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5.1 操縦者の行動規範及び遵守事項【教則学習(第3版)】

2024年3月26日  2024年3月26日 
5. 無人航空機の操縦者及び運航体制    5.1 操縦者の行動規範及び遵守事項

5.1 操縦者の行動規範及び遵守事項【教則学習(第3版)】


教則の本文を黒色に、独自に追記した補足説明や注釈を別色で記載しています。

5.1.1 操縦者の義務

(1) 操縦者の義務の概要

航空法においては、無人航空機を安全に飛行させるため、操縦者に対して様々な義務を課している。これらには、無人航空機を飛行させる者として遵守することが求められる規範ともいうべき根本的なルールが含まれている。 

(2) カテゴリーⅢ飛行の操縦者に追加で義務付けられる事項〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行を行う場合には、操縦者は一等無人航空機操縦士の技能証明の取得が必要である。また、その運航の管理が適切に行われることについて、国土交通大臣の許可・承認を受ける必要があるが、運航管理体制の構築に当たっては、操縦者がリスクの高い飛行を行うことについて無人航空機を飛行させる者としての責任を自覚し、運航の中心的な役割を果たさなければならない。 

5.1.2 運航時の点検及び確認事項

(1) 安全運航のためのプロセスと点検項目

安全に運航するために点検プロセスを定め、そのプロセスごとに点検項目を設定する。点検プロセスは機体メーカーの指示する内容に従って実施すること。

 1) 運航当日の準備

運航当日の準備では、必要な装置や設備の設置を行い、飛行に必要な許可・承認や機体登録等の有効期間が切れていないかを確認する。

 2) 飛行前の点検

飛行前の点検は必ず機体を飛行させる前に都度行うべき最終点検である。ここではバッテリーのチェックや機体の異常チェックなど、無人航空機が正常に飛行できることを最終確認する。

