〇専用飛行試験、または、
     〇シミュレーションが意図された目的に対して有効であり、かつ肯定的な結果をもたらすことが証明されているシミュレーション 
「中」と同じ。 それに加えて、
  • 手順書やチェックリストの検証のために行われた飛行試験が、飛行範囲を完全にカバーしているか、保守的であることが証明されていること。
  • 手順書、チェックリスト、飛行試験、シミュレーションが、十分な能力のある第三者によって検証されていること。  
備考なし*1  航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 

4.リモートクルーの訓練に関係するOSO
OSO #09 - リモートクルーは訓練を受けた現役で異常および緊急事態(つまり、無人航空機システム の技術的な問題)を制御できること
OSO #15 -  リモートクルーは訓練を受けた現役で異常および緊急事態 (つまり、ヒューマン エラー) を制御できること
OSO #22 -リモートクルーは、重大な環境条件を特定し、それを回避するように訓練されていること
(a) 運航者は、コンピテンシー(能力)に基づく理論的および実践的なトレーニングを提案する必要があります。それは、
  • 承認される操作に適していること、および
  • 習熟度の要件とトレーニングの繰り返しを含みます。
(b) リモートクルー全体 (つまり、操作に関与するすべての人) は、能力に基づいた、彼らの職務に特化した理論的および実践的なトレーニングを受ける必要があります (例: 飛行前検査、地上機器の取り扱い、気象条件の評価など)。

表17.OSO#09、#15、#22 安全性の水準 
リモートクルーの能力(訓練) 安全性の水準
OSO #09
OSO #15
OSO #22
基準資格に基づいた理論的および実践的なトレーニングにより、次の知識が保証される。 a) 無人航空機システムの規制 b) 無人航空機システムの飛行オペレーション原理 c) 飛行機を飛行させる間のスキルと飛行安全 d) 人間のパフォーマンスの限界 e) 気象学 f)  航法/地図判読能力 g) 無人航空機の知識 h) 操作手順 およびオペレーションのための適切性*1,*2 
備考*1 JARUS WG1(2019)によって、上記のさまざまな科目についてカバーされる範囲の詳細が提供される。 *2 この基準のロバスト性における「低」・「中」・「高」の間の差異は、「保証の水準」によって決定づけられる(表18を参照のこと。)。 

表18.OSO#09、#15、#22 保証の水準 
リモートクルーの能力(訓練) 保証の水準
OSO #09
OSO #15
OSO #22
基準訓練されていることを自己宣言する(エビデンスを提供可能であること)  
  • 訓練シラバスを提供可能であること
  • 運航者は、能力に基づいた理論的及び実践的な訓練を提供すること。 
十分な能力を持つ第三者によって、
  • 訓練シラバスが確認されていること。
  • リモートクルーの能力が評価されていること。
備考なしなしなし

安全設計に関係するOSO
OSO #10 -技術的な問題から安全に復旧できること
OSO #12 -  無人航空機システム は、無人航空機システム の運用をサポートする外部システムの劣化を管理するように設計されていること
 (a) OSO#10 と OSO#12 の目的は、人口の多い地域や人の集まりでの操作中に死亡するリスクに対処することによって、技術的な逸脱防止の安全要件を補完することです。
 (b) この評価の範囲では、無人航空機システム の運用をサポートする外部システムは、まだ 無人航空機システム の一部ではないが、次の目的で使用されるシステムとして定義されます。
  • 無人航空機システムの離陸/離陸、
  • 飛行前チェックの実施
  • 無人航空機 を運用空間内(例: GNSS、衛星システム、航空交通管理、UTM)に維持
操作の制御が失われた後にアクティブ化/使用される外部システムは、この定義から除外されます。 
表19.OSO#10、OSO#12 安全性の水準
安全設計安全性の水準
OSO #10
OSO #12
基準人口の多い地域や人が集まっている場所で運用する場合、無人航空機システムや運用をサポートする外部システムの起こり得る*1故障*2による死亡事故は発生しないと合理的に予想できること。 人口密集地や人が集まる場所で運用する場合無人航空機システムまたは操作をサポートする外部システムの単一故障*3によって死亡事故が発生しないことは、合理的に期待できること。 開発エラーにより、致命的な事態が発生することが合理的に予想され、操作に影響を与える障害に直接つながる可能性があるソフトウェアおよび航空機用電子ハードウェアは、航空局によって適切と見なされる標準に合せて、および/または航空局が受け入れられる準拠手段に従って開発されること。*4 「中」と同じ
備考*1 この評価の目的上、「起こり得る」という用語は、「無人航空機システム の全システム/運用期間中に 1 回以上発生すると予想される」という定性的な方法で解釈する必要がある。 *2 一部の構造的または機械的な故障は除外される場合がある。 これらの機械部品が航空の最良の方法に合わせて設計されていることを示すことができれば、基準から除外される。 *3 一部の構造的または機械的な故障は、これらの機械部品が所管官庁によって適切と見なされる基準に合わせて設計されていることが示される場合、単一故障の基準から除外される場合がある。 *4 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  この本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。なし

表20.OSO#10、OSO#12保証の水準
安全設計保証の水準
OSO #10
OSO #12
基準設計とインストールの評価が可能である。特に、この評価では次のことを示すこと。 ・設計及びインストールの特徴(独立性、分離及び冗長性)が、“低”の「安全性の水準」を満たしていること。 ・CONOPSに関連する特定のリスク(雹、氷、雪、電磁干渉)によって、独立性を侵害しないこと。 「低」に加えて、主張する「安全性の水準」は、エビデンスを伴う解析および/または試験データにより実証されていること。 中」に加えて、十分に能力のある第三者によって安全性の水準が検証されていること。
備考なしなしなし

