無人航空機に係る規制の運用における解釈について の改正 令和8年4月施行
2026年4月18日
2026年4月18日
ドローン飛行規制の解釈変更点を解説
航空局通達が改正|令和8年4月施行 国空無機第350041号
国土交通省 航空局は令和8年4月1日付で、「無人航空機に係る規制の運用における解釈について」を改正しました。前回改正(令和6年11月29日)からの変更は文章の句読点の修正を除いて2点です。実務に直結する内容が含まれているため、ドローン操縦者・事業者の方はぜひご確認ください。
引用・参照時は最新番号をご確認ください。
文書の変更の前後の関係
| 区分 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 最終改正日 | 令和6(2024)年11月29日 | 令和8(2026)年4月1日 |
| 通達番号 | 国空無機第68755号 | 国空無機第350041号 |
改正ポイント1 目視飛行規定に「多数機同時運航」のガイドライン参照が新規追加
「3.(6) 目視の範囲内での飛行」の末尾に、複数機のドローンを同時に運航する場合(多数機同時運航)について安全確保を求める段落が新設されました。
新設された条文(全文)
新設された条文(全文)
操縦者が多数の無人航空機を同時運航する多数機同時運航(以下「多数機同時運航」という。)となる飛行においては、「多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン」(令和7年3月制定)を参考にしつつ、無人航空機の使用者又は操縦者は、航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれることがないよう安全の確保を自主的に行う必要がある。
ガイドラインについて https://www.mlit.go.jp/report/press/kouku10_hh_000276.html
この改正が指し示す背景
この改正が指し示す背景
近年、ドローンショーの群れ飛行など、複数機を同時に飛行させるケースが急増しています。しかしこれまでの通達には複数機同時運航に関する具体的な言及がなく、安全確保の基準が不明確でした。
令和7年3月に国土交通省が「多数機同時運航を安全に行うためのガイドライン」を制定したことを受け、今回の改正でその参照が明記された形です。
実務上のポイント
多数機同時運航を行う場合は、上記ガイドラインの確認が必須となります。ドローンショー事業者や農業用途での複数機運航を行う操縦者は、ガイドラインの内容を踏まえた安全管理体制の整備が求められます。
改正ポイント2 農薬等の空中散布に「承認不要」の特例が新設 新規追加
今回の改正で最も実務的インパクトが大きい変更です。第4条 許可・承認が不要となる飛行に、従来の「係留飛行」に加えて新たに「農薬等の空中散布などに係る飛行であって、一定の要件を満たして行うもの」が追加されました。
構成の変化
構成の変化
| 区分 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 第4条の構成 | 見出しなし(係留飛行のみ記載) | (1)係留することにより飛行範囲を制限して行う飛行 (2)農薬等の空中散布などに係る飛行【新設】 |
新設された(2)で承認が不要になる飛行の種類
航空法施行規則第236条の82第1項第2号に定める要件を満たした場合、以下の飛行について個別の承認が不要となります。
夜間飛行 法第132条の86 第2項第1号
目視外飛行 法第132条の86 第2項第2号
第三者から30m以内の飛行 法第132条の86 第2項第3号
危険物輸送(農薬等) 法第132条の86 第2項第5号
物件投下(農薬散布等) 法第132条の86 第2項第6号
詳細要件の確認先
詳細の要件については、通達「航空法施行規則第236条の82第1項第2号の規定により飛行の方法に係る承認が不要な飛行の取扱い」令和8年3月23日 制定 (国空無機第338898 号)を参照してください。
注意:要件を満たすことが前提
承認不要の特例を適用するためには、施行規則第236条の82第1項第2号に定める要件を満たしていることが必要です。要件の確認なしに承認不要と判断することのないよう、ご注意ください。
詳細要件の解説:航空法施行規則第236条の82第1項第2号の規定により飛行の方法に係る承認が不要な飛行の取扱い」令和8年3月23日 制定 (国空無機第338898 号)の内容
令和8年3月23日に制定された本通達は、規則第236条の82第1項第2号に基づく「承認不要飛行」の具体的な要件と安全確保の方法を定めるものです。以下に各要件の概要を整理します。(1)飛行場所の要件
多数の者が集合する催し物の会場上空以外の空域で飛行させること。
(2)機体の安全性に係る要件
第一種または第二種の機体認証を受けた機体であることが必要です。飛行の方法に応じ、以下が機体認証の審査で確認されている必要があります。
| 飛行の種類 | 必要な機能・装備 |
|---|---|
| 危険物輸送 | 危険物輸送に適した装備 |
| 物件投下 | 不用意に投下しない機構 |
| 30m以内の飛行 | プロペラガード・衝撃緩和素材・カバー・パラシュート等 |
| 夜間飛行 | 機体の向きを視認できる灯火 |
(3)機体の総重量に係る要件
夜間飛行・目視外飛行・30m以内の飛行を行う場合は、総重量25kg未満の機体を使用すること。