 3) 飛行中の点検

飛行中の点検は飛行中に行うべき点検である。ここでは、飛行中の機体の状態チェックや、飛行している機体の周囲の状況を確認する。

 4) 飛行後の点検

飛行後の点検は、無人航空機が飛行を終えて着陸したあとに行うべき点検である。ここでは飛行の結果、無人航空機の各部品の摩耗等の状態を確認する。

 5) 運航終了後の点検

運航終了後の当日の運航が終了したあとに行うべき点検である。ここでは無人航空機やバッテリーを安全に保管するための点検や、飛行日誌の作成などを確認する。

 6) 異常事態発生時の点検

飛行中に異常事態発生が発生した際に確認するべき点検である。ここでは危機回避行動を行い、安全に着陸するための確認項目を確認する。 

(2) 運航者がプロセスごとに行うべき点検

以下にはプロセスごとに行うべき点検項目の例を挙げているが、運航する無人航空機の特性やその運航方法によって、必要な点検などを追加で行う必要がある。

プロセス 点検項目の例 
飛行前の準備① 無人航空機の確認
 ・無人航空機の登録及び有効期間
 ・無人航空機の機体認証及び有効期間並びに使用の条件(運用限界)
 ・整備状況 等
 ② 操縦者の確認
 ・技能証明の等級・限定・条件及び有効期間
 ・操縦者の操縦能力、飛行経験、訓練状況 等
 ③ 飛行空域及びその周囲の状況の確認
 ・第三者の有無、地上又は水上の状況(住宅、学校、病院、道路、鉄道等)
 ・航空機や他の無人航空機の飛行状況、空域の状況(空港・ヘリポート、管制区域・航空路等)
 ・障害物や安全性に影響を及ぼす物件(高圧線、変電所、電波塔、無線施設等)の有無
 ・小型無人機等飛行禁止法の飛行禁止空域、緊急用務空域、飛行自粛空域等の該当の有無 等
 ④ 気象の状況の確認
 ・最新の気象状況(天気、風向、警報、注意報等)
 ⑤ 航空法その他の法令等の必要な手続き
 ・国の飛行の許可・承認の取得
 ・必要な書類の携帯又は携行(技能証明書、飛行日誌、飛行の許可・承認書 等)
 ・航空法以外の法令等の必要な手続き 等
 ⑥ 立入管理措置
・安全確保措置
 ・飛行マニュアルの作成
 ・第三者の立入りを管理する措置
 ・安全管理者や補助者等の配置・役割・訓練状況
 ・緊急時の措置(緊急着陸地点や安全にホバリング・旋回ができる場所の設定等) 等
 ⑦ 飛行計画の策定及び通報
 ・上記事項を踏まえ飛行計画を策定
 ・ドローン情報基盤システム(飛行計画通報機能)に入力し通報 
飛行前の点検 ① 各機器は安全に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
 ② 発動機やモーターに異音はないか
 ③ 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷やゆがみはないか
 ④ 燃料の搭載量又はバッテリーの充電量は十分か
 ⑤ 通信系統、推進系統、電源系統及び自動制御系統は正常に作動するか
 ⑥ 登録記号(試験飛行届出番号及び「試験飛行中」)について機体に表示されているか
 ⑦ リモートID機能が正常に作動しているか(リモートID機能を有する機器を装備する場合) (例)リモートID機能が作動していることを示すランプが点灯していることの確認 
飛行中の監視 ① 無人航空機の飛行状況
 ・無人航空機の異常の有無
 ・計画通りの経路・高度・速度等の維持状況
 ② 飛行空域及びその周囲の気象の変化
 ③ 飛行空域及びその周囲の状況
 ・航空機及び他の無人航空機の有無
 ・第三者の有無 等 
異常事態発生時の措置 ① あらかじめ設定した手順等に従った危機回避行動をとる
 ② 事故発生時には、直ちに無人航空機の飛行を中止し、危険を防止するための措置を取る
 ・負傷者がいる場合はその救護・通報
 ・事故等の状況に応じた警察への通報
 ・火災が発生している場合の消防への通報 等
 ③ 事故・重大インシデントの国土交通大臣への報告 
飛行後の点検 ① 機体にゴミ等の付着はないか
 ② 各機器は確実に取り付けられているか(ネジ等の脱落やゆるみ等)
 ③ 機体(プロペラ、フレーム等)に損傷がゆがみはないか
 ④ 各機器の異常な発熱はないか 
運航終了後の措置 ① 機体やバッテリー等を安全な状態で適切な場所に保管
 ② 飛行日誌の作成(飛行記録、日常点検記録及び点検整備記録) 等 

(3) ガソリンエンジンで駆動する機体の注意事項

ガソリンは危険物に該当するため、乗用車等で運搬する場合には、消防法で定められた22リットル以下の専用の容器で運搬することが必要である。エンジン駆動の場合には機体の振動が大きいため、ネジ類の緩みなどを特に注意して点検する必要がある。

比較的、大型の産業ドローンでも、その燃料タンクの容量は5~6リットルですので、量的に消防法などの制限を受けることはないでしょうが、以下は余談です。

ガソリンの運搬とは
専用の容器に入れた状態
で運搬車両・乗用車などでガソリンを運ぶ事と、定義されています。タンクローリーのように危険物を輸送する専用の車両でガソリンを運ぶことは「移送」と呼ばれ、別の扱いをされます。

ガソリンを運搬する際は、容器にも制限がありますので注意が必要です。たとえば、トラックなどの運搬車両で金属製容器にガソリンを入れる際は60L以下、金属製ドラムなら250L以下となっています。普通自動車など乗用車の場合、22L以下の金属製容器となっています。
ガソリンは、専用の金属製容器に入れて運搬しなければならないと消防法で決められています。灯油のようにポリタンクや一斗缶に入れて運搬することはできません。当然、ガラスビンやペットボトルでの運搬も法律で禁じられています。

乗用車で運搬する場合、運搬容器の積載個数について消防法令上の制限はありませんが、道路交通法上の積載量範囲内(過積載にならない範囲)という事になります。ただし、指定数量(ガソリンは200リットル、灯油、軽油は1,000リットル)以上を一台の車両に積む場合は、必ず危険物取扱者を車両に乗せなければなりませんし、
消防法に沿って標識(「危」のマーク)の掲示や消火設備が必要になります。車両にガソリンを積むとき・下ろすときにも危険物取扱者の立ち合いが必要です。