無人航空機システムを支える外部システムの劣化
OSO #13 - 外部サービスによってサポートされる無人航空機システム が運用に適合していること  本ガイドラインおよびこの特定のOSOの目的上、「無人航空機システムを支える外部システム」という用語  は、飛行の安全に必要なサービスプロバイダを包含します。
 ・通信サービスプロバイダ(CSP)、
 ・UTMサービスプロバイダ等
表21.OSO#13 安全性の水準
無人航空機システムを支える外部システムの劣化 安全性の水準
OSO #13基準運航者は、安全なフライトに必要な外部から提供されるサービスのパフォーマンスレベルが、意図した運航に適切であることを証明すること。外部から提供されるサービスが運航者とサービス提供者との間の通信を必要とする場合、運航者は、サービス提供をサポートするための有効な通信が確保されていることを確認すること。運航者と外部サービスプロバイダの間の役割と責任を定義すること。 
備考なし なし 
サービス提供者とサービスを契約するための要件事項は、ICAOの基準や推奨慣行 - SARPS(現在開発中)によって追加される場合がある。 

表22.OSO#13 保証の水準
無人航空機システムを支える外部システムの劣化 保証の水準
OSO #13
基準運航者、当該飛行の安全のために必要な外部から提供されたサービスについて、要求されたパフォーマンスレベルに達していることを宣言すること (エビデンスが必ずしも必要でない) 。 飛行の安全に必要な外部から提供されるサービスについて、必要なレベルの性能がミッションの全期間にわたって達成され得るということの裏付けとなるエビデンスを、運航者が示していること。 これには、サービスレベル契約(SLA)、またはサービスの提供内容(品質、可用性、責任を含む)に関して、サービスプロバイダと運航者の間で交わされた公式の契約の形をとる場合がある。
運航者は、フライトシステムに対してクリティカルな影響を与える外部事業者が提供するサービスを監視し、リアルタイムのパフォーマンスが運用の制御の喪失につながる可能性がある場合は、適切な措置を講じる手段を有するべきである。 
「中」と同じ。 それに加えて、  個別対応 外部から提供されたサービスパフォーマンスのエビデンスは、デモンストレーションを通じて証明されていること。  十分な能力のある第三者によって、要求された「安全性の水準」を検証されていること。 
備考なしなしなし

ヒューマンエラー OSO #16
(a) このOSOは運航に直接関与する人員にのみ適用されます。 

表23.OSO#16 安全性の水準 
ヒューマンエラー 安全性の水準
OSO #16基準#1
(手順) 
クルーと強固で効果的なコミュニケーションチャンネルとの間における調整を確実にするための手順が利用可能であり、最小限以下をカバーしていること。
 ・クルーへのタスクの割り当て
 ・段階的なコミュニケーションの確立*1 
備考*1 この条件の安全性の水準の「低」、「中」、「高」レベルの差は、「保証の水準」によって実現される。 
基準#2
(訓練) 
リモートクルーの訓練はマルチクルーコーディネーションをカバーしていること。  「低」と同じ。 それに加えて、リモートクルー*2はクルーリソースマネージメント(CRM)*3の訓練を受講すること。 「中」と同じ   
備考なし*2 「リモートクルー」とはミッションに関与する全ての人を指す。
*3 CRM訓練は全てのリモートクルーを効果的に使用し、安全で効率的な運用の保証、エラーの低減、ストレスを回避し効率を高めることに重点を置いている。 
なし
基準#3
(通信デバイス)
なし 通信デバイスは、航空局によって適切であるとみなされている標準に適合するかまたは航空局が受け入れられる準拠手段に従っている。*4 通信デバイスは冗長性*5を有しており、航空局によって適切と見なされている標準に適合しているかまたは航空局*6が受け入れられる準拠手段に従っている。 
備考なし *4 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録 は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 *5 これは一つ目のデバイスが故障した場合に対処するため、追加デバイスを提供することを意味している。
 *6 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 

表24.OSO#16 保証の水準 
ヒューマンエラー 保証の水準
OSO #16基準#1
(手順) 
  • 手順は、航空局によって適切であると判断された標準または準拠手段に対して妥当性評価を必要としない。
  • 手順及びチェックリストの適切性を宣言すること。 
  • 手順は、航空局が適切と判断した標準および/または航空局が受け入れられる準拠手段に従って妥当性が検証されること。*1
  • 手順の妥当性は以下を通じて証明されること。
    〇専用の飛行試験、または
    〇意図された目的に対して有効であり、かつ肯定的な結果をもたらすことが証明されているシミュレーション 
「中」に加えて、
  • 手順を検証するために実施する飛行試験は、フライトエンベロープの全てをカバーするか保守的であることが証明されている。
  • 手順、飛行試験、シミュレーションは十分に能力のある第三者によって検証されること。 
備考なし*1 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。  なし
基準#2
(訓練) 
訓練されていることを自己宣言すること。(エビデンスを提供できること。) 
  • 訓練シラバスを提供すること。
  • 運航者は技量に基づいた、理論的及び実践的な訓練を提供すること。 
十分に能力のある第三者によって、
  • 訓練シラバスの妥当性を確認すること。
  •  リモートクルーの能力を検証すること。 
備考なしなしなし
基準#3
(通信デバイス)
9 項で定義された条件を考慮すること。 
備考なし なし  なし 

