デジタルノータムリクエストサービス【SWIM ポータル】 新しいNOTAMの確認方法
デジタルノータムリクエストサービスとは?使い方をわかりやすく解説
航空の安全運航を支える情報インフラのひとつが「ノータム(NOTAM: Notice to Air Missions)」です。空港や航空路における一時的な変更・制限・危険情報などをパイロットや運航管理者へ周知するための公式通知であり、毎日世界中で膨大な数が発行されています。
しかしながら、従来のノータムはテキストベースの書式で記述されており、膨大な量を人手で確認・解析するには多くの時間と労力が必要でした。そこに登場したのが「デジタルノータム」という概念です。これは従来のテキスト情報に加えて、GMLなどの構造化フォーマットで地理情報(ポリゴン・座標)を付加したもので、機械可読性と視覚的な確認が格段に向上しています。
本記事で紹介する「デジタルノータムリクエストサービス」は、そのデジタルノータムをSWIMポータルのブラウザ画面から手軽に検索・閲覧・取得できるサービスです。操作フローと各機能を順を追って解説します。
デジタルノータムリクエストサービスでできること
サービスが提供する主な機能は、大きく4つに分けられます。
① ノータムの検索 豊富な検索条件を組み合わせてデータベースから必要なノータムを絞り込めます。FIRやロケーション、ノータムコード、有効期間など多彩なフィルターが用意されています。
② 地図への表示 検索結果の中からポリゴン情報(地理的な図形データ)を持つノータムを選択すると、地図上にその範囲や位置が視覚的に表示されます。滑走路閉鎖や空域制限の範囲を直感的に把握するのに役立ちます。
③ テキスト全文の確認 リスト表示形式では、ノータムの生テキスト(Q行・A行・B行・C行・E行など従来フォーマットの全文)をロケーションごとにまとめて参照できます。
④ データダウンロード 検索結果をGML形式(地理情報付き)またはXML形式(一括)でダウンロードし、外部システムやGISツールへの連携に活用できます。
基本的な使い方:3ステップで完結
ステップ1|画面を開く
SWIMポータルにログイン後、「利用サービス一覧」画面からデジタルノータムリクエストサービスのカードをクリックします。「デジタルノータム検索」画面が開きます。
画面はPCとタブレットでレイアウトが自動的に切り替わるレスポンシブ設計になっており、現場でのタブレット利用も考慮されています。
ステップ2|検索条件を入力する
| 項 目 | 検索方式 | 内 容 | ||
|---|---|---|---|---|
| NOF | 完全一致 | ノータム発行機関コード | ||
| FIR | 完全一致 | 飛行情報区(Flight Information Region) | ||
| ロケーション | 完全一致 (スペース区切り) | 空港・地点のICAOコードなど | ||
| ロケーション (コンボボックス) | 選択式 | プルダウンからロケーションを選択 | ||
| ノータムコード | 前方一致 | Qコード | ||
| シリーズ | 完全一致 | ノータムシリーズ(例:H) | ||
| ノータム番号 | 完全一致 | 番号指定(例:1145/23) | ||
| UUID | 前方一致 | データの一意識別子 | ||
| 範囲 | チェックボックス | 飛行場 / エンルート / ワーニング | ||
| 下限/上限 | 数値入力 | 高度フィルター(FL単位) | ||
| キーワード | 完全一致 (AND/OR選択) | 本文中の単語を検索 | ||
| ラジオボタン | 有効なものだけ or すべて表示 | ||
| 有効日時 | FROM〜TO | 有効期間による絞り込み | ||
| 表示件数 | ラジオボタン |
|
検索のコツ: ロケーションのコンボボックスにはデフォルトで「ROAH」などが設定されている場合があります。対象エリアに合わせて適宜変更してください。キーワード検索はAND/ORを切り替えることで、複数ワードの絞り込みに柔軟に対応できます。
ステップ3|検索を実行する
「検索」ボタンをクリックすると、条件に合致したノータムが一覧表示されます。検索結果画面は上部に地図、下部に一覧という構成になっており、テーブル形式とリスト形式の2通りで結果を確認できます。
検索結果の表示形式:テーブルとリスト
テーブル形式
テーブル形式では、以下の列が一覧で表示されます。
- ロケーション
- ノータム番号
- ノータムコード
- 有効開始日時(UTC)
- 有効終了日時(UTC)
- スケジュール
- 本文(要約)
- UUID
各行の「選択」チェックボックスにチェックを入れることで、GMLダウンロードの対象ノータムを選択できます。ページネーションにより複数ページにわたる結果もスムーズに確認できます。
リスト形式(テキスト全文表示)
「リスト」タブに切り替えると、ノータムの生テキスト全文をロケーションごとのグループにまとめて閲覧できます。表示されるのは従来の国際ノータム書式そのままの全文で、具体的には以下のような内容が確認できます。