(4)操縦者に係る要件
操縦者は以下の要件をすべて満たす必要があります。
一等または二等無人航空機操縦士の技能証明を有すること(機体の種類に係る限定に対応したもの)
25kg以上の機体を飛行させる場合は、総重量の限定変更(解除)が行われていること定期的な操縦練習により、対面飛行・飛行の組み合わせ・8の字飛行の技量を維持すること飛行の方法に応じた追加要件として、夜間飛行には昼間飛行の限定変更、目視外飛行には目視内飛行の限定変更が必要です。また農薬等の空中散布を行う場合には、水等を使った空中散布訓練を5回以上実施し、散布に係る操縦技量を習得していることが求められます。
(5)飛行場所・高度に係る要件
操縦者等の関係者が所有・管理する農地または森林(隣接する農道・林道を含む)の区域内で、地表・水面または農作物の上端から4m以下の高さで飛行させること。
「関係者」には操縦者や補助者等の直接関与者のほか、飛行目的を共有し安全指示を受けている間接関与者、および作業の発注者が含まれます。
(6)自動操縦に係る要件
夜間飛行・目視外飛行を行う場合は、自動操縦により飛行させること。
(7)輸送物件に係る要件
危険物輸送の対象となるのは、農薬取締法に基づき登録を受けた農薬、および肥料の品質の確保等に関する法律に定義する肥料です。
(8)飛行範囲制限機能・フェールセーフ機能に係る要件
以下の機能を使用して飛行させること。
- ジオフェンス機能(飛行範囲の制限)またはこれに類する障害物検知機能・自動操縦機能
- フェールセーフ機能(リターントゥホーム・ホバリング・自動着陸等)またはこれに類する強制落下(キルスイッチ)機能
(9)その他の飛行方法に係る要件
国土交通大臣が定める安全確保のための飛行方法として、主に以下の事項が求められます。
- 第三者の上空での飛行禁止、立ち入りが生じた場合の即時飛行中止
- 飛行前の気象・機体・飛行経路の確認(緊急用務空域の確認を含む)
- 突風(5m/s以上)発生時の即時飛行中止
- 近隣航空機・他の無人航空機との接近回避・調整
- 雨天・低視程・ヘリ離着陸エリア付近での飛行禁止
- 第三者の往来が多い場所・高圧線・高速道路等の付近での飛行禁止
- 夜間飛行・目視外飛行を行う際の追加安全措置(事前確認・補助者への周知・照明確保等)
- 25kg以上の機体を使用する場合の第三者賠償責任保険への加入
- 農薬散布時の農薬取締法等関連法令・ガイドラインの遵守
- 事故・重大インシデント発生時のDRISSへの速やかな報告
(10)飛行マニュアルの作成・遵守
原則として航空局標準マニュアルを使用すること。適用が困難な場合は、機体の点検・整備、操縦者の技能維持、飛行前確認、安全管理体制、事故発生時の連絡体制等を記載した独自マニュアルを作成すること。
(11)飛行経路に係る要件
飛行経路下に第三者の物件(車両・工作物等)が存在しない場所で飛行させること。
(12)立入管理措置に係る要件
飛行の方法に応じた立入管理措置が必要です。
夜間飛行・危険物輸送・物件投下:原則として補助者を配置(困難な場合は看板・コーン等による立入管理区画の明示で代替可)目視外飛行:補助者の配置が必須農薬散布を目視内・補助者なしで行う場合:機体の「位置誤差」と「落下距離」を合算した立入管理区画を設定し、人や車両への注意喚起措置(看板設置・事前周知・見回り等)を実施すること
人口密集地上空の飛行をあわせて行う場合
上記の要件(3項)に加え、総重量25kg未満・衝撃緩和機能の確認・補助者配置(または立入管理区画の明示)・周囲への周知を満たすことで、人口密集地上空飛行に係る許可も不要となります。
飛行計画通報・飛行日誌について
本通達を適用する飛行が「特定飛行」に該当する場合(人口集中地区上空・夜間・目視外・30m以内・危険物輸送・物件投下)は、飛行計画の通報および飛行日誌の記載が引き続き必要です。承認が不要になるのはあくまで「飛行の方法に係る承認」であり、これらの義務が免除されるわけではない点に注意が必要です。
まとめ:2つの変更点を整理する
今回の改正内容を実務的な観点から整理すると、以下のとおりです。
① 多数機同時運航ガイドラインへの参照追加
② 農薬等空中散布における承認不要特例の新設(規制緩和)
特に②の農薬散布に関する承認不要特例は、農業用ドローンを活用する事業者にとって大きな規制緩和となります。一方で、特例適用には施行規則上の要件充足が前提となるため、内容の精査は必須です。
また⓵の多数機同時運航についても、ドローンショー事業者など、群飛行を行う事業者は、令和7年3月制定のガイドラインを必ず参照し、安全管理体制を見直す機会としてください。
本記事は「無人航空機に係る規制の運用における解釈について(令和8年4月1日最終改正・国空無機第350041号)」および旧版(令和6年11月29日最終改正・国空無機第68755号)を比較・解説したものです。法令の最終判断については、国土交通省航空局または管轄の地方航空局にお問い合わせください。
参照:無人航空機に係る規制の運用における解釈について(令和8年4月1日最終改正・国空無機第350041号) https://www.mlit.go.jp/common/001303820.pdf
参照:無人航空機に係る規制の運用における解釈について(令和8年4月1日最終改正・国空無機第350041号) https://www.mlit.go.jp/common/001303820.pdf