OSO #17 -リモートクルーは運用に適していること
(a) この評価の目的上、「運用に適している」という表現は、職務と責任を安全に遂行するために肉体的及び精神的に適していると解釈されるべきです。
(b) 疲労とストレスはヒューマンエラーの原因となります。したがって、警戒が十分な安全性レベルに維持されることを確実にするために、以下を考慮することができます。
  • リモートクルーの勤務時間
  • 定期的な休憩
  • 休息時間
  • 移行/引継ぎの手順 
表25.OSO#17 安全性の水準 
ヒューマンエラー 安全性の水準
OSO #17基準運航者は、リモートクルーが運用を実施する前に、運用に適していることを宣言するための方法を定義するポリシーを持っていること。 「低」に加えて、
  • リモートクルーの職務、飛行職務、休息時間は運航者によって定義されるとともに運用に適していること。
  • 運航者はリモートクルーが無人航空機システムを運用するために必要な要件を定義していること。
「中」に加えて、
  • リモートクルーは医学的に適していること。
  • 疲労リスク管理システム(FRMS)は、職務/飛行職務の増大を管理するために設置されていること。 
備考なしなしなし

表26.OSO#17 保証の水準 
ヒューマンエラー 保証の水準
OSO #17基準
  • リモートクルーが(運用前に)運用に適していると宣言する方法を適宜するポリシーが文書化されている。
  • (運用前に)運用に適したリモートクルーである宣言は、運航者が定義したポリシーに基づいていること。 
「低」に加えて、
  • リモートクルーの職務、飛行の職務及び休息時間のポリシーが文書化されていること。
  • リモートクルーのデューティサイクルは記録され、少なくとも以下を含むこと。 〇リモートクルー の勤務日
    〇リモートクルーが職務からの解放
    〇デューティサイクル内における休息時間
  • リモートクルーが無人航空機システムを運用するのに適しているというエビデンス。 
「中」に加えて、
  • 所管官庁によって適切と判断されている医療標準および/または航空局*1が受け入れられる準拠手段が確立され、十分に能力のある第三者によってリモートクルーが医学的に適していることが検証されていること。
  •  十分に能力のある第三者が職務/飛行職務時間を確認していること。
  •  FRMSを用いている場合、十分に能力のある第三者によって確認及びモニターされていること。 
備考なしなし*1 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 

OSO #18-ヒューマンエラーに対して飛行エンベロープの自動保護機能があること
 (a) 無人航空機は、最小及び最大運用速度及び運用構造強度に関する安全な性能限界を示している飛行エンベロープに基づき設計されていること。
 (b) 飛行エンベロープの自動保護機能は、リモートパイロットが飛行エンベロープ外での運用防止を目的としていること。運航者によって、リモートパイロットがループに入っていないことを証明した場合、この OSO は適用されません。
 (c) このような自動保護機能を装備する無人航空機システムは、リモートパイロットの制御入力が正しくない(ヒューマンエラー)場合にあっても、無人航空機が許容可能な飛行エンベロープのマージン内で運用できることを確実にすること。
 (d) 自動保護機能を有しない無人航空機システムは、誤ったリモートパイロットの制御入力(ヒューマエラー)の影響を受けやすく、航空機性能の制限を超えると無人航空機を喪失する可能性があります。
 (e) 飛行エンベロープ保護機能の故障または開発エラーは、OSO#5、OSO#10、OSO#12で対処されます。 

表27.OSO#18 安全性の水準
ヒューマンエラー 安全性の水準
OSO #18 基準 無人航空機システムのFCSには、飛行エンベロープの自動保護機能が組み込まれており、通常運用状態において、操縦者の如何なる単一の入力によっても、無人航空機が飛行エンベロープを超過したりタイムリーに回復するのが阻害されない。 無人航空機システムのFCSには飛行エンベロープの自動保護機能が組み込まれ、無人航空機が飛行エンベロープ内に維持されるようにするか、操縦者のエラーを受けた後、飛行エンベロープにタイムリーに回復すること。*1
備考 なし *1 この条件に対するロバスト性の“中”と“高”の区別は、「保証の水準」によって実現される。(表28を参照のこと。)

表28.OSO#18 保証の水準 
ヒューマンエラー 保証の水準
OSO #18基準
飛行エンベロープの自動保護機能は、特定の標準ではなく、社内開発または独創的に開発されている(例えば、既製要素の装備品を使用)。 
飛行エンベロープ自動保護機能は、航空局によって適切であると判断されている標準に従っておよび/または航空局が受け入れられる準拠手段に従って開発されていること。*1 中」に加えて、エビデンスは十分に能力のある第三者によって確認されていること。 
備考なし*1 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 なし