ガソリンを貯蔵する場合は各市町村で定められている火災予防条例に従う必要があります。なお、40リットル以上ガソリンを保管する場合(個人の住居の場合100リットル以上は、市町村への届出が必要です。災害に備えてガソリンの缶詰を備蓄する際は、量に気を付けるとともに、長期間、保管して変質させてしまわないよう気を付ける必要があります。保管期限は一般的におよそ6ヶ月と言われています。


(4) ペイロードを搭載あるいは物件投下時における注意事項

投下場所に補助者を配置しない場合、物件投下を行う際の高度は1m以内である必要がある。 

5.1.3 飛行申請

(1) 国土交通省への飛行申請

航空法においては、一定のリスクのある無人航空機の飛行については、そのリスクに応じた安全を確保するための措置を講ずることや、国土交通大臣から許可又は承認を取得した上で行うことを求めている。カテゴリーⅡ飛行については、当該申請に係る飛行開始予定日の10開庁日前までに申請書を所定の提出先に提出する必要がある。 

(2) カテゴリーⅢの飛行申請〔一等〕

カテゴリーⅢ飛行を行う場合には、一等無人航空操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた無人航空機を飛行させることに加えて、その運航の管理が適切に行われることについて、国土交通大臣から許可又は承認を取得する必要がある。具体的には、無人航空機を飛行させる者は、飛行の形態に応じてリスクの分析と評価を行い、その結果に基づく非常時の対処方針や緊急着陸場所の設定などのリスク軽減策の内容を記載した飛行マニュアルの提出を含めて、運航の管理が適切に行われることについて申請しなければならない。また、飛行の許可・承認の審査において、無人航空機を飛行させる者が適切な保険に加入するなど賠償能力を有することの確認を行うこととしている。 カテゴリーⅢ飛行については、通達「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」に従って、当該申請に係る飛行開始予定日の20開庁日前までに申請書を国土交通省航空局に提出しなければならない。

「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行)」は航空局WEBサイトで、無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅢ飛行) として、公開されています

5.1.4 保険及びセキュリティ

(1) 損害賠償能力の確保

無人航空機を飛行させる場合、飛行中における航空機や他の無人航空機との接触又は衝突、落下等による地上の人又は物件との接触または衝突により、第三者に損害を与えることが想定され、その場合には当該損害を賠償することが求められることがある。このことから、無人航空機を飛行させる場合には、万一の場合に備え賠償能力を確保しておくことが望まれるが、その対応としては、損害賠償責任保険に加入しておくことが有効と考えられる。このことから国土交通省においては、加入している保険の確認など無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を、許可・承認の審査の際に行っている。なお、カテゴリーⅢ飛行の場合には、飛行の内容に応じた保険に加入していることが推奨される。
無人航空機の保険については大きく分けて以下の種類がある。

種 類特 徴 
機体保険機体やカメラ自体の損傷に対する保険
 ※機体が見つからないと保険が適用されないケースがあるため注意すること。
 ※荷物輸送においては、輸送物が保険対象に含まれるか確認すること。 
損害賠償責任保険無人航空機を運航したことによっておこる損害に対する保険(対物・対人) 

大まかなイメージでは、損害賠償責任保険は自動車の保険制度で例えるなら任意保険で、機体保険は、車両保険という事になると思います。
航空局は加入している保険の確認など、許可・承認の審査の際に行っていますが、義務ではなくあくまで、任意という事で、これまでは、許可・承認の審査の結果に影響をもたらしていないのではないかと思われます。(実際に無保険で許可・承認の申請をした経験がないのでわかりませんが)「カテゴリーⅢ飛行の場合には、飛行の内容に応じた保険に加入していることが推奨される。」とされているようにカテゴリーⅢ飛行の場合の許可・承認には何らかの影響が出るのではないでしょうか。ただし、義務や強制のような強いものではないようです。