例
181400 RJAAYNYX
(H1147/23 NOTAMR H1146/23
Q)RJJJ/QMNLC/IV/NBO/A/000/999/2612N12739E005
A)ROAH B)2312060652 C)2312301500
E)APRON NR2,APRON NR1-CLSD DUE TO TYPH
EXC AIRPLANE
RMK: TEST2
この表示形式は、テーブル形式で本文欄に収まりきらない詳細情報を確認したい場合や、従来のテキストのノータムに慣れた運航管理者が内容を精査する場面で特に便利です。Q行のサブコード・FIR範囲・高度帯・有効座標から、E行の本文・RMKの備考まで、ノータムの完全な情報をそのまま読み取ることができます。
地図で視覚的に確認する
テーブル形式の一覧からノータムの行をクリックして選択すると、そのノータムのポリゴン情報が地図上に描画されます。例えば滑走路の閉鎖を示すノータムであれば、閉鎖区間が赤い線や図形として地図に重ねて表示されます。
これにより、テキストだけでは読み取りにくい空域・地上エリアの範囲を一目で把握できるようになります。フライト前ブリーフィングの効率化や、複数ノータムの地理的な重複確認などにも活用できます。
補足: ポリゴン情報を持たないノータム(直線的な航行警告など)については、地図表示領域の中央に「グラフィックなし(No image)」と表示されます。このようなノータムの内容確認はリスト形式のテキスト全文表示で行ってください。
データをダウンロードする
GMLダウンロード:個別ノータムの地理情報を取得
GML(Geography Markup Language)は、地理空間情報をXMLベースで記述する国際標準フォーマットです。ポリゴンや座標データを含むノータムをGML形式でエクスポートすることで、GISソフトウェアや独自の航空システムへの取り込みが可能になります。
操作手順:
- 検索を実行し、結果一覧を表示する
- ダウンロードしたいノータムの「選択」チェックボックスにチェックを入れる
- 一覧右下の「GMLダウンロード」ボタンをクリック
- XMLドキュメント(.xml)としてダウンロード完了
ダウンロードされるファイル名は Notam_GML_[UUID]_[日時].xml 形式になります。
XMLダウンロード:検索結果を一括取得
XML一括ダウンロードは、検索条件に合致したノータムをまとめてZIP圧縮ファイルとして取得できる機能です。大量のノータムデータを一度に取得してシステム処理したい場合や、定期的なデータ取得バッチ処理の入力データとして活用する場面に適しています。
操作手順:
- 検索条件を入力する(検索ボタンは押さなくてよい)
- 「ダウンロード」ボタンをクリック
- ZIPファイル(
searchResults_Notam_[日時].zip)がダウンロードされる - ZIPを展開するとXMLファイルを確認できる
GMLダウンロードが「選択したノータム単体」の取得であるのに対し、XMLダウンロードは「検索条件に合致した全件」の一括取得という違いがあります。用途に応じて使い分けましょう。
PC・タブレット両対応のレスポンシブ設計
デジタルノータム検索画面は、利用する端末の画面幅に応じてレイアウトが自動的に切り替わります。
PCブラウザ(画面幅1024px以上): 検索フォームの各項目が横並びに配置され、検索結果の地図と一覧テーブルも見やすいレイアウトで表示されます。複数条件を同時に視認しながら操作するのに適しています。
タブレット(画面幅1023px以下): フォーム項目が縦一列に整理されたコンパクトなレイアウトになります。フィールドワークや運航現場でのタブレット利用を想定した設計で、操作性を損なわずに画面を有効活用できます。
どんな場面で活用できるか
このサービスが特に力を発揮するシーンをいくつか挙げます。
運航前ブリーフィングの効率化: 目的地空港や経路上のFIRを指定して有効なノータムを一括検索。地図表示で空域制限の範囲を視覚確認しながら、リスト形式でテキスト全文も確認できるため、見落としを防ぎやすくなります。
空港・空域管理業務: 特定ロケーションのノータム履歴をUUID単位で追跡したり、キーワード検索で特定事象(台風・工事・飛行禁止など)に関連するノータムをまとめて抽出できます。
システム連携・データ活用: GMLおよびXMLダウンロード機能を使って、既存の運航管理システムやGISプラットフォームへのデータ取り込みを自動化できます。SWIM基盤上のデータを標準フォーマットで取得できるため、システム間連携の実装コストを低減できます。
SWIMポータルをお使いの方はぜひ一度操作してみてください。従来の紙・テキストベースの確認作業と比べて、情報収集にかかる時間と手間が大幅に短縮されるはずです。
デジタルノータムリクエストサービス ユーザーズガイド(ver.1.0.0、2026年3月)をもとにまとめましました。
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