OSO #19 - ヒューマンエラーからの安全な回復ができること
(a) このOSOはタイムリーに防止、検出及び回復できないような、運用の安全性に影響を与える可能性のあるヒューマンエラーのリスクに対処します。
    エラーは運用に関連している誰からでも発生する可能性があります。
 例として、ペイロードへの誤った積載に繋がるヒューマンエラーがあり、運用中に無人航空機が墜落するリスクがあります。
 別の例としては、アンテナマストを延長しなかったというヒューマンエラーがあり、C2リンクのカバレッジが低下する可能性があります。 注: 飛行エンベロープ保護はOSO#18で具体的に扱われるため、このOSOからは除外されています。
 (b) このOSOは以下を対象としています。
  • 手順とリスト
  • 訓練
  • 無人航空機システムの設計、つまり、ヒューマンエラーを検出および/または回復するシステム(安全ピン、確認応答機能、燃料またはエネルギー消費量のモニター機能等) 
表29.OSO#19 安全性の水準
ヒューマンエラー 安全性の水準
OSO #19基準#1
(手順とチェ ックリスト) 
ミッションに関与する人員の潜在的ヒューマンエラーのリスクを軽減するため、手順とチェックリストが定義され使用されること。手順では少なくとも以下が提供されること。
  • タスクの明確な分担と割り当て 
  • スタッフが割り当てられたタスクを適切に実行していることを確実にするための内部的なチェックリスト 
備考なし なし なし 
基準#2
(トレーニング) 
  • リモートクルー*1は、手順とチェックリストの訓練を受けていること。 
  • リモートクルー*1は、CRM*2の訓練を受けていること。*3 
備考*1 「リモートクルー」とはミッションに関与する全ての人を指す。
*2 CRM訓練は全てのリモートクルーを効果的に使用し、安全で効率的な運用の保証、エラーの低減、ストレスを回避し効率を高めることに重点を置いている。
*3 この条件に対する堅牢性の「中」と「高」の区別は、「保証の水準」によって実現される。(下表を参照) 
基準#3(無人航空機システムの設計) ヒューマンエラーの検出または回復するシステムは業界の最善策に合わせて開発されていること。 ヒューマンエラーを検出または回復するシステムは、航空局によって適切であると判断されている標準にしたがって、および/またはその航空局が受け入れられる準拠手段に従って開発されていること。*1 「中」と同じ。 
備考なし *4 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録 は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 *5 これは一つ目のデバイスが故障した場合に対処するため、追加デバイスを提供することを意味している。
 *6 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 


表30.OSO#19 保証の水準
ヒューマンエラー 保証の水準
OSO #19基準#1
(手順とチェ ックリスト) 
  • 手順とチェックリストは、航空局によって適切であると判断された標準または準拠手段に対して妥当性評価を必要としない。
  • 手順及びチェックリストの適切性を宣言すること。 
  • 手順は、航空局が適切と判断した標準および/または航空局*1が受け入れられる準拠手段に従って妥当性検証される。
  • 手順の妥当性は以下を通じて証明されること。
    〇専用の飛行試験、または、
    〇シミュレーション。シミュレーションは意図する目的に対して有効であることが証明されており、ポジティブな結果が得られた場合に限る。 
「中」に加えて、
  • 手順とチェックリストを検証するために実施する飛行試験は、フライトエンベロープの全てをカバーするか保守的であることが証明されていること。
  • 手順及びチェックリスト、飛行試験、シミュレーションは十分な能力を持つ第三者によって検証されていること。 
備考なし *1 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 なし 
基準#2
(トレーニング) 
SAIL に対応する一般的なリモートクルーへの訓練に関するOSO(OSO#09、OSO#15 及び OSO#22)の「保証の水準」について検討すること。 
備考なし なし なし 
基準#3(無人航空機システムの設計) セクション9で定義された条件を検討すること。 
備考なし なし  なし 

OSO #20 -  ヒューマンファクターが評価されており、ミッションに対して適切なヒューマンマシンインターファイス(HMI)が確立されていること
表31.OSO#20 安全性の水準 
ヒューマンエラー 安全性の水準
OSO #20基準無人航空機システムの情報と制御のインターフェイスは、明確かつ簡素に提示されており、混乱を招いたり、不当な疲労を招いたり、運用の安全性に悪影響を与えるようなリモートクルーエラーの原因になってはならない。 
コメント 無人航空機の飛行位置認識を維持するための監視員をサポートするために、電子的手段を使用する場合、そのHMIは、
  • 監視員が運用中に無人航空機の位置を特定するために充分な機能を有すること
  • 次のような監視員の能力を低下させてはならない
    〇潜在的な衝突の危険性がないか、無人航空機が運航している空域を視覚的にスキャンする能力
    〇全ての時間における、リモートパイロットとの効果的な通信の維持

表32.OSO#20 保証の水準
ヒューマンエラー 保証の水準
OSO #20基準運航者は無人航空機システムのヒューマンファクター評価を実施し、HMIがミッションに適しているかどうか判断する。HMI評価は、検査又は解析に基づくこと。 “低”と同じであるが、HMI評価は実証またはシミュレーションに基づくこと。*1 “中”に加えて、十分に能力のある第三者がHMI評価に立ち会うこと。 
コメント なし*1 シミュレーションを用いる場合、シミュレーションで用いるターゲット環境の妥当性を正当化であると認められる必要がある。 なし


悪条件下での運航 OSO #23-安全な運用のための環境条件が定義され、測定可能であり、遵守されていること 

表33.OSO#23 安全性の水準 
悪条件下での運航安全性の水準
OSO #23基準#1
(定義)  
安全運航のための環境条件が、飛行規程または同等の文書に定義及び反映されていること。*1 
備考*1 この条件のロバスト性の「低」、「中」、「高」の区別は、「保証の水準」によって達成される。(表34を参照のこと。) 
基準#2
(手順) 
ミッション前及びミッション中の環境条件を評価する手順(リアルタイム評価)が利用可能であり、これにはシンプルな記録システム(METAR、TAF)による評価が含まれること。*2 
備考*2 この条件のロバスト性の「低」、「中」、「高」の区別は、「保証の水準」によって達成される。(表34を参照のこと。) 
基準#3
(訓練) 
訓練は気象条件の評価を網羅していること。*3 
備考*3 この条件のロバスト性の「低」、「中」、「高」の区別は、「保証の水準」によって達成される。(表34を参照のこと。) 