(2) 無人航空機に係るセキュリティ確保

無人航空機は、それ自体の財産的な価値を狙った盗難の他、犯罪やプライバシー侵害等の目的で悪用することを意図した運航の妨害や、コントロールの奪取の危険がある。特に無人航空機が悪用された場合、第三者に被害が及ぶことが懸念されることから、無人航空機の所有者及び操縦者は、このような危険から当該無人航空機を守るため、セキュリティの確保に取り組まなければならない。
無人航空機のセキュリティ対策として、例えば当該無人航空機及びその遠隔操縦のための機器を適切に管理することで、盗難等を防止することが望ましい。
無人航空機にはプログラムに基づき自動又は自律で飛行するものも多くあり、そのようなものは、プログラムを不正に書き換えられる等により、当該無人航空機が奪取されたり操縦者の意図に反して悪用されたりする可能性がある。航空法に基づく機体認証・型式認証に係る安全基準は、無人航空機に係るサイバーセキュリティの観点からの適合性が証明されることも求めており、認証を受けた機体は一定のサイバーセキュリティ対策がされていることから、機体認証・型式認証を受けた機体を利用することで、リスクの軽減策となる。 

国土交通省航空局より 令和4年12月2日 一部改正(国空機第 645 号)「件名:無人航空機の型式認証等における安全基準及び均一性基準に対する検査要領」として、サーキュラー(circular:ビラやチラシという意味ですが、航空業界では、ベラ物の案内というところでしょうか。安全情報など通達文書で用いられます。)が出されています。
で下記の様に示されている
サイバーセキュリティ
(a) 別のシステムと連携する無人航空機の機器、システム及びネットワークは、無人航空機の安全性に悪影響を及ぼす意図的で許可されていない電子的な干渉から守られなくてはならない。セキュリティ対策は、セキュリティリスクが特定され、評価され、かつ、必要により緩和されていることを示すことによって確実になされなければならない。
(b) 上記(a)項により必要とされる場合、セキュリティ対策が維持されるような手順及び指示がICA に含まれなければならない。
この様に、サイバー攻撃により機体の乗っ取りや機能停止など、航空安全上の危険がないようにしなければならないことが定められていますが、機体との間でやり取りされるデータの盗聴(送信される画像だけでなく、フライト情報など)や、これらの情報を管理するサーバシステムなどには、言及されていません。あくまで、安全飛行に関するセキュリティであって、一般的に言われるサイバーセキュリティ(情報漏洩などを含んだもの)とは異なるという事です。
現在、この一般的に言われるサイバーセキュリティとドローンについては、様々な提案がなされている状況です。
経済産業省とNEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が「無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドライン」を策定し、2022年3月に公表しています。
無人航空機を対象としたサイバーセキュリティガイドラインを策定 (METI/経済産業省 

無人航空機分野 サイバーセキュリティガイドラインVer.1.0非耐空性の領域における情報セキュリティの対応指針 [PDF] 

一般社団法人セキュアドローン協議会から「ドローンセキュリティガイド」が公開されています。こちらは、第1版が、2018年3月に公開され、2022年6月に第3版まで公開されています。無償で公開されていますが、最新版は、ダウンロードする為にフォームにて申し込みが必要なようです。以前の第1版、申し込みしなくても見ることができます。最新版と第1版を下記にリンクしますので、参考にしてみてください。
カテゴリーⅢ飛行は、第三者上空を飛行するリスクの高い運航であることから、その飛行の許可・承認の審査にあわせて、無人航空機を飛行させる者が賠償能力を有することの確認を行うこととしているが、その飛行の形態に応じたリスク評価を行い、その結果に基づき、必要な保険に加入することが望ましい。また、無人航空機の選定においては、飛行の形態に応じたリスク評価の結果に基づき必要なセキュリティ対策が講じられていることも考慮する必要がある。 

4.6 機体の整備・点検・保管・交換・廃棄
5.2 操縦者に求められる操縦知識→

「無人航空機の飛行の安全に関する教則」(第3版) 令和5年(2023年)4月13日【教則学習】目次
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