表34.OSO #23 保証の水準
悪条件下での運航安全性の水準
OSO #23基準#1
(定義)
9項で定義された条件を検討。 
備考なし
基準#2
(手順)
  • 手順とチェックリストは、航空局によって適切であると判断された標準または準拠手段に対して妥当性評価を必要としない。
  • 手順及びチェックリストの適切性を宣言すること。 
  • 手順は、航空局が適切と判断した標準および/または航空局*1が受け入れられる準拠手段に従って妥当性検証がされる。
  • 手順の妥当性は以下を通じて証明される。
    〇専用の飛行試験、または、
    〇シミュレーション。シミュレーションは意図する目的に対して有効であることが証明されており、ポジティブな結果が得られた場合に限る。 
「中」に加えて、
  • 手順とチェックリストを検証するために実施する飛行試験は、フライトエンベロープの全てをカバーするか保守的であることが証明されている。
  • 手順及びチェックリスト、飛行試験、シミュレーションは十分に能力を持つ第三者によって検証されていること。 
備考なしなしなし
基準#3
(訓練)
訓練されていることを自己宣言すること。(エビデンスを提供できる。) 
  • 訓練シラバスを提供すること。 
  • 運航者は、技量に基づいた理論に基づいた理論的及び実践的な訓練を提供すること。 
十分に能力を持った第三者によって、 
  • 訓練シラバスを確認すること。
  • リモートクルーの能力を評価すること。 
備考なしなしなし

OSO #24 – 無人航空機システムは悪条件下に対応できるように設計されていること(例えば、DO-160の適正を有しているセンサー)
 (a) このOSOの安全性の水準を評価するために、運航者は以下を決定する
  • 例えば、以下の質問に答えることによって、機器の環境認定試験/宣言に対する信用を取得することができる。
     i  機器が試験された環境レベルが記載されたDeclaration of Design and Performance(DDP)はあるか。
     ii 環境試験は、航空局によって適切と見なされている標準(DO-160等)に準拠しているか。
     iii CONOPS に関連する全ての環境条件を網羅するために、環境試験は適切かつ充分か。
     iv 認められている標準に準拠して試験が実行されていない場合、資格のある組織によって実行されているかまたはDO-160のような試験を実施した経験があるか。
  • 無人航空機の意図された/予想される環境条件に対する機器の適合性は、運用経験または関連する試験結果のいずれからか判断できるか。
  • 意図された/予想される無人航空機システム環境条件に対する機器の適合性に影響を与える制限事項
 (b) 無人航空機システムの機器が、部分的な環境認定しか有しない場合および/または類似性による部分的な実証及び/認定がない部品がある場合、最低の「安全性の水準」として検討する必要がある。

表35.OSO#24 安全性の水準
悪条件下での運航安全性の水準
OSO #24基準なし無人航空機システムは環境条件の影響を制限するように設計されていること。 無人航空機システムは航空局によって適切であると判断されている環境標準を使用しておよび/または航空局が受け入れられる準拠手段によって設計されていること。 
コメント なしなし*1 航空局 は、適切と考える基準および/または準拠手段を定義する場合がある。  本付録は、航空局 から提供されたフィードバックに基づいた適切な基準のリストで、今後、更新されることがある。 

表36.OSO#24 保証の水準
悪条件下での運航保証の水準
OSO #24基準なし9 項の条件を検討する。 
コメントなしなし

技術的なOSO の「保証の水準」

表37.技術的なOSOの「保証の水準」 
悪条件下での運航安全性の水準
技術的
OSO
基準運航者は、必要なレベルの整合性が達成されたことを宣言すること。*1 運航者は、必要なレベルの安全性の水準が達成されたという裏付けとなるエビデンスを用意する。これは通常、テスト、解析、シミュレーション*2、検査、設計レビュー、または運用経験を経て得られたものとする。 十分な能力を持つ第三者によって、主張されているレベルの「安全性の水準」を検証すること。 
コメント *1 裏付けとなるエビデンスは、入手できる場合と、できない場合がる *2 シミュレーションを用いる場合、シミュレーションで使用されるターゲット環境の有効性を証明する必要がある。 なし

Step#5 隣接するエリアの考慮

これまでのステップでは、リスクを検討するエリアを設定し、そのエリア内における地上や空中のリスク及び安全確保措置を検討してきました。このステップでは、オペレーション空間に隣接するエリアについて評価を行います。 無人航空機が飛行するオペレーション空間は、無人航空機の設計や装備に関する特徴やCONOPSに関連する具体的なリスク(例:雹、氷、雪、電磁干渉等)を考慮して設定され、万が一逸脱する際には緊急操作手順と緊急時対応計画を実施することになっています。ただし、オペレーション空間に隣接するエリアが、ARC-dに該当する空域や、空港周辺の空域、飛行が認められていない集会上空、あるいは人口集中地区における立入管理措置を講じたカテゴリーⅡ飛行及び地上リスククラスの低減のためM1の軽減策を適用している場合等、オペレーション空間と比較して著しく地上や空中のリスクが異なる場合には、オペレーション空間からの逸脱の可能性について厳格に管理することが必要です。 

付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す
隣接エリアの概要
<地上エリア> 隣接する地上エリアには一部DID地区も含まれるため、地上リスククラスが高くなる地域がある。 
<空中エリア> 飛行エリアの上空は仙台空港の進入管制区であり空中リスクが高いARC-dの空域である。 

隣接エリアのリスクがオペレーション空間に対して著しく高い場合の対策 
<対策>
  • 地上エリアに対しては、リスクが高い地域と距離をとり飛行を行う。
  • 空中エリアに対しては、制御不能となる可能性が生じた時点で航空局の空域を管轄する部署へ緊急連絡を行う。
  • 機体製造者の協力により、空域逸脱に繋がる故障が10-4/Flight Hour未満であることを示す。
  • 使用する機体及びサポートする外部機器が単一故障でオペレーション空間を逸脱しないことを示す。使用する機体は第一種機体認証を取得しているため単一の起こりうる故障により想定飛行空間からの逸脱を生じないことが証明されている。
  • 使用する機体及びサポートする外部機器のソフトウェアやエアボーンエレクトロニックハードウェアは、航空業界の業界標準であるRTCA DO-178及びDO-254に従い開発されている。使用する機体は第一種機体認証を取得しており、ソフトウェアについてはそのエラーが最小化されていることが証明されている。 詳細は飛行マニュアルに示す。 

Step#6  評価結果に対する対応

これまでのステップで評価されたリスクに対する要求事項に対して、運航者は自らの運航がその要求事項を十分満たしていることを確認し示す必要があります。各対策や安全目標を達成するため、運航者は本リスク評価の結果に基づき、安全確保措置として運航に関わる飛行マニュアルを作成することが推奨されます。 また、リスク評価の結果必要とされる対策や安全目標を達成できない場合は、運航方法や運航体制の変更等を行う必要があるため、CONOPSの改定が必要となります。 

付録7 リスク評価適用例 の諸元を参考に導き出す



タグ

広 告

広 告

人気の投稿

ノータム[NOTAM] の確認方法が変わります [AIS JAPAN] から [SWIM ポータル] へ

ノータムを確認できるWEBサイトが変更になります  令和7年2月10日~ 日本国内のノータム[NOTAM]などの航空情報は現在、国土交通省航空局が航空情報提供サービスWEBサイト「 AIS JAPAN - Japan Aeronautical Information Service Center」 https://aisjapan.mlit.go.jp/  で公開しています。このサービスは、無料で利用できますが、ユーザー登録とログインが必要となっています。 しかし、 令和7(2025)年1月10日より 、新しい航空情報共有基盤「 SWIM (System-Wide Information Management)」 https://top.swim.mlit.go.jp/swim/ の運用(登録)が開始されることに伴い、現行のAIS-JAPAN(Web)は 2025年2月10日に新サービス開始 と共に完全に廃止され、新しいSWIM(スイム)ポータルによる情報サービスへと移行します。現在AIS JAPANを利用しているユーザーも、この期日までに 改めてSWIM(スイム)ポータルへの登録が必要 となります。このSWIMサービスの利用について、当面の間、航空関係者(運航者、空港管理者、官公庁等)による利用とし、一般の方の利用は想定していません。と記載されています。 サービス開始の延期について2025/09/29に航空局交通管制部運用課より案内が出ています 【重要なお知らせ】SWIMによる情報サービス提供開始時期の見通しについて(更新)   【情報サービス利用審査開始】 令和7年10月6日(月)10時00分(日本時間)から各情報サービスの利用審査を開始します。利用申請にあたっては、各情報サービスの情報サービス概要、サービス説明書等を一読いただき、利用可能なサービスであるかを確認していただいた上で利用申請をいただけますようお願いいたします。   【情報サービスβ版の公開とプロモーション】 SWIMによる情報サービスβ版(情報サービスの正式版をリリースする前に公開をおこなうもの)の公開を予定しております。   ■β版公開期間 令和7年10月17日(金)9時00分 ~ 令和7年11月10日(月)17時00分(日本時間)   ■β版...

二等無人航空機操縦士 学科試験問題 模擬試験【練習問題】

無人航空機操縦者技能証明試験の学科試験問題をAIに作ってもらいました。 「無人航空機の飛行の安全に関する教則 第4版」を基に、AIに無人航空機操縦者技能証明試験の学科試験サンプル問題と同様の形式で試験問題風クイズを作成してもらいました。 これらの問題は過去の出題問題や予想問題ではなく、実際の学科試験と同じく教則の内容からAIが自動生成したものです。問題の正確性についてはAIによる生成後に人的チェックも加えて可能な限り確認しておりますが、完全性を保証するものではありませんので、あらかじめご了承ください。(問題に不備がありましたら 問い合わせフォーム よりご一報いただければ幸いです。) また、複数のAIに同様の指示で問題を作成してもらったため、それぞれのAIの特性や出題傾向の違いも見られるかと思います。そうした個性の違いも含めて、クイズ感覚でお楽しみいただければと思います。 これらの問題は教則の内容理解度を確認するツールとして作成しましたが、問題の質や網羅性を考慮すると、受験対策の一環としても十分にご活用いただけるレベルに仕上がっていると考えています。ただし、教則をしっかりと理解することを前提として、過去問題集や参考書と併用していただくことをお勧めします。  無⼈航空機操縦士の学科試験は <実施方法> 全国の試験会場のコンピュータを活用するCBT (Computer Based Testing) <形 式> 三肢択一式(一等:70問 二等:50問) <試験時間> 一等:75分 二等:30分 <試験科目> 無人航空機に関する規則、無人航空機のシステム、無人航空機の操縦者及び運航体制、運航上のリスク管理 上記の要領で実施されます。 従って、1問当りの回答時間は、単純に試験時間を、問題数で割ると、 一等は一問あたり約64秒 二等で36秒 で回答しないと間に合わない計算になります。これらの与えられた時間を意識しながら学習することもコツの一つかも知れません。  無⼈航空機操縦士の学科試験のベースになる教則ですが、これまで、学科試験の内容は「無人航空機の飛行の安全に関する教則(第3版)」に準拠していましたが、 ※ 令和7年(2025年)4月17日(木)より 、学科試験の内容は、「無人航空機の飛行の安全に関する教則 (第4版) 」 に準拠します。 と発表されました。...

人口集中地区(DID)の新しいデータの確認方法(令和4(2022)年6月25日~)

人口集中地区 DID(Densely Inhabited District) ドローンを飛行させる場合の許可が必要な飛行なのかどうかを判断する為の重要な基準になっている統計データの人口集中地区(DID)データが、 2022年6月25日から これまで利用していた平成27年版から、新しい 令和2年版 に、変更になりました。 これまで人口集中地区でなかった場所でも新たに人口集中地区とされている場合や、逆にこれまでDID地区であった場所でも除外されている場所など、変更されている場合があるので注意が必要です。 日本の国勢調査において設定される統計上の地区で、 人口密集地区の英語"Densely Inhabited District"の頭文字を取って「DID」とも呼ばれています。 市区町村の区域内で人口密度が4,000人/ km² 以上の基本単位区(平成2年(1990年)以前は調査区)が互いに隣接して人口が5,000人以上となる地区に設定されます。ただし、空港、港湾、工業地帯、公園など都市的傾向の強い基本単位区は人口密度が低くても人口集中地区に含まれています。都市的地域と農村的地域の区分けや、狭義の都市としての市街地の規模を示す指標として使用されます。 令和2年の国勢調査の結果に基づく人口集中地区は、国土地理院が提供している「地理院地図」、および政府統計の総合窓口が提供している、「地図で見る統計(jSTAT MAP)」を利用して確認可能です。 情報の内容はは同じですので使いやすいお好みの物を利用すると良いと思います。 国土地理院 地理院地図 人口集中地区令和2年 (総務省統計局) e-Stat 政府統計の総合窓口 地図で見る統計 (jSTAT MAP) 国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局) 確認方法 人口集中地区令和2年 (総務省統計局) 国土地理院 地理院地図  人口集中地区令和2年(総務省統計局)のキャプチャ

無人航空機 のための 気象情報 航空気象情報【教則学習・詳細】

無人航空機の飛行計画で活用できる、航空気象情報 無人航空機の飛行の安全に関する教則のなかで気象情報に関して、記載されています。 「6.2 気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画の立案」 6.2.1 気象の重要性及び情報源 (2) 安全な飛行を行うために確認すべき気象の情報源 この項目のなかで、 参考となる気象情報 として、「 実況天気図、予報天気図、悪天解析図 」が挙げられています。 教則にどのように挙げられているかは、下記に詳細があります。 6.2 気象の基礎知識及び気象情報を基にしたリスク評価及び運航の計画の立案 【教則学習(第3版)】 実況天気図、予報天気図の情報は、通常さまざまな気象情報のWEBサイトから得ることが出来ますが、悪天解析図は、耳なじみがないのではないでしょうか。「国内悪天解析図」として作成されているものを指していると思われますが、これは、通常の天気予報では、得ることが出来ない上空のある高度の風速や風力など、有人航空機のためではありますが、飛行に役立てるための特化型の気象情報です。航空の運航などに使用するための気象情報ですので、一般にテレビやラジオなどの天気予報として目に触れることはありません。 国内悪天解析図(ABJP) 気象レーダーや気象衛星画像に、航空機から通報された乱気流や着氷などの実況を重ね合わせ、それに予報官によるジェット気流の解析や悪天域に関する簡潔なコメント文を加えた図情報です。国内航空機の主な運航時間となる日本時間の6時から21時まで3時間ごとに一日6回作成されています。気象庁の航空気象情報提供システム(MetAir)で提供されています。 国内悪天解析図

無人航空機(ドローン)のノータム[NOTAM] の 読み方・見方【教則学習・周辺知識】

ノータムとは ノータム【NOTAM ( Notice to Airmen)】:航空従事者への通知 国が管理する航空当局(日本の場合は国土交通省航空局)が、航空従事者に対して発行する情報で、航空機の運航のために必要な情報を提供しています。 「NOTAM」ノータムは、 NO tice T o A ir M en の略称で、日本語に訳すなら「航空従事者へのお知らせ」という事です。航空情報の一つで、飛行場、航空保安施設、運航に関連する業務方式の変更、軍事演習のような危険の存在などについての情報で、書面による航空情報では時宜を得た提供が不可能な(端的にいえば間に合わない)場合にテレタイプ通信回線(CADIN及びAFTN)により配布されるものです。 ノータム【NOTAM (Notice to Air Mission)】:航空任務への通知 アメリカ連邦航空局(FAA:Federal Aviation Administration)は2021年12月2日から、NOTAM の頭字語を、Notice to Airmen から Notice to Air Mission に変更しました。この変更は名称によるジェンダー中立性を保つとともに、より広範囲な分野を包括する事を見据えてより正確な名称にするためのもので、小型無人航空システム (sUAS) 、無人気球など、他のいくつかの分野も含まれるためです。 女性もたくさん活躍している事や、無人機には人間が乗っていません(当然ですが)ので、旧名称の「Airmen」はないだろうという事です。したがって、航空任務への通知( Notice to Air Mission )という名称は、より実態に即した正確な名称に変更されたという事になります。 航空法で定められている「飛行に影響を及ぼすおそれのある行為」と、ノータムへの掲載について詳しい説明を説明しています。 飛行に影響を及ぼすおそれのある行為とノータム(NOTAM)【教則学習・周辺知識】  もよろしければご覧ください。 NOTAM の歴史 NOTAM は、附属書 15:国際民間航空条約(CICA)の航空情報サービスで指定されたガイドラインに基づいて、政府 機関および空港運営者によって作成および送信されます。1947年4 月4日に発効した CICA の批准に伴い一般的に使用されるようになり...

フォネティックコード「アルファー・ブラボー・チャーリー」通話表【教則学習・周辺知識】

アルファベットや数字を無線通信・電話(口頭)で正しく伝える方法 「アルファー」「ブラボー」「チャーリー」このような、暗号のような、呪文のような言葉を航空業界では使用されることが比較的多いので耳にする機会があるのではないでしょうか。これは、フォネティックコード(Phonetic Code)と呼ばれるアルファベットや数字を正しく伝える為の工夫です。スペリングアルファベットとも呼ばれ、アルファベットにどのような言葉を当てはめるかは、国際規格として定められています。ですから、通常は世界どこに行っても通用するものとされています。通信で使用されるだけでなく、共通の知識として前触れなくあられることがありますので、知っておいて損はないと思います。 第一次世界大戦後、音声を利用する双方向無線が開発され、普及する以前、低品質の長距離電話回線での通信を改善するために、電話のスペルアルファベット(Spelling Alphabet)が開発されたました。 アルファベットの「B」ビーと「D」ディーや「M」エムと「N」エヌのように、発音が似ているものを聞き間違えることなく伝えることを目的として、定められたアルファベットの通話表での置き換えます、航空機や船舶などの通信で主に利用されています。また、コールセンターなど対面できない際の電話での通話の間違いを防ぐためにも、利用されているようです。航空業界に関わり合いのある、旅行業界やホテル業界などでも利用されることがあるそうです。 このフォネティックコードを用いると、BとDは「ブラボー」と「デルタ」、MとNは「マイク」と「ノベンバー」になりますので、発音が似ているアルファベットも間違えずに伝えることが出来ます。 フォネティックコード表 アルファベット 読 み A ALFA アルファ B BRAVO ブラボー C CHARLIE チャーリー D DELTA デルタ E ECHO エコー F FOXTROT フォックストロット G GOLF ゴルフ H HOTEL ホテル I INDIA インディア J JULIETT ジュリエット K KILO キロ L LIMA リマ M MIKE マイク N NOVEMBER...

ADS-Bを受信するフライト追跡表示サービス 航空機のリアルタイム運行状況 ATCの話3

今、上空を飛行している飛行機の状況を無料で確認できるWEBサイト 航空機から送信されるADS-Bの情報を基に 無料で ウェブサイトのマップ上にリアルタイムに飛行情報を表示するサービスがあります。 このようなWEBサイトが複数ありますが、それぞれ独自のADS-B受信ネットワークを用いているため同一のタイミングで確認しても表示される機体が異なる場合があるようです。これは受信ネットワークの違いや、フィルタリング方針の違いにあるようです。UIも異なりますし、地図から確認する方法以外に便名や航空会社、使用機体、出発到着空港からなど様々な条件で表示させることが出ますので目的に応じて使いやすいもの使用してみてください。 主要なWEBサイトは以下のようなものです。 Flightradar24 Flightradar24: Live Flight Tracker - Real-Time Flight Tracker Map https://www.flightradar24.com/ ADS-B Exchange ADS-B Exchange - track aircraft live https://globe.adsbexchange.com/ ADS-B Exchangeは、フィルタリングも検閲もされていない世界の航空動向の窓口を提供するという当初の使命を堅持しています。 FlightAware FlightAware Live https://www.flightaware.com/live/map 航空機のリアルタイム運行状況 表示 サービス   フライトレーダー24(Flightradar24)  https://www.flightradar24.com/ ADS-Bを受信して、航空機のリアルタイム運行状況を表示するフライト追跡表示サービスで、一部では大変有名なWEBサイトです。目の前の空を飛んでいる飛行機やヘリコプターなどの航空機をライブで地図上に飛行機アイコンで位置表示するWEBサイトで、登録なしで無料で利用することができます。ただし、15分でタイムアウトするので、リロードする必要があります。 この「Flightradar24」は、2006年にスウェーデンの2人の航空マニアが、北欧と中欧にADS-B受信機のネットワークを構築し、趣味のプロジェクトとしてスタートし、2...

自己紹介

ノーマン飛行研究会
2015年 首相官邸ドローン事件があった年、トイドローンを手にして以来ドローンと関わっています。JUIDAの無人航空機安全運航管理者、操縦技能証明とドローン検定協会の無人航空従事者試験1級 を取得しております。無線関連の第1級陸上特殊無線技士も取得しております。 できるだけ正確に学んだことを綴って行きたいのですが、もし間違いなどありましたらご指摘いただけると嬉しいです。 このサイトはリンクフリーです。報告の必要ありません。リンクして頂けると喜びます。
詳細プロフィールを表示

